2016年に320億ドルで買収したARMが現在時価総額約2,230億ドル規模に育っている一方で、孫正義氏はなぜ今またゼロから会社を作るのか——フィナンシャル・タイムズの報道をTom's Hardwareが伝えたところによると、孫氏はAIとロボティクスに特化した新会社「Roze」を米国で設立・上場させる計画を持っており、時価総額1,000億ドルを目標に、早ければ2026年中のIPO(新規株式公開)を狙っているとされています。
なお、本報道はフィナンシャル・タイムズの報道をTom's Hardwareが伝え、それを本記事が日本語化した3次情報です。情報の信頼性を評価する際はこの構造もあわせてご確認ください。
データセンター建設特化——「Roze」とは何者か
「Roze」はAIとロボティクスを柱に、データセンターの建設・運営支援を主な目的とするスタートアップです。社名「Roze」の由来について、Tom's Hardwareの報道では言及されていません。読者が自然に抱くこの疑問への回答は、上場計画の正式発表まで待つ必要があります。
ソフトバンク本体との違いという観点では、RozeはAI・ロボティクス分野に絞った独立した上場会社として設立される点が重要です。ソフトバンクグループがビジョン・ファンドを通じた幅広い投資事業を行う持株会社的な性格を持つのに対し、Rozeはデータセンター建設・運営という実業を担う事業会社として切り出される形と報道は示唆しています。
Stargateの課題とソフトバンクの動き
ソフトバンクはすでに大規模なAI投資ポートフォリオを持っています。2025年初頭にはOpenAIおよびOracleと組んでStargateプロジェクトへ5,000億ドルを共同投資する計画を発表していましたが、その後OpenAIが自社データセンターの直接建設を断念してコンピューティングリソースのリース方式に転換したと報じられており、計画に課題が生じています。
ソフトバンクはすでに日本政府が資金を拠出する330億ドルの天然ガス発電所を電源とする10ギガワット規模のデータセンターをオハイオ州に建設中であり、業績不振が続いていたIntelへも20億ドルを投資しています。StargateとRozeの具体的な役割分担については報じられておらず、詳細は出典元を参照してください。
ARM・アリババ成功の裏にある93%暴落——投資履歴から読む「Roze」の勝算
過去の実績で際立つのはARM Holdingsです。2016年に320億ドルで買収し、2023年の上場後も約90%の株式を保有し続けており、現在の時価総額は約2,230億ドルに達しています。さらにARMの株式を担保に50億ドルの融資を受け、その資金をOpenAIへの投資に充てるという積極的な資本運用も行っています。2000年にアリババへ2,000万ドルを出資し、2024年に撤退した際には約85億ドル(約425倍)を回収した事例も広く知られています。
ただし、成功事例だけで評価するのは危険です。シェアオフィス大手WeWorkをはじめとする複数のテックスタートアップ投資で多額の損失を計上し、ドットコムバブル崩壊時には株価が93%下落して経営破綻の瀬戸際まで追い込まれた歴史があります。ARM・アリババの成功に共通するのは「時代の変換点を長期保有で乗り切った」という判断であり、一方の失敗事例の多くは「ビジネスモデルが未完成なまま高バリュエーションで投資した」ケースでした。
ソフトバンクのAI特化戦略をめぐるリスクは現在も続いています。2025年末には500億ドルの損失を計上しており、その後いくらか持ち直しているものの、OpenAIが収益目標とアクティブユーザー数の双方で内部目標を未達成だったという情報が流出したと報じられており、引き続き変動リスクを抱えている状況です。1,000億ドルという目標バリュエーションが事業実態と釣り合っているかどうか——それがRozeを評価する核心的な問いです。
Q&A
Q. ソフトバンクはStargateにも参加しているのに、なぜ別にRozeを立ち上げるのですか? Tom's Hardwareの報道によると、OpenAIが自社データセンターの直接建設を断念してリース方式に転換したことで、5,000億ドルを想定していたStargateプロジェクトには課題が生じています。Rozeの設立計画はその後に報じられており、代替なのか補完なのかという公式な位置関係は未発表です。
Q. ソフトバンクのAI投資はどれほどのリスクを抱えていますか? ARM(320億ドル買収→現在の時価総額約2,230億ドル)やアリババ(2,000万ドル→約85億ドル)という大成功の一方で、WeWork等への投資では多額の損失を計上し、2025年末には500億ドルの損失を計上しています。加えてOpenAIの内部目標未達成という報道も出ており、AI特化戦略に対する変動リスクは依然として大きい状況です。Rozeの1,000億ドルという目標バリュエーションが上場時に支持されるかどうかが、今後の評価の分岐点になります。
