格下のはずの「RX 9050」が、上位モデル「RX 9060」をコア数で上回る——。そんな奇妙な構成のエントリーGPUをAMDが開発しているとの情報がリークされました。Tom's HardwareがVideocardzの報道を引用するかたちで伝えたもので、NVIDIAの「RTX 5050」に対抗する狙いがあるとTom's Hardwareは読み解いています(AMD公式の発表ではなく、あくまでメディアによる推測との見方もある点に留意が必要です)。最安$289(約4万4千円)前後のRTX 5050に対し、同価格帯でより高速な選択肢が増える可能性があり、自作PCユーザーにとっては見逃せない動きです。

RX 9050のリークスペック——2048コア・8GB GDDR6

Videocardzの報道によれば、RX 9050は「Navi 44」ダイをベースとしており、上位モデルの「RX 9060 XT 8GB」に近い構成を備えるとされます。

報じられている主なスペックは以下のとおりです。

  • 演算ユニット: 2,048コア / 32 CUs
  • ゲームクロック: 最大1,920 MHz
  • ブーストクロック: 最大2,600 MHz
  • メモリ: 8GB GDDR6(18Gbps、128-bitバス)
  • インターフェース: PCIe 5.0 x16
  • 映像出力: DisplayPort 2.1a×2、HDMI 2.1b×1
  • TBP(基板電力): 現時点では未公表

Tom's Hardwareによると、これらの数値はAMDが公式に確認したものではなく、Videocardzの報道に基づく非確定情報であると報じられています。Tom's Hardwareの記事内のスペック表でも、RX 9050の値には「AMD未確認」と注釈が付されています。

命名規則に反する奇妙な構成——RX 9060より多コア

今回のリークで最も注目されているのは、名称が格下のRX 9050が、上位のはずの「RX 9060(無印)」よりもコア数で上回るという逆転現象です。3モデルのスペック比較は以下のとおりです。

項目RX 9050(リーク)RX 9060RX 9060 XT 8GB
GPUNavi 44 XTNavi 44 XLNavi 44 XT
コア数2,0481,7922,048
CU数322832
ゲームクロック1,920 MHz2,400 MHz2,530 MHz
ブーストクロック2,600 MHz2,990 MHz3,130 MHz
メモリ8GB GDDR68GB GDDR68GB GDDR6
バス幅128-bit128-bit128-bit
TBP不明132W150W

コア数とCU数だけを見ると、RX 9050はRX 9060 XT 8GBと同等で、無印RX 9060を上回ります。一方でクロック面では、Tom's HardwareによるとRX 9060 XT(ブースト最大3.1GHz)はRX 9050に対し約24%高いクロック優位を持つとされています。メモリも20Gbpsの高速GDDR6で帯域に余裕があります。コア数が多くてもクロックが抑えられているため、実性能ではRX 9060 XTが上に位置するとみられます。

今年のAMDはComputex基調講演なし——それでもRX 9050は登場するか

Tom's Hardwareは、この変則的なスペック構成について、AMDが無印RX 9060よりも強力なエントリーモデルでNVIDIAのRTX 5050に対抗したい意図があると読み解いています。現状、無印RX 9060はOEM専売モデルとなっており、DIY市場でRTX 5050に対抗するだけならRX 9060を流用すれば済むはずです。あえて新SKUを起こすのは、より明確な性能優位を狙っているためとの見方もあるとTom's Hardwareは指摘しています。

実際、ある1件のテストではRX 9060がRTX 5050を約20%上回ったとの報告もあると同記事は触れています。ただしこれは単一のテスト結果にすぎず、サードパーティによる検証を待つ必要があるとも釘を刺されています。

価格についても現時点では一切情報がありません。執筆時点でのRTX 5050の最安値が$289(約4万4千円)であることを踏まえると、AMDも同程度のストリートプライスを狙ってくる可能性があるとTom's Hardwareは伝えています。

発表時期について公式情報はありません。今年AMDは例年と異なり自社のComputex基調講演を実施しないとされていますが、Tom's Hardwareは、GPUが実在するならAIB(ボードパートナー)各社がComputex(台北)でRX 9050のカスタムモデルを披露するだろうと伝えています。

Tom's Hardwareは、メモリ不足が続くなかでAMDが新たなエントリー向けRDNA 4 GPUを投入することは「流れに逆らう」動きだと評しています。現時点では非公式リークの段階にとどまり、最終的なスペック・価格・発表時期はいずれも変動の余地があります。

RX 9050の電力要件とRDNA 4ラインアップでの位置づけ

元記事ではTBPが未公表とされていますが、Wccftechの続報では周辺情報がいくつか明らかにされています。

  • 推奨電源容量は450Wで、これはRX 9060 XTおよび非XT版と同じ数値とされており、TDPは概ね130W前後に落ち着く可能性が指摘されています。
  • メモリ帯域については、8GB GDDR6・128-bitバスで帯域288 GB/sと記載されており、非XT版RX 9060と同じ値です。

ラインアップ全体での位置づけも整理されつつあります。現在世界市場で流通しているのはRX 9070 XT、RX 9070、RX 9060 XT 8GB、RX 9060 XT 16GBの4モデルのみで、RX 9050が5番目のSKUとなる見込みです。なお無印RX 9060とRX 9060 XT LPは中国本土限定モデルとして扱われており、グローバル市場にDIY向けの最廉価RDNA 4を投入する空白を埋める役割が期待されています。発表時期についてComputex 2026は6月2日から6月5日に開催される予定で、この場でエントリーモデルに関する追加情報が出ると見られています。

DRAM不足とRTX 5050の市場動向——AMDが攻める価格帯の実情

AMDがエントリーGPUを投入しようとしている市場環境は、決して平穏ではありません。

「現在深刻なDRAM不足のただなかにあり、報告ではこの状況が2027年まで続くと示唆されている」

競合となるRTX 5050の現状を整理すると、以下のとおりです。

項目RTX 5050(現行8GB版)
発売時期2025年7月後半
MSRP$249
ダイ/コア数GB207-300/2,560 CUDAコア
ブーストクロック2,572 MHz
平均消費電力128W

加えてNVIDIA側は供給対策として動いています。Benchlife.infoの報道によれば、NVIDIAはComputex 2026前後にRTX 5050を3GB・28 Gbps GDDR7モジュールへ更新した新モデルの投入を計画しており、現行の2GB・20 Gbps GDDR6を置き換える予定です。フル128-bitバスではなく3モジュール構成の96-bitバスを採用することで9GB容量を実現する見込みで、AMDが対峙する相手も流動的に変化している局面です。

Q&A

Q. RX 9050はRX 9060より高性能なのですか? コア数とCU数だけを見ればRX 9050(2,048コア/32 CUs)が無印RX 9060(1,792コア/28 CUs)を上回ります。一方でクロック周波数はRX 9060の方が高く設定されており、実際のゲーム性能でどちらが上になるかはサードパーティの検証を待つ必要があります。

Q. RTX 5050を買うか、RX 9050を待つかで迷っています。 リーク段階のため確実なことは言えませんが、Tom's Hardwareによれば、AMDはRTX 5050のストリートプライス(執筆時点の最安$289=約4万4千円)を意識した価格設定を狙う可能性があるとされます。同価格でRX 9060相当以上の性能が得られる可能性があるなら、急ぎでなければComputexの動向を見てから判断するのも選択肢です。ただし正式発表・第三者ベンチが出るまでは性能・価格ともに未確定です。

出典