AMDのLisa Su CEOが2026年5月5日の第4四半期決算説明会で、エージェントAIの普及によるCPU需要の急増はGPU市場を「共食い」するのではなく「大幅に補完するもの(largely additive)」だと主張しました。あわせてサーバーCPU市場の年率成長率予測を18%から35%へと大幅に上方修正しており、AI時代におけるCPUの位置づけが注目を集めています。
サーバーCPU市場の成長率予測を年率18%→35%に上方修正
Su CEOは決算説明会の中で、サーバーCPU市場の総市場規模(TAM)が年率35%で成長し、1,200億ドル規模に達するとの見通しを示しました。これは2025年11月のFinancial Analyst Dayで示した年率18%成長という従来予測から大幅な上方修正です。
なお、Wccftechによると投資銀行のUBSはさらに強気で、2030年までに1,700億ドルのTAMを見込んでいると報じられています。
この予測修正の背景にあるのが、エージェントAIワークロードの急拡大です。Su CEOは「AIは今四半期の成長の主要ドライバーであり、すべての主要クラウドプロバイダーがEPICのフットプリントを拡大した」と述べています。エージェントAIでは、GPUやアクセラレーターを管理する「ヘッドノード」としての役割に加え、オーケストレーション・データ移動・並列実行のためにCPU処理が追加で必要になるためです。
「CPUとGPUは競合ではなく共存」——Su CEOの論理
業界では、CPUへの需要増がGPU需要を侵食するのではないかという懸念が出ています。これに対しSu CEOは、CPU需要はGPU市場に対して「largely additive(大幅に補完的)」だと反論しました。
その根拠として挙げたのが、AIの仕組みそのものです。基盤モデルの実行にはアクセラレーター(GPU)が必要であり、エージェントはそのGPUから「スポーン(派生)」するかたちでCPUタスクを生み出すという構造です。つまり、GPUがあってこそCPUの需要も生まれるという関係性です。
Su CEOはCPUとGPUの比率についても言及しています。「1ギガワットのコンピュートを導入する場合、そのギガワットに占めるCPUの割合は増加していく。業界ではCPU対GPUの比率について議論が起きている」と述べており、コンピュート構成におけるCPUの存在感が増していくとの見方を示しました。
Su CEOが言及:エージェント大量普及でCPU数がGPUを超えるシナリオ
一方でSu CEOは、エージェントAIがさらに普及した場合の将来像についても踏み込みました。Wccftechによると、エージェントAIの普及が進めばCPU需要がGPU需要を上回る可能性があると述べたとされており、長期的なCPU需要の拡大に対して前向きな見方を示しています。
ただし、これはあくまでSu CEO自身が「予測が難しい」と前置きしたうえでの見解であり、確定的な予測ではありません。
現時点での変化としてSu CEOが強調したのは、エージェントAI需要の拡大を受けて「近期的な需要の強まりと、顧客との長期的な設備計画における深い関与の双方が見られる」という点です。これはWccftechが伝えるSu CEOの発言に基づいています。
なお、Wccftechによると、AMDの競合であるIntelも同様の文脈でCPUの重要性を訴えており、Lip-Bu Tan CEOが決算報告でCPUの役割を強調した結果、Intelの株価は前月の決算発表後に23%高で引けたと報じられています。
Q&A
Q. エージェントAIとは何ですか?なぜCPUが必要になるのですか? エージェントAIとは、複数のAIが連携して自律的にタスクをこなす仕組みです。GPUが基盤モデルの推論を担う一方、タスクの調整(オーケストレーション)・データ移動・並列処理といった管理業務にはCPUが必要になります。Su CEOはこの構造が、サーバーにおけるCPU需要を押し上げていると説明しています。
Q. AMDのサーバーCPU市場予測はどのくらい変わったのですか? 2025年11月のFinancial Analyst Dayでは年率18%成長を見込んでいましたが、今回の決算説明会では年率35%成長・1,200億ドル規模へと大幅に上方修正されました。投資銀行UBSはさらに強気で、2030年に1,700億ドルとの見通しを示していると報じられています。
