デュアルSIMで毎回出てくる「どっちのSIMで発信しますか?」という選択ダイアログから、ようやく解放されるかもしれません。GoogleがPhoneアプリ(電話アプリ)の発信時SIM選択UIを刷新する新オプションをテストしている可能性があると、Android Authorityが伝えています。APK解析で発見された未公開の挙動で、現行のポップアップ式から、ダイヤルパッド上部に控えめに表示されるドロップダウン式メニューに置き換わる可能性があるとされています。デュアルSIM運用者にとっては、発信ごとの中断ストレスを軽くする変更になりそうです。

なお本記事はAPK解析・ダミーUIに基づく未公開機能の情報を扱っており、最終製品の仕様や挙動は変わる可能性、また一般公開されない可能性がある点を前提に読み進めてください。あくまで開発中コードから推測される将来像であり、現時点で確定した機能ではありません。

毎回出る「どっちのSIMで発信?」ダイアログ問題

Android端末では、通話・SMS・モバイルデータ通信ごとにデフォルトSIMを指定できます。ここで「毎回発信前にどちらのSIMから発信するか聞く」という設定も用意されていますが、両方のSIMを能動的に使い分けるユーザーには便利な一方で、毎回ダイアログが立ち上がるため煩わしさもあると、Android Authorityは指摘しています。

物理SIMスロットが1つしかないPixelシリーズのような端末でも、物理SIM+eSIMの組み合わせでデュアルSIM運用は可能で、キャリアロック端末が主流の米国市場でもこの構成は広がっていると報じられています(こうした米国市場の状況に関する言及は、Android Authorityの解説に基づくものです)。「毎回ダイアログ問題」は、Pixelを含む素のAndroidに近い端末で長年指摘されてきた不満点だと伝えられています。

ダイヤルパッド上部で完結する新しい切り替え方

報じられている新UIは、Phoneアプリのダイヤルパッド上部に小さなドロップダウンメニューとして表示され、タップするだけで発信に使うSIMを切り替えられる仕組みだと説明されています。発信前のフルスクリーン的なポップアップを呼び出さずに、その場で発信SIMを変更できるイメージだと読める構成です。

  • 選択したSIMは、次に変更するまで「発信時に優先されるSIM」として保持されるとされる
  • 端末側の通話設定(デフォルトSIM)には影響を与えないと報じられている
  • デフォルトSIMを設定している場合、副回線で1本発信した後は自動的にデフォルトSIMへ戻る挙動だと伝えられている

つまり「ほとんどはメイン回線で発信するが、ごく一部の用途でサブ回線を使いたい」というケースに最適化された動きで、設定全体を書き換えずに一時的な切り替えだけを軽く行える設計だ、との見方もあります。ただしこれはAPK解析から読み取れる挙動の解釈であり、Googleが公式に意図を説明したものではない点には留意が必要です。

APK解析で発見された段階——展開時期は未公表

この機能は、Google Phoneアプリのpublic betaバージョン**「224.0.921818792」**でテストされている状態が確認されたとAndroid Authorityは報じています。同メディアは、AssembleDebug氏によるAPK解析に基づく情報として伝えており、現時点では一般ユーザー向けには公開されていません。

Android Authorityも記事末尾で、APK解析は開発中コードから将来の機能を予測するものであり、最終的に一般公開されない可能性がある点に注意を促していると伝えられています。一部のAndroidスキンやiPhone標準のダイヤラーは既に同種の機能を備えていると伝えられており、Googleが素のAndroidに近い環境のユーザー向けに後追いで実装する動きとの見方もありますが、これはあくまで観測筋による解釈であり、Googleが公式に方針を述べたものではありません。

現時点では「Pixelや素のAndroidでデュアルSIMを使うなら、待つ価値がある可能性のあるアップデート」と判断するのが妥当でしょう。正式にロールアウトされるかどうかは続報を待ちたいところです。

デュアルeSIMへ進むPixelシリーズと変化するSIM運用の前提

Pixel側のハードウェア構成も、デュアルSIM運用の前提条件を更新しています。Pixel 7以降は物理SIMを使わずに2つのeSIMを同時にアクティブ化できるデュアルeSIMに対応し、Pixel 8では物理nano-SIMスロットも残したまま、物理SIM+eSIMによるDual SIM Dual Standby(DSDS)が利用できる構成だと報じられています。

モデルデュアルSIM構成
Pixel 7/8物理SIM+eSIM、またはデュアルeSIM
Pixel 10(米国版)eSIM-only(Pixel 10 Pro Foldを除く)

特にPixel 10は、米国版で物理SIMスロットを廃したeSIM専用設計に移行したと伝えられており、Pixel 10 Pro Fold以外のモデルは米国でeSIMしか使えない仕様だとされています。Phoneアプリ側の発信SIM切替UIが洗練されれば、こうしたeSIM中心の世代でこそ日常的な恩恵が大きくなりそうです。

Phoneアプリ全体に広がる詐欺対策とプライバシー配慮

Google Phoneアプリ本体も2026年に入って、AI連携と詐欺対策を中心に強化が続いています。Pixel 9以降ではScam DetectionがGemini Nanoによりオンデバイスで動作し、詐欺と疑われる会話パターンを検知して通知・音・振動で警告する仕組みで、2026年2月にはこの機能がSamsung Galaxy S26のPhoneアプリにも展開されたと報じられました。通話音声はデバイス上で一時処理され、会話の音声や文字起こしはGoogleや第三者には送信・保存されないと説明されており、プライバシーに配慮した設計が強調されています。

  • 銀行を装う着信を端末上のアプリと突き合わせて検証し、偽装と判定されれば自動的に通話を終了する「verified financial calls」が追加
  • 連絡先の人物になりすました発信者を警告するスプーフィング検知機能が、APK解析で開発中と指摘されている

SIM切替UIの刷新も、こうした地味ながら通話体験を底上げする一連の改善の一環として位置づけられそうです。

Q&A

Q. この新しいSIMセレクタはいつから一般ユーザーが使えるようになりますか? 現時点では一般公開されておらず、正式リリース時期も公表されていません。Google Phoneアプリのpublic betaバージョン224.0.921818792で動作が確認されたとされており、ベータチャネル経由で先行体験できる余地はあるものの、ベータでの可視化=正式提供の確約ではない点には留意が必要です。AssembleDebug氏のAPK解析は将来機能の予兆として参照されることが多い情報源ですが、開発中コードから将来機能を推測するものであり、最終的に一般公開されない可能性も残ります。

Q. 端末側で設定しているデフォルトSIMはどうなりますか? 端末の通話設定(デフォルトSIM)には影響しないと報じられています。Phoneアプリ内のドロップダウンで一時的に副回線を選んで発信しても、その通話後にはデフォルトSIMへ戻る挙動だと伝えられています。なおAPK解析時点の挙動であり、最終仕様で変わる可能性があります。

Q. これはPixel限定の機能ですか? Phoneアプリ(Google製の電話アプリ)の機能としてテストされているため、同アプリが標準ダイヤラーとして動作するPixelや、素のAndroidに近い環境の端末が主な対象になると考えられます。一方で、独自の電話アプリを採用しているメーカー端末では恩恵が直接及ばない可能性があり、対応機種・対応国の詳細は現時点では公表されていません。なお、米国市場におけるデュアルSIM構成(物理SIM+eSIM)の広がりについてはAndroid Authorityの記事内で言及があるものの、地域別の提供範囲は明示されておらず、米国市場の状況に関する記述は同メディアの解説に基づく米国市場固有の事情です。

出典