AIデータセンター向けメモリ需要の追い風を受け、サムスンが時価総額1.21兆ドルを達成し、いわゆる「兆ドルクラブ」に仲間入りしました。2026年第1四半期の半導体部門は前年同期比で営業利益が48倍に急拡大し、グループ全体の営業利益も756%増という驚異的な数字を記録しています。さらに決算説明会では、注目のHBMよりも通常DRAMの方が現時点で高い利益を生んでいるという、市場の常識を覆す発言が飛び出しました。
時価総額1.21兆ドル——テスラを射程に捉えたサムスン
CompaniesMarketCapの集計によると、サムスンの現在の時価総額は1.21兆ドルで、世界第10位の企業価値を持つ企業として、テスラの順位を上回る位置に迫っています。この急成長を支えているのは、AIデータセンターを中心とした世界的なメモリ需要の拡大であり、その波及効果がコンシューマー向け電子機器市場全体にも広がっていると、Wccftechは報じています。
「HBMより通常DRAMの方が儲かる」——決算説明会の核心
2026年Q1決算で最も注目を集めたのは、サムスン自身が「現時点では通常DRAMの方がHBMより高い利益を生んでいる」と明言した点です。その背景には価格交渉の構造的な違いがあります。通常DRAMの価格は四半期ごとに交渉・更新されるのに対し、HBMの価格は年間契約で固定されているため、足元の価格急騰の恩恵を受けにくい状況になっています。
SemiAnalysisの報告によると、LPDDR5の契約価格は2025年Q1以降に3倍に上昇し、直近では約10ドル/GBで推移していると報じられています。同社はこの価格上昇トレンドが2027年まで続く可能性があると見ています。
TrendForceは、2026年Q2のモバイルDRAM価格が前四半期比で93%〜98%の成長を記録すると予測しています(ただし、Q2の最終的な価格はまだ確定していません)。10ドル/GBを基準とした場合、LPDDR5モジュールは2026年Q2に19.3ドル/GB〜19.8ドル/GBになると見込まれています。さらに別の報告では、メモリベンダーが64GB DRAMあたり上限約1,350ドル・下限約500ドルという価格上限・下限を設けた長期契約(LTA)を締結しつつあると伝えられており、これはGB単価に換算すると最大21ドル/GB、最小7.8ドル/GBに相当します。
KB Securitiesが描く「世界最高収益企業」シナリオ
こうした状況を踏まえ、KB Securitiesのアナリストは、サムスンが2026年に327兆ウォン(約2,260億ドル)、2027年には488兆ウォン(約3,370億ドル)の営業利益を達成する可能性があると試算しています。実現すれば、NVIDIAの予想営業利益をわずかながら上回り、サムスンが世界で最も利益を上げる企業になるとKB Securitiesは見ています。
ただし、これはあくまでアナリストによる予測であり、DRAM価格の動向・需要の持続性・競合他社の動きなど、複数の不確定要素に左右される点には注意が必要です。
Q&A
Q. HBMより通常DRAMの方が利益が高いというのはなぜですか? サムスンの決算説明会によると、通常DRAMは価格が四半期ごとに交渉・更新されるため、足元の急激な価格上昇の恩恵をリアルタイムで受けられます。一方、HBMは年間契約で価格が固定されているため、価格急騰局面では相対的に収益性が低くなっています。
Q. LPDDR5の価格はこれからも上がり続けるのですか? SemiAnalysisは、LPDDR5の価格上昇トレンドが2027年まで続く可能性があると報じています。TrendForceも2026年Q2のモバイルDRAM価格が前四半期比で最大98%の上昇になると予測していますが、Q2の最終価格はまだ確定していません。価格動向は今後の需給バランスや長期契約の締結状況によって変わる可能性があります。
