「What do you want your shortcut to do?(あなたのショートカットに何をさせたいですか?)」——iOS 27のShortcutsアプリでは、このシンプルな問いに文章で答えるだけで、AIが自動的にショートカットを組み立ててインストールしてくれる方式がテストされていると報じられています。Bloombergが伝え、9to5Macが紹介したこの変更は、2017年のWorkflow買収・2018年のShortcuts化以来、Appleの自動化アプリにとって最大級の転換点になり得る内容です。

Bloombergが伝えた「テスト中の新Shortcuts」

Bloombergによると、Shortcutsアプリには次のような変更が加わる可能性があります。

The version now in testing lets users create shortcuts simply by describing what they want them to do.

現在のShortcutsでは、アクションを手動で組み合わせるか、Appleのギャラリーからダウンロードする必要があります。新バージョンでは「What do you want your shortcut to do?」というプロンプトが表示され、テキストフィールドに自然言語で記述すると、システムが自動的にショートカットを構築・端末にインストールする仕組みになっていると伝えられています。

現時点ではテスト段階の機能として伝えられている内容であり、最終的な仕様・対応デバイス・提供時期は確定していません。

なぜ「自然言語で書くだけ」が転換点なのか

Shortcutsは2017年にAppleが買収した「Workflow」をベースに、2018年からiOS向けに展開されてきた自動化ツールです。macOSのAutomatorよりも扱いやすい設計でありながら、使いこなすにはアプリ間連携やロジック構築の知識が求められ、多くの一般ユーザーには敷居が高い状態が続いてきました。

熟練ユーザーがShortcutsの可能性を示してきた一方で、技術的に詳しくない大多数のユーザーには、その恩恵が十分に届いていなかったと9to5Macは伝えています。

今回テストされていると報じられている方式は、その状況を変える可能性があります。ユーザーが必要な結果を平易な言葉で記述すれば、Shortcutsの側が背後で処理を組み立ててくれる——という体験は、これまで設定の手間ゆえに踏み込みづらかった日常的な処理にも、言葉で表現するだけで自動化を試せる可能性につながります。「写真をGIFに変換する」「家を出たら居間の照明を消す」といった定型例の枠を超え、ユーザーごとに異なる固有のワークフローへと裾野が広がる点が、今回の刷新の本質と読み取れます。

なお、9to5Macは記述方法について「in plain language (even by voice!)」と括弧書きで触れており、音声での記述に言及する表現が含まれています。ただしこれはBloomberg報道の直接の引用ではなく9to5Mac側の解釈であり、音声対応が正式機能として実装されるかは公表されていません。

WWDC 2026で何が明かされるか

Bloombergの報道は、9to5Macの記事公開と同日付(公開URL上は2026年5月18日)で伝えられたもので、Appleは翌月のWWDCを控えています。AppleがWWDCでiOS 27と合わせてどこまで踏み込んだ発表を行うかが、最大の注目点です。

Shortcuts本来の価値は「自動化を作ること」自体ではなく、アプリ・ファイル・情報のあいだに、ユーザーごとに異なる橋を架けることにあります。9to5Macは、Steve Jobs氏がWWDC 1997で語った「You've got to start with the customer experience and work backwards to the technology(カスタマーエクスペリエンスから始めて、そこから技術へと逆算する必要がある)」という言葉を引用し、AIによる自然言語インターフェースこそがその理念に近い設計だと評価しています。

加えて9to5Macは、すでにShortcutsを使いこなしているパワーユーザーにとっても「天井がさらに高くなる(the ceiling is about to get even higher)」と述べています。具体的にどのような恩恵があるかは明示されていませんが、熟練ユーザーにも新たな余地が広がる点に9to5Macは期待を寄せています。

現時点では、Shortcutsを「言葉で書くだけで使えるツール」に進化させる構想がテストされていると受け止めるのが妥当で、続報はWWDCを待つことになります。

WWDC 2026の日程とShortcuts以外のAI刷新ポイント

Appleは2026年6月8日〜12日に開催されるWWDC 2026のキーノートでiOS 27とmacOS 27を披露する見込みで、開発者ベータはキーノート直後、パブリックベータは7月、一般向けリリースは9月に予定されています。Shortcutsの自然言語化は、Bloombergが報じた一連のAI機能群の一部にすぎません。

Shortcutsと同時に語られている周辺機能

  • Bloomberg報道では、自然言語ショートカット作成に加え、文法チェッカーを含むAI Writing Tools、Image Playgroundによるカスタム壁紙生成も予定されています
  • Writing Toolsは画面下部メニューに提案を提示し、キーボード上部に「Help Me Write」「Write With Siri」を配置するテスト版が確認されています
  • 自然言語Shortcutsの具体例として、カレンダーの空き時間共有やドキュメントの要約といった複雑な自動化を、望む結果を記述するだけで生成できる方向性が示されています

元記事が紹介した「写真をGIF」「家を出たら照明を消す」といった例の延長線上に、業務寄りのユースケースが明示された点が今回の追加情報です。

2025年からの延期と「信頼性」という宿題

自然言語Shortcuts自体は突然出てきた構想ではありません。Bloombergのマーク・ガーマン氏は当初、AI駆動のShortcutsを2025年投入で報じていましたが、遅延により2026年へとタイムラインが押し戻された経緯があります。WWDC 2025ではCraig Federighi氏が初期実装は品質基準に達しなかったと説明し、Greg Joswiak氏は再設定された目標が2026年だと明言しています。

技術的な土台はすでに動き始めています。macOS 26ではShortcutsにApple Intelligenceがネイティブ統合され、「Use Model」アクションで以下の3択を選べる仕組みが導入されました。

  • オンデバイスモデル
  • Appleサーバー上の同モデル(Private Cloud Compute経由、データ非保持を暗号的に保証)
  • ChatGPT直接連携

ただし、壁紙生成は失敗してもやり直せばよい一方で、メッセージ送信やファイル移動を伴うShortcutsは信頼性の要求水準が根本的に異なると指摘されています。WWDCで問われるのは機能の派手さではなく、この信頼性の担保かもしれません。

Q&A

Q. iOS 27のShortcutsはいつ発表されますか? 9to5Macは「next month's WWDC(来月のWWDC)」での発表に期待を寄せていますが、具体的な公開日・対応デバイス・最終的な仕様は現時点で公表されていません。

Q. 既存のShortcutsの作り方は使えなくなりますか? 自然言語で生成する新方式が追加される可能性が報じられていますが、従来のアクションを手動で組み合わせる方式が廃止されるとは伝えられていません。

Q. 音声でショートカットを作れるようになりますか? 9to5Macの記事には音声での記述に触れる表現が含まれていますが、これは記事筆者の解釈であり、Bloomberg報道自体や公式情報として音声対応が確定しているわけではありません。

出典