閉鎖に気づいたユーザーはほとんどいなかった——1997年に登場し、自然言語で質問できる検索エンジンの先駆けとして一世を風靡したAsk Jeeves(Ask.com)が、2026年5月1日に正式にサービスを終了しました。運営元のIAC Inc.が検索事業からの撤退を発表しましたが、XDA Developersのライターであるサイモン・バット氏が指摘するように、そもそも誰もアクセスしていないため、閉鎖の知らせが広く伝わるまでにしばらくの時間がかかったほどです。
「まだ動いていたの?」——静かすぎた幕引き
テック業界では、あるサービスの終了を知って「え、まだ続いていたの?」と驚く瞬間があります。Ask.comの閉鎖は、まさにその典型でした。AOLがダイヤルアップサービスをついに終了したときと同様、今回もひっそりと幕が下りました。
Ask.comのウェブサイト上でIAC Inc.は次のように発表しています。「IACがフォーカスを絞り込む中、検索事業——Ask.comを含む——を終了する決断をしました。25年間にわたり世界中の質問に答えてきたAsk.comは、2026年5月1日に正式にクローズしました」
ただし、この「25年」という表現はやや奇妙です。実際には1997年のリリースから数えると、閉鎖まであと1か月で29年に達するタイミングでした。XDA Developersは、この点を「やや奇妙な主張」と指摘しています。
バトラー「Jeeves」が挑んだ自然言語検索
Ask Jeevesが登場した1997年当時、その最大の特徴は「検索キーワード」ではなく、普通の英語で質問できる点にありました。画面上には「Jeeves」という名のカートゥーン執事キャラクターが登場し、ユーザーの質問に答えるというコンセプトは、現在のLLM(大規模言語モデル)が実現しようとしていることを、約30年前に先取りしていたとも言えます。
しかし、当時急成長していたGoogleとの競争には敗れていきました。XDA Developersのバット氏は、「Googleの検索結果はAsk Jeevesより明らかに優れていた、と私ははっきり覚えている」と個人の記憶として振り返っています。
Googleへの対抗策として、2006年にはサービス名を「Ask」へリブランドしましたが、流れを変えるには至りませんでした。こうして「競争に敗れた→リブランドで巻き返しを図った→それでも失敗した→そして閉鎖へ」という一連の流れが、Ask Jeevesの歴史を物語っています。
親会社IACも見捨てた——誰も気づかなかった最後の1年
今回の閉鎖は、親会社であるIAC Inc.が検索事業全体から手を引く判断の一環です。Ask.comへのアクセス数はすでに極めて少なく、XDA Developersは「誰も実際にアクセスしていない状態」と表現しています。閉鎖のアナウンスが出てからしばらく経って初めて広く知られたという状況が、現在のサービスの存在感を如実に示しています。
初期インターネット時代を象徴するサービスが、ひっそりと姿を消した今回の出来事は、かつてLLMと同じ発想を30年前に持っていたサービスが静かに終わりを迎えたという、なんとも皮肉な結末でもあります。XDA Developersのバット氏は「すでに10年前に消えていたと思っていた」とも述べており、それほどまでに存在感が薄れていたことがうかがえます。
Q&A
Q. Ask Jeevesはいつ、なぜ終了したのですか? 2026年5月1日に正式閉鎖しました。運営元のIAC Inc.が検索事業からの撤退を決定したためです。1997年のサービス開始から閉鎖まであと1か月で29年に達するタイミングでしたが、Googleとの競争に敗れ、アクセスする人がほぼいない状態にまで存在感が薄れていました。
Q. Ask JeevesとGoogleは何が違ったのですか? Ask Jeevesは検索キーワードではなく、自然な英語の文章で質問できる点が特徴でした。現在のLLM(大規模言語モデル)が目指しているものに近い発想を持つ先駆的なサービスでしたが、検索結果の精度でGoogleに及ばず、普及には至りませんでした。
Q. 「Ask」へのリブランドはいつ行われましたか? 2006年に「Ask Jeeves」から「Ask」へリブランドされました。Googleへの対抗策として名称を刷新しましたが、市場シェアの回復には繋がりませんでした。
出典
- XDA Developers — Ask Jeeves just shut down after 29 years, and nobody noticed
