「一度切って、こちらから掛け直してください」——詐欺師の常套句に対して、Pixelがついに反撃の一手を用意しているかもしれません。Google Pixelの通話詐欺検出機能「Scam Detection」が、これまでの着信通話だけでなく、ユーザー自身が発信した通話も監視できるようになる可能性が浮上しました。Android Authorityが2026年8月14日、Phone by Googleアプリのベータ版から「enableSharpieOnOutgoingCalls」という開発中フラグを見つけたと報じています。折り返し電話をかけさせる詐欺手口を封じる一手として、機能拡張が現実味を帯びてきました。

ベータのコードに現れたフラグ「enableSharpieOnOutgoingCalls」

Android Authorityは、Phone by Googleアプリの最新ベータ版のコードから、発信通話に対してScam Detection(内部コードネーム「Sharpie」)を有効化するとみられるフラグを発見したと伝えています。実際に見つかった記述は以下の通りです。

enableSharpieOnOutgoingCalls

フラグ名から、Googleが発信側の通話にもScam Detectionを適用する準備を進めている可能性が示唆されます。ただし同メディアは、現時点でこの機能を実際に動作させることはできていないと明記しており、一般提供時期についても公表されていません。あくまでベータ版アプリのAPK解析による開発中コードの発見であり、最終製品の仕様や提供可否は変わる可能性がある点には注意が必要です。

折り返し詐欺の抜け道を塞ぐ一手

Scam Detectionは現在、着信通話に限定されています。しかしAndroid Authorityは、詐欺師が検出を回避するためにユーザー側から折り返し電話をかけさせる手口を指摘しており、発信通話にも対象を広げることには合理性があると解説しています。着信のみを監視する仕様では「一度切って掛け直させる」だけで検出網を抜けられてしまう——この抜け道を塞ぐのが今回のフラグの狙いだと読み取れます。実利は明確で、ユーザーが自分から掛け直した番号にも警告が出るなら、折り返しを起点にする詐欺の成功率は大きく下がるはずです。

通話内容はデバイスの外に出ない

Scam Detectionは通話音声の内容から詐欺の兆候を検出する仕組みで、Pixel 9以降ではGeminiが処理を担います。「AIが通話を聞く」と聞くと不安を覚えるかもしれませんが、Googleのドキュメントには以下の条件が明示されていると報じられています。

  • 処理はすべてオンデバイスで完結する
  • 通話音声・書き起こしはいずれもGoogleに共有されない
  • 利用にはユーザー自身のオプトインが必要

つまり、通話内容はデバイスの外に一切出ない設計です。この前提があるからこそ、多くのユーザーは安心して有効化できます。逆に言えば、発信通話への拡大時にもオンデバイス処理と非共有の原則が引き継がれるかどうかが、利用判断の分かれ目になります。ここが崩れれば魅力は一気に減じるため、正式発表時に必ず確認したいポイントです。

現時点では「開発中の兆候」にとどまる

今回の情報はベータ版アプリの未公開コードから読み取れる開発中の兆候であり、正式発表ではありません。発信通話でScam Detectionが使えるようになるのを待つ価値は十分にありますが、現時点では「Googleが取り組んでいる可能性がある」段階と受け止めておくのが妥当でしょう。続報を待ちたいところです。

RCSハンドシェイクで「なりすまし」を炙り出す新機能も並行展開

Googleは2026年6月2日、Android 12以降を対象に「Fake Call Detection」の展開を開始しました。連絡先を装う詐欺への対抗策で、両者がPhone by Googleを既定ダイヤラーとして使用している場合に、発信側端末から受信側へRCSの暗号学的ハンドシェイクによる無音の確認信号が送られる仕組みです。

If their real device says, "I'm not making a call right now," you'll get a warning on your screen advising you to hang up immediately.

なりすまし通話ではこの信号が欠落するため、受信端末が連絡先の実機に問い合わせ、実機が「発信していない」と返せば警告が表示されます。利用にはGoogleコンタクト、Googleメッセージ、有効なRCS接続が双方で必要で、iPhone発の通話や別ダイヤラー利用者からの通話では機能しません。INTERPOLの2026年3月報告は、この種の詐欺による年間世界損失を4,420億ドルと推計しており、対策の緊急性が浮き彫りになっています。

Galaxy S26への横展開と対応国の広がり

Scam DetectionはPixel専用機能から他社機への展開も進んでいます。主な広がりを整理すると次のとおりです。

  • 2026年2月のGalaxy Unpackedで、GoogleはScam DetectionをSamsung Galaxy S26シリーズ(米国)に拡大すると発表しました
  • Galaxy S26版はGemini Nanoで通話音声のパターンを解析し、音声・触覚・画面上の警告を組み合わせて通知します
  • 既定ではオフで、ユーザーがPhone/Messagesアプリの設定から明示的に有効化する必要があり、検出データは保存・共有されません
  • Pixel 9以降ではオーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、インド、日本を含む13カ国で提供されています
  • 利用時は対応国のSIMを装着し、かつ対応国内にいることが条件になっています

Pixelから他社Androidへとエコシステム全体で詐欺対策が広がる流れが確認できます。

Q&A

Q. 現在のScam Detection(着信向け)は今も使えますか? はい。今回の話題はあくまで発信通話への拡大に関する開発中のフラグ発見で、既存の着信向け機能に影響する情報は伝えられていません。

Q. 発信通話向け機能はどこで有効化できますか? 現時点では設定手順は明らかにされていません。既存機能と同様にユーザーのオプトインが必要になる可能性が高いとみられますが、正式発表を待つ必要があります。

Q. 対応機種はどうなりますか? 既存のScam DetectionはGeminiを活用する形でPixel 9以降で動作するとされています。発信通話向け機能の対応機種については、現時点では明らかにされていません。

出典