Googleが、Searchに「次世代」と位置づけるAI広告を投入すると発表したと、Android AuthorityのRyan McNeal氏が報じています。同記事によれば、すでに発表済みの新世代広告に加え、AI Mode向けに新フォーマット2種がテストされている段階とされ、発表分とテスト分が混在する形で広告体験全体が拡張されていく見通しです。
AI搭載ショッピング広告——Geminiが商品解説を生成
新しいSearchでは、商品を探す検索クエリに対して「AI-powered shopping ads」が表示されるとされています。Android Authorityの報道では、ユーザーがコンパクトなエスプレッソマシンを探す検索を行った際、Geminiが関連するスポンサー商品を引き出し、その商品をなぜ買うべきかについてのAI生成の短い解説を付け加える例が紹介されています。
従来の検索広告は、リンクとテキスト中心の比較的「静的」な表示でした。今回の変更は、Gemini自身が広告枠の中で商品を語り、推薦理由まで生成するという点で性質が大きく異なります。検索結果ページにおける広告とオーガニック情報の境界が、AIの解説によってさらに曖昧になる方向の変更といえます。
チャットボット内蔵広告——「Ask a question」で商品にGeminiと対話
もう一つの目玉が、ビルトインチャットボットを備えた広告です。これらの広告には「Ask a question」ボタンが用意され、クリックするとGeminiとの会話が始まると報じられています。Geminiは、その商品・サービスのWebサイトに掲載されている情報をもとに、ユーザーの質問に回答する仕組みと説明されています。
広告主にとっては、ランディングページに飛ばす前の段階でユーザーの疑問を解消できる導線が生まれます。一方ユーザー側からは、広告とAIアシスタントの体験が一体化していくため、「いま自分は誰の情報を聞いているのか(中立な検索結果か、スポンサーか)」という区別がよりつきにくくなる可能性があります。
AI Mode向けの新広告フォーマットを2種類テスト中
加えて、AI Mode向けにはさらに2種類の新しい広告フォーマットがテストされていると報じられています。
- Conversational Discovery ads: 特定の質問に答える形で広告が現れるフォーマットとされ、AI Modeの回答の下にスポンサー結果が画像と説明付きで表示される例がAndroid Authorityで紹介されています。
- Highlighted Answers: おすすめのリスト形式で、その中にスポンサー枠が「Sponsored」のラベル付きで混ざるフォーマットとされています。
いずれも「テスト中」の段階であり、正式提供のスケジュールや展開地域については現時点で明らかにされていません。発表済みの2形式(AI-powered shopping ads・チャットボット内蔵広告)とテスト中の2形式は位置づけが異なる点に注意が必要です。
境界が消える検索結果——ユーザーは何を読み分ければいいか
新しいSearch自体は、ユーザー体験を高める方向の更新が中心と説明されています。ただし、その同じ画面の中で広告の比重と関与の仕方が拡張されるのも事実です。Android Authorityは、すでにSearchの変更に違和感を持つユーザーにとって、今回の広告強化はさらに歓迎しがたい知らせになり得ると報じています。
広告主にとっては、AIによる商品解説・対話型広告・AI Mode内のスポンサー枠という新しい接点が一気に増えます。ユーザー側で起きる体験変化はシンプルです——商品検索のたびにGeminiの推薦文が表示され、それが広告なのかオーガニックな解説なのかが一目で見分けにくくなる可能性があります。次に商品を検索するときには、回答テキストの上下に「Sponsored」のラベルが付いていないかを意識的に確認することが、これまで以上に重要になりそうです。
Conversational Discovery adsとHighlighted Answersはテスト段階のため、まずは自分が日常的に使う検索クエリで実際にどのフォーマットが表示されるかを観察し、ラベルの位置や見え方を体感しておくのが現実的な備えとなりそうです。
発表の舞台はGoogle Marketing Live 2026——AI Modeはすでに月間10億人規模
今回の広告群は、Google I/O 2026翌日の2026年5月20日に開催されたGoogle Marketing Live 2026で、Google AdsおよびCommerce担当VP兼GMのVidhya Srinivasan氏により公表されたものです。AI Modeでテスト中の2形式と通常Search向けの新フォーマットが、ひとつのイベントでまとめて示されました。
背景にあるのはAI Modeの急成長です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 月間アクティブユーザー | 10億人超 |
| クエリ成長率 | 四半期ごとに2倍超 |
| 平均クエリ長 | 従来検索の約3倍 |
| 非テキスト比率 | 6件に1件が音声・画像 |
ユーザー側の手応えを示す数字も同時に紹介されています。「AI Mode利用でより速く確信を持って意思決定できた」と答えた人は75%にのぼり、これはGoogleの委託でIpsosが2025年12月に25か国・13,189人を対象に実施したGlobal Consumer Journeys調査に基づくものとされています。会話型インタフェースが既に大規模な日常利用に乗っており、専用の広告フォーマットを設計する動機が十分に整っている状況がうかがえます。
「Independent AI explainer」という新概念とDirect Offersの拡張
AI Mode向けの2形式に共通する要素として、Googleは「independent AI explainer」を打ち出しています。広告主のクリエイティブとは別にGeminiが独立して書く解説が併記される設計で、スポンサー枠の中でも文脈情報をAIが補う構造になっています。
提供範囲も具体的に示されています。
- AI-powered Shopping adsは2026年中に米国で先行展開される予定です
- 同フォーマットはGoogleのShopping Graphに接続し、600億超のリスティングを参照します
- Direct Offersは2026年1月にChewy・Gap・L'Orealとともに開始されています
Direct Offersには新たに、Geminiが検索クエリごとに組み立てるpromotion bundling、native checkout、travel拡張が追加されると説明されています。広告主クリエイティブとAIによる解説を意図的に分けて見せる設計と、Shopping Graphという大規模な商品データ基盤、さらにDirect Offersの拡張が組み合わさることで、検索広告は単なる枠から「AIが文脈と購買導線まで生成する面」へと変質しつつあります。
Q&A
Q. 新しい広告はいつから日本で使えるようになりますか? 今回の報道では、AI-powered shopping adsやチャットボット内蔵広告、AI Mode向けの2つの新フォーマット(Conversational Discovery ads・Highlighted Answers)の提供地域や日本展開のスケジュールは明らかにされていません。AI Mode向けの2フォーマットは現時点でテスト中の段階と報じられています。
Q. 広告がオーガニック検索結果に紛れることはないですか? Android Authorityによれば、Highlighted Answersのスポンサー枠には「Sponsored」のラベルが付くとされています。一方、AI-powered shopping adsやチャットボット内蔵広告など、Gemini自身が広告内で商品を解説・対話する形式が増えるため、ユーザー側ではこれまでよりもラベル表示を意識して読み分ける必要性が高まりそうです。
Q. Searchの体験自体は何が変わりますか? Android Authorityは、新しいSearchをAIを取り込んだ進化と位置づけており、機能拡張と引き換えに今回紹介した新広告フォーマット群が組み込まれていくと報じています。商品検索・調べ物・比較といった日常的な利用シーンの中で、Geminiが生成する解説や対話型の応答に触れる頻度が増え、それと隣り合わせでスポンサー枠が並ぶ画面構成が標準になっていく見通しです。
