Windows登場以来ほぼ30年間、デザインが据え置かれてきた「ファイル名を指定して実行(Runダイアログ)」が、ついにモダンUIへと刷新される。Microsoftが配信したプレビュービルド(Experimentalチャンネルのビルド26300.8346、Betaチャンネルのビルド26220.8340)には、このRunダイアログ刷新だけでなく、Widgetsの通知動作の根本的な見直し、File Explorerの積年のバグ修正、拡大鏡の精度向上が一度に詰め込まれている。普段のPC操作に直接触れる変更ばかりで、Insiderであれば今日からその変化を体感できる。
Widgetsの「強制割り込み」が終わる——デフォルト4項目を一挙にオフ
今回のWidgets変更が重要なのは、機能の追加ではなく「設計思想の転換」にある。従来のWidgetsはホバーで自動展開し、タスクバーにバッジを点滅させ、ユーザーが集中作業中でも割り込んでくる動作が標準だった。Microsoftはこの動作を今回のビルドで根本から変えた。
デフォルト設定の変更は以下の4点だ。
- ホバーで自動的に開く「Open on hover」をデフォルト無効化
- タスクバーのバッジ表示をデフォルト無効化
- Widgetsは初回起動時のみ展開される動作に変更
- ユーザーが自分でWidgetsを開いて操作するまでタスクバーアラートを制限
日常作業での変化は即座に感じられる。文章を書いているとき、コードをレビューしているとき、会議資料を作っているとき——そうした集中作業の最中にWidgetsが勝手に膨らむことがなくなる。タスクバーのバッジが視界に飛び込んで思考の流れを断ち切られる場面も消える。Widgetsは「能動的に開くツール」へと位置づけが変わり、ニュースや天気を確認したいときだけ自分で開く使い方が標準になる。積極的な通知を好む場合は、Widgets設定からタスクバーバッジ等を個別に再有効化できる。設定項目が削除されたわけではなく、あくまでデフォルト値の変更だ。
30年ぶりの外観更新——新しいRunダイアログは設定からオプトイン
Win+Rで呼び出すRunダイアログは、Windowsの歴史の中でもっとも長く放置されてきたレガシーUIのひとつだ。今回のビルドでは、モダンなビジュアルと整理されたインターフェースへの刷新に加え、設定画面からの管理を簡単にする新しいコントロールも追加されている。
現時点ではExperimentalチャンネルのInsiderのみが対象で、有効にするには「設定 > システム > 詳細設定(Settings > System > Advanced)」から新しいRunダイアログオプションをオンにするオプトイン操作が必要だ。Betaチャンネルへの展開はまだ行われておらず、今すぐ試せるのはExperimentalチャンネル参加者に限られる。一般公開の時期はMicrosoftから発表されていない。
Win+Rを日常的に使う開発者やパワーユーザーほど、新UIの操作感の変化を即座に感じ取れるはずだ。
File Explorer・拡大鏡・共通機能の改善まとめ
File Explorerでは、ホームページ読み込み時に発生していたグレーフラッシュ(画面が一瞬灰色になる現象)と、特定ケースでスクロールが先頭に戻る挙動が解消された。お気に入りセクションでOneDriveファイルが重複表示される問題も修正され、「同じファイルがなぜ2つある?」と混乱する場面がなくなる。ホームページの「おすすめ」セクションのファイルサムネイルも解像度が向上し、より鮮明で内容を識別しやすくなった。OneDriveをヘビーに使う環境や、多数のファイルを日常的に扱う業務では、これらの修正が積み重なって操作のストレスを着実に減らす。
**拡大鏡(Magnifier)の改善は、視覚的なサポートを必要とするユーザーや高解像度モニターで細かい作業をする人にとって特に実感しやすい変化だ。ツールバーにズームの正確なパーセンテージを直接入力できるようになり、「112%に微調整したい」といった要求が一度の操作で完結する。設定ドロップダウンには5%・10%・25%・50%・100%・150%・200%・400%**の8段階プリセットも追加され、よく使うズームレベルへワンクリックで移動できる。「ボタンを何度も押してズームを合わせる」手間が消え、作業の途中で拡大操作に引っかかるストレスが大幅に軽減される。
ExperimentalとBeta両チャンネル共通の変更として、Dev Drive作成時のサイズ指定がMBのみからGBでも指定可能になった。設定 > システム > ストレージでのボリュームサイズ変更時にも同様に適用される。タスクスケジューラーの列幅設定がセッションをまたいで保持されるようになった点も両チャンネル共通の改善で、起動するたびに列幅を調整し直す手間がなくなる。
Windows ShareのアプリDiscovery機能はBetaチャンネルでも利用可能になり、AADアカウントユーザーにも拡張された。これまでMSA(個人Microsoftアカウント)ユーザーのみが利用できた、共有画面から直接アプリを発見・インストールする機能が、AADアカウントでも使えるようになる。推奨アプリ表示のオン・オフは設定から切り替え可能だ。
既知の問題
今回のビルドでは、以下の既知の問題が報告されている。
- WIP(Windows Insider Program)設定において、Release Previewトグルが選択できない場合がある
- Feature flagsで機能の状態が誤って表示される場合がある
Q&A
Q. Insiderに参加していないが、新しいRunダイアログはいつ自分のPCに来る? Microsoftからの公式な一般提供スケジュールは発表されていない。今すぐ試したい場合は「設定 > Windows Update > Windows Insider Program」からExperimentalチャンネルに登録する必要がある。安定性を重視するならBetaチャンネルを選ぶのが現実的だが、RunダイアログはまだBetaには提供されていない点に注意が必要だ。
Q. Widgetsの通知が静かになると、重要な情報を見逃さないか? デフォルト設定の変更であり、設定項目は削除されていない。Widgets設定からタスクバーバッジ等を個別に再有効化できるため、通知を積極的に受け取りたい場合は元の動作に戻せる。「気になったときだけ開く」スタイルと「バッジで常時確認する」スタイルを自分で選べる。
Q. Dev DriveのGB指定対応はどのチャンネルで使えるか? ExperimentalチャンネルのビルドとBetaチャンネルのビルド両方に含まれている。設定 > システム > ストレージのボリュームサイズ変更時にも同様にGB指定が利用できる。
Q. 拡大鏡の改善はアクセシビリティ設定から利用できるか? 拡大鏡はWindowsのアクセシビリティ機能として引き続き設定 > アクセシビリティから利用できる。今回追加されたパーセンテージ直接入力と8段階プリセットはツールバー上の操作として追加されたもので、既存のアクセシビリティ設定を置き換えるものではない。
Experimentalチャンネルに参加しているなら、Runダイアログの新UIを「設定 > システム > 詳細設定」から今すぐ有効にして試してみてほしい。まだInsiderに参加していない場合は「設定 > Windows Update > Windows Insider Program」から登録できる。WidgetsやFile Explorerの変更はビルド更新後に自動で反映されるため、普段の作業の中でその違いをすぐに感じ取れるはずだ。
