AppleがIntelとSamsungに対し、「メインデバイスチップ」の製造を打診していると、Bloombergが報じています。TSMC一社への依存を減らすことが目的とされており、両社との交渉はいずれも初期段階にとどまっているとされています。

交渉の背景——なぜ今、TSMC依存が問題なのか

Appleはこの10年間、iPhoneやiPad、そして近年ではMacに搭載するSoC(システム・オン・チップ、プロセッサの中核をなす統合チップ)の製造をTSMCにほぼ一任してきました。しかし、Bloombergによると、Appleは単一サプライヤーへの依存に不満を抱いているとされています。

この懸念は公式の場でも言及されています。前CEOのTim Cook氏は先週のApple決算説明会で、「通常よりもサプライチェーンの柔軟性が低い状態にある」と述べています。さらに、中国が台湾に侵攻した場合のサプライチェーン寸断リスクについても、Appleは以前から懸念を示してきました。

加えて、AI製品向けへの製造リソース集中によるチップ不足も状況を悪化させており、供給源の多様化を急ぐ動きにつながっているとみられます。

では、なぜ代替パートナーの候補としてIntelとSamsungが浮上しているのでしょうか。

交渉の現状——発注はなし、どの製品向けかも不明

Bloombergの報道によると、AppleはIntelとの初期段階の協議を行い、テキサス州で建設中のSamsungチップ工場を最近視察したとされています。ただし、現時点では両社への発注は行われておらず、交渉はあくまで予備的な段階にとどまっています。

どのApple製品にIntelまたはSamsung製チップが搭載される可能性があるかについては、報道からは明らかになっていません。

重要なのは、Bloombergが「AppleはTSMC以外の技術を使用することへの懸念を持っており、最終的に別のパートナーとの連携に進まない可能性もある」と伝えている点です。現在、IntelとSamsungはいずれもプロセッサ技術においてTSMCに後れを取っており、両社ともこの10年間、より微細で効率的なチップ設計への移行において発熱や歩留まりの低さといった問題に苦しんできました。

2027年以降の製品が対象か——iPhone 18はTSMC独占の見通し

TSMCはすでにフェニックス(アリゾナ州)工場でAppleの一部チップを製造しており、Appleは2026年に米国内で製造されるSoCが1億個に達すると発表しています。しかし、Appleは2025年だけでiPhoneを2億4,740万台出荷しており、国内製造分はデバイス全体のごく一部にとどまります。残りのSoCは引き続き台湾で製造されています。

また、iPhone 18ラインナップ向けのA20およびA20 Proプロセッサには、TSMCの2nm(N2)プロセスが独占的に採用される見通しと報じられています。そのため、IntelやSamsungが製造する可能性があるチップは、2027年以降の製品向けになると考えられます。

IntelとSamsungの現状——TSMCの牙城を崩せるか

Intelについては、2028年の非ProモデルiPhone向けに、同社の次世代「14A」プロセス(1.4nmクラス)の採用をAppleが検討しているとされています。Appleを顧客として獲得できれば、Lip-Bu Tan CEOのもとで業績回復を目指すIntelにとって大きな転機となる可能性があります。昨年、米トランプ政権下で米国政府はIntelに89億ドルの出資を行っており、同社の製造基盤への注目が高まっています。

一方Samsungは、TSMCやIntelに先駆けて2nmモバイルチップ「Exynos 2600」を投入したと主張しています。しかし、前述のとおり、SamsungもIntelもこの10年間でより微細なプロセスへの移行に苦しんでおり、歩留まりや発熱の問題が課題として残ります。AppleがTSMC以外のパートナーとの連携を実際に進めるかどうかは、こうした技術的課題の克服にかかっているといえます。

Q&A

Q. AppleはTSMCとの関係を終わらせるのですか? そのような報道はされていません。今回の交渉はあくまでサプライチェーンの多様化を目的とした初期段階の打診とされており、発注も行われていません。Bloombergは「最終的に別のパートナーとの連携に進まない可能性もある」と伝えています。

Q. IntelやSamsung製チップが搭載される製品はどれですか? 現時点では明らかになっていません。iPhone 18ラインナップはTSMCの2nmプロセスが独占使用される見通しのため、仮に実現した場合でも対象は2027年以降の製品になると考えられます。Intelの14Aプロセスについては、2028年の非ProモデルiPhone向けへの採用をAppleが検討しているとされていますが、交渉が初期段階である点に留意が必要です。

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