99.9%を約束していたGitHubの実際の稼働率は90.21%——この約9.7ポイントの乖離を白日の下にさらしたのは、企業の内部告発でも第三者調査機関でもなく、ターミナルエミュレータ「Ghostty」の開発者Mitchell Hashimoto氏が1か月間つけ続けた手書きのジャーナルでした。氏の離脱宣言とGitHub CCO Kyle Daigle氏の謝罪声明は瞬く間に拡散しましたが、ユーザーコミュニティの反応は懐疑的であり、信頼回復への具体的な道筋はいまだ示されていません。
「毎日、GitHubに失望させられている」——日次記録が暴いた90.21%の実態
Hashimoto氏はブログ投稿の中で、過去1か月間にわたりGitHubの障害が作業を妨げた日に「X」を記録するジャーナルをつけてきたと明かしました。その集計から算出されたのが、稼働率90.21%という数字です。GitHubが自社で公表しているSLA(サービス品質保証)は99.9%であり、その水準を大幅に下回っています。差にして約9.7ポイント——1か月30日のうち約3日分が「保証されたはずの稼働時間」に当たらない計算です。
氏が記事を執筆した当日にも、GitHub Actionsの障害によって約2時間、プルリクエストのレビューがまったくできない状態が続いたといいます。プルリクエストのレビューはチームの開発速度を左右する中核作業であり、2時間のブロックは個人の生産性だけでなく、レビュー待ちのメンバー全員の足を止めます。
Hashimoto氏はこう述べています。「GitHubは毎日、私を失望させています。それは個人的なことです。理屈を超えて個人的に感じています。ものに対してこれほど愛着を持つべきではないかもしれませんが、私はGitHubを愛しており、今はそれに怒っています」
「これ以上は、真剣な仕事をする場所ではありません。毎日、何時間もブロックされるなら」
Ghosttyは高いパフォーマンスで知られるターミナルエミュレータで、Hashimoto氏は「人生の半分」をGitHubに捧げてきたと表現しています。著名OSS開発者による公開書簡の形をとったこの投稿は瞬く間に拡散し、プラットフォームへの信頼をめぐる議論の転換点となりました。
Zigチームも「エンジニアリング文化が腐っている」と離脱——これは一人の不満ではない
Hashimoto氏の声明は孤立した事例ではありません。プログラミング言語「Zig」は昨年、競合プラットフォームのCodebergへの移行を発表し、GitHubのエンジニアリング文化を公式に批判しました。
Zigチームはこう述べています。「優先事項とエンジニアリング文化が腐っています。ユーザーは進歩の名のもとに、肥大化してバグだらけのJavaScript……」
この批判が示しているのは、単なるインフラ障害にとどまらない問題です。UIの複雑化や機能追加の方向性そのものへの不満が重なっており、開発者が感じているのは「つながらない」だけでなく、「使い続ける価値があるのか」という根本的な疑問です。体感できるのは障害時の作業停止だけでなく、日々の操作の重さや、ツールが自分の仕事の邪魔をしているという感覚の蓄積です。
Windows Centralによると、GitHubの自社ブログでも自らのSLAを達成できていない状況が記録されており、コードのコミットが消えるといった問題も別途報告されています。複数の独立したプロジェクトが同時期に移行や批判を表明しているこの状況は、個別の不満の集積ではなく、プラットフォームとしての構造的な問題を示しています。
CCOが約束した「本物の証拠」——その中身が示されるまで、判断は保留せざるを得ない
GitHubのCCOであるKyle Daigle氏は先週、ユーザーへの声明を発表しました。「申し訳ありません。チームは、あなたが戻ってきたいと思えるGitHubを実現するために努力し続けます。本物の証拠をお見せします」と述べています。
この声明に対するユーザーの反応は懐疑的で、謝罪の言葉だけでは納得していない声が多いとWindows Centralは報じています。「本物の証拠」が具体的に何を指すのか——稼働率の改善数値なのか、障害対応プロセスの公開なのか——は現時点で明らかにされておらず、それが不信感をさらに深める要因になっています。
MicrosoftがGitHubを買収したのは2018年で、取得額は75億ドル相当の株式でした。買収から約10年が経つ現在、Windows Centralは当時コミュニティが抱いていた懸念が現実になりつつあると報じています。
GitHubを日常的に使う開発者にとって問題は明快です。謝罪声明が出た後、稼働率が改善されるのか、GitHub Actionsの安定性が数値として示されるのか。Daigle CCOが「本物の証拠」と呼んだものの具体的な内容が発表された時点が、プラットフォームを使い続けるか移行を検討するかを判断する最初の分岐点になります。
Q&A
Q. GitHubのSLAと実際の稼働率はどのくらい違うのですか? GitHubが公表しているSLAは99.9%ですが、Mitchell Hashimoto氏が独自に1か月間計測した結果では90.21%という数値が示されています。差にして約9.7ポイント——1か月のうち約3日分が「保証されたはずの稼働」に当たらない計算です。GitHubの自社ブログでもSLAを達成できていないことが記録されており、個人の計測だけでなく公式記録でも乖離が確認されています。
Q. 離脱したのはHashimoto氏だけですか?今後も増えますか? いいえ。プログラミング言語「Zig」のチームも昨年、競合プラットフォームのCodebergへの移行を発表し、GitHubのエンジニアリング文化を「腐っている」と公式に批判しています。信頼性の問題が改善されなければ、同様の判断をするプロジェクトは増える可能性があります。Daigle CCOが約束した「本物の証拠」の内容が判明するタイミングが、今後の移行トレンドを左右する分岐点になります。
Q. 今後、何を確認すれば「改善された」と判断できますか? Daigle CCOは「本物の証拠を示す」と述べましたが、その具体的な内容はまだ発表されていません。GitHubの自社ブログおよびステータスページで稼働率の数値が99.9%に近づくか、障害対応プロセスが透明化されるか——この2点が改善の判断基準になります。声明が出てからしばらくは、GitHubの公式ブログを定期的に確認することが、自分のプロジェクトの移行判断に直結します。
