ASUSがついに自社ブランドのDDR5メモリ市場に参入します。「ROG 20th Edition」と銘打たれた最初のDDR5モジュールが、ROG Crosshair X870E APEXマザーボード上で定格6000 MT/sから一気に8800 MT/sまでオーバークロックされるデモが公開されました。最大48GB容量とROG専用モードを備え、自作ユーザーにとってはASUSのマザーボードと組み合わせた相性保証・QVL最適化への期待が高まる節目のプロダクトです。

ASUS初のROGブランドDDR5メモリが正式デビュー

ASUSは自社ブランド初となる「ROG」DDR5メモリモジュールを発表しました。最大48GBの容量、ROGらしいデザイン、そして低レイテンシプロファイルと高速プロファイルを切り替えられる専用の「ROG-Mode」を搭載しているのが特徴です。

今回のデモで使用されたモジュールの型番は「ROGACN6000CL30-24GBROG20」で、デフォルトでは6000 MT/s・CL26のタイミングで動作するとされています。なお型番中の「CL30」表記とソース本文の「CL26」表記には揺れがあり、最終仕様は確認が必要です。1枚あたり24GBで、デュアル構成では合計48GBになります。

ROGはASUSのゲーミング・エンスージアスト向けブランドとして長く展開されてきましたが、これまでメモリ製品はサードパーティの領域でした。今回の参入により、マザーボード・GPU・周辺機器に続いてメモリも自社ブランドで揃えられる体制が整うことになります。自作ユーザーにとっては、ASUSマザーボードのQVL(メモリ動作確認リスト)最適化やバンドル展開、BIOSとの相性検証で恩恵が期待できる構図です。

Crosshair X870E APEX上で8800 MT/sを達成

オーバークロックセッションは、ASUS社内のオーバークロッカーであるSafedisk氏が担当しました。プラットフォームの構成は以下の通りです。

項目内容
マザーボードROG Crosshair X870E APEX
CPUAMD Ryzen 9 9950X3D2(※ソース表記のまま)
BIOSAGESA 1.3.0.1(2301)
メモリROG 20th Edition DDR5 24GB×2
冷却水冷(20℃未満を維持)
電圧1.70V

このBIOSはASUSの800シリーズマザーボードでAMD EXPO 1.2の予備サポートを有効化するもので、AMD環境におけるメモリOC基盤の最新版という位置付けです。

定格6000 MT/s・CL26のモジュールは、8800 MT/s・CL34まで引き上げられ、RunMemtestProによる安定性テストで47分間の稼働中に平均114.50%のカバレッジを記録しました。1.70Vという比較的高めの電圧と水冷による20℃未満の温度管理は、日常運用というよりはデモ的なセッティングですが、メモリICとPCB設計の素性が良いことを示す結果です。

「ROG Crosshair 2006」マザーボードと共に披露された節目モデル

今回のオーバークロックデモは、ソースによれば新たに披露された「ROG Crosshair 2006」と紹介されたマザーボード上で行われた文脈で語られています。これは2006年のオリジナルCrosshairのレトロデザインを、X870EチップセットとAM5ソケットといった現代の機能で再構築したモデルとされています。一方で、ソース本文には実際の検証テストはROG Crosshair X870E APEXマザーボード上で実施されたとも明記されており、ボードの取り扱いには表記の揺れがあります。

ROG 20th Editionという名称が示す通り、ROGブランドの節目を記念したラインナップであり、メモリとマザーボードの両方が「ブランドの歴史を象徴する製品」として位置付けられているのが読み取れます。報道では、今回の参入を機にASUSがエンスージアスト・メインストリーム双方のユーザーを視野に、今後さらにメモリ製品を投入してくると見込まれる、との記者の予測が示されています(ASUS公式の計画発表ではない点に注意)。

価格・発売時期——今すべき準備

ROG 20th Edition DDR5は発表されたばかりで、価格や正式な発売時期、流通網については現時点で明らかにされていません。AMD AM5環境、特にX870Eチップセット搭載のROGマザーボードを使うエンスージアストにとっては、組み合わせの相性が最も期待できる選択肢になりそうです。続報を待ちつつ、デモで用いられたAGESA 1.3.0.1 BIOSがEXPO 1.2の予備サポートを有効化していた点は参考になります。

正式名称・価格・ROG Modeの詳細スペック

正式名称や価格、発売時期など、元記事公開後に追加で判明した情報を整理します。

  • 正式名称: ROG DDR5 RGB Edition 20として、ROG DAY 2026で20周年デザインと共に披露されました
  • 開発体制: ROG認定メモリパートナーのBIWINと共同開発され、SK hynix M-die ICを採用しています
  • 価格・発売: 中国での価格は5,999元(約880米ドル)で、6月下旬発売予定です。グローバル展開は未確定です
  • 保証: ライフタイム保証が付帯します

ROG Modeの中身も具体的に判明しています。最新のASUS ROGマザーボードのBIOSに搭載されるROG Modeは、低レイテンシ寄りの「6000 CL26-36-36-76」を1.45Vで動作させるモードと、高帯域寄りの「8000 CL36-48-48-110」を1.40Vで動作させるモードを切り替えられる設定となっています。この二重プロファイルは、ROG Crosshair、ROG Maximus、ROG Strixといったマザーボードと組み合わせたときに解放される仕組みです。元記事のデモは8800 MT/sの極限OC例でしたが、エンドユーザー視点ではこの「8000ワンクリック」プロファイルが実用的な落としどころになりそうです。

ROG認定メモリプログラムとDRAM市場の文脈

今回の参入は、認定メモリ全体のエコシステム再構築という側面も持っています。ASUSは同イベントで「ROG認定メモリプログラム」を新設し、ADATA、Apacer、ASGARD、BIWIN、Corsair、G.SKILL、GeIL、Kingston、KLEVV、Lexar、Silicon Power、TeamGroup、V-Color、Viper Gamingの14社をDRAMパートナーとして列挙しました。

価格設定の背景にあるDRAM市況も無視できません。

AIデータセンター需要によって、2025年中頃に約80ドルだった32GB DDR5-6000 CL30キットは現在400ドル超まで値上がりし、約4倍の価格上昇を招いています

この相場を踏まえても、ROG kitの880ドルという値付けは、最安829ドルのGeForce RTX 5070 Tiや、同容量・同等スペックで799.99ドルのTrident Z5 Neo RGB DDR5-6000より約10%高い水準です。エンスージアスト向けの相性保証とブランド体験に、相応のプレミアムが乗った構図と言えます。

Q&A

Q. ROG 20th Editionの定格スピードはどのくらいですか? ソース本文ではデフォルト6000 MT/s・CL26と記載されています(型番には「CL30」表記もあり揺れあり)。デモでは8800 MT/s・CL34まで水冷・1.70V条件でオーバークロックされていますが、これは検証用のセッティングであり、常用設定とは別物と考えるのが妥当です。

Q. このメモリを使うにはどの環境が必要ですか? デモではAMD Ryzen 9 9950X3D2と、AGESA 1.3.0.1 BIOS(2301)を導入したROG Crosshair X870E APEXが使用されました。同BIOSはASUS 800シリーズマザーボードでAMD EXPO 1.2の予備サポートを有効化するもので、AM5プラットフォームのエンスージアスト向け構成が前提となります。

Q. 一般ユーザーでも8800 MT/sで運用できますか? 今回のデモは水冷で20℃未満を維持し、1.70Vを印加した上での結果です。空冷・通常電圧での常用域とは異なるため、一般環境で同じ数値を狙うのは現実的ではありません。常用するなら定格6000 MT/sもしくはEXPOプロファイルの範囲内で運用するのが安全策です。

出典