「財布も鍵も家に置いて、iPhoneだけで出かける」——そんな日常を成り立たせる5つの機能が、すでにApple Walletに揃っています。9to5Macは、Apple Walletがクレジットカード・交通系・鍵・送金まで担う存在へと静かに進化しており、物理的な財布と鍵を持ち歩く必要を実質的に消し去ったと紹介しています。ここでは同記事が挙げる5つの機能を整理します。

なお、本記事で紹介するTap to Cashを含むP2P送金機能やApple Cash、iMessage送金などは米国を中心に提供される機能で、日本のApple Walletでは利用できない、あるいは仕様が異なるものが含まれます。記事は米国環境を前提とした紹介である点に注意してください。

① Apple CashとiMessage送金で「Venmo・Cash App・Zelle」を置き換える

Apple IDがあれば、Apple Wallet内にApple Cashカードを無料で追加できます。銀行口座から残高をチャージして、他のクレジット/デビットカードと同じようにApple Payで使えるデジタルデビットカードです。

加えて、iMessage経由で個人間送金(P2P決済)に対応します。9to5Macの筆者は、これがVenmo・Cash App・Zelleといった送金アプリの代替になっていると述べています。FDIC(米連邦預金保険公社)の保険対象であることも安心材料として挙げられています。

ただし、ATMでの現金引き出しには対応していません。そこだけは物理デビットカードと完全には置き換わらないポイントです。

② Tap to Cash:iPhone同士を近づけて個人間で送金する

Apple Cashカードはもう1つの機能を解放します。9to5Macは、Apple Cashカードによって有効になる新機能として、iPhone同士を近づけるだけで個人間送金が完了するTap to Cashを紹介しています。追加の決済端末を介さず、相手のiPhoneに自分のiPhoneを近づけるだけでApple Cash残高を相手に送れる仕組みです。

操作手順は以下のとおりです。

  • Walletアプリを開く
  • Apple Cashカードをタップ
  • 「Send or Request」をタップ
  • 「Tap to Cash」を選択
  • 金額を入力
  • ロックボタンをダブルタップ(送金確定操作)
  • 受取側のiPhoneに自分のiPhoneを近づける

これで受取側のApple Cash残高に金額が反映されます。手数料を取る仲介サービスを通さずに直接送金できるのが大きな利点だと、同記事は「ゲームチェンジング」と評価しています。

③ エクスプレストランジット:改札を「タップだけ」で抜ける

**Express Transit Card(エクスプレストランジットカード)**は、地下鉄やバスの改札で使う専用カードをあらかじめ指定しておく機能です。Face IDやロックボタンのダブルタップすら不要で、iPhoneを端末にかざすだけで通過できます。

設定手順は次のとおりです。

  • 「設定」を開く
  • 「ウォレットとApple Pay」をタップ
  • 「エクスプレストランジットカード」までスクロール
  • 使いたいカードを選択

機能自体は数年前から提供されているものの、存在を知らないユーザーが多いとされており、混雑する改札での「もたつき」を解消する手段として有効です。

④ カード本体を家に置いて出かけられる——Walletに実カード番号を保存

以前のApple Walletでは、登録したクレジットカードの実際の番号は表示されず、決済用に暗号化された仮想番号しか確認できませんでした。物理カード番号が必要になったときには、結局カード本体を取り出す必要があったわけです。

現在は、保存したカードを開いて右上のメニューを開くと、Face ID認証の後ろに本物のカード情報を保存・表示できます。

  • Apple Walletを開く
  • 保存済みカードを選ぶ
  • 右上の「…」をタップ
  • Face IDの先で物理カードの詳細を表示・追加

Apple Payが使えない場面でも、Wallet内のカード番号を確認して手動決済できるため、筆者はこれが「物理カードを家に置いて出かけられる決定打になった」としています。

⑤ 車と家のデジタルキー:iPhoneだけで家を出る

Apple Walletは、車のキー(カーキー)と家の鍵(ホームキー)のデジタル収納にも対応しています。Apple HomeKit対応のスマートロックがあれば、ドアノブにiPhoneをかざすだけで解錠できますし、対応車であればキーフォブなしでロック解除・施錠・基本操作が可能です。

オートロック・オートアンロック用のプロキシミティ(近接)機能も「非常に信頼できる」と紹介されており、筆者は「家を出るときに鍵を持たない」生活が成立していると書いています。

物理財布を完全に置き換える存在へ

クレジットカード・送金・交通・鍵まで一枚のアプリで完結する流れは、Apple Walletを「決済アプリ」から「日常の基盤」へと押し上げています。同記事は、Apple Card・高金利貯蓄口座・ライブアクティビティ・搭乗券といった、今回触れなかった機能も多いとも付け加えています。

すでにiPhoneを毎日使っているなら、まずはエクスプレストランジットの設定と、カード番号表示の有効化あたりから試してみる価値があります。物理財布を「持たなくていい日」を作れるかどうかは、Walletをどこまで仕込めているか次第です。

Digital IDで広がる「身分証もiPhoneだけ」の世界

元記事では触れられていませんが、Apple Walletは身分証のデジタル化でも前進しています。運転免許証や州IDをApple Walletに追加できる機能は現在米国12州とプエルトリコで提供されており、直近半年でモンタナ、ノースダコタ、ウェストバージニアが加わったほか、日本ではマイナンバーカードとして国際初の対応を果たしました。

州対応の遅さを補う仕組みも整いつつあります。

iOS 26の「Digital ID」がパスポート起点で使える

州対応の歩みが遅いため、iOS 26ではAppleが「Digital ID」と呼ぶ代替策を用意しました。州の対応を待たずに、米国パスポートの情報をもとにApple WalletでIDを作成し、iPhoneやApple Watchで提示できる仕組みです。ローンチ時点で、Digital IDは米国内250以上の空港のTSA検問所で国内線旅行向けに受け入れられています。さらに2026年4月には、iPhone上で新規Apple Account作成、デバイスのソフトウェア更新、安全設定の変更、18+評価アプリのダウンロード時の年齢確認手段としても正式に利用できるようになりました。物理財布から身分証を抜く日も視野に入りつつあります。

カーキー対応ブランドの拡大とiOS 27「Create a Pass」

元記事は車の鍵機能を概観していますが、対応ブランドはここ数か月で大きく増えています。

メーカー対応モデル補足
Porsche2026年型Macan EV/Cayenne EV2026年型Macan EVでカーキーが利用可能になり、近く2026年型Cayenne EVにも拡大予定
Toyota最新RAV4最新RAV4で対応開始、今後他モデルへ拡大予定

ToyotaのカーキーはToyota Connectの月額15ドルのサブスクリプションが必要ですが、新車購入時は1年無料といった条件もあるため、運用コストは事前確認が必要です。

加えて、iOS 27ではWalletアプリ自体も拡張されます。Appleは次期iPhoneソフトウェアアップデート向けに、ユーザーがWalletアプリ内で自分のデジタルチケットやギフトカードを作成・カスタマイズできる「Create a Pass」機能を準備中です。テンプレートは標準・メンバーシップ・イベントの3種類がテストされており、標準はあらゆるパスの既定、メンバーシップはジムのような施設入場、イベントは試合や映画のチケット向けに想定されています。iOS 27はWWDCで発表予定で、開幕は6月8日です。

Q&A

Q. Apple CashやTap to Cashは日本でも使えますか? Apple Cash、iMessage経由のP2P送金、Tap to Cashは主に米国向けの機能で、日本のApple Walletでは利用できない、あるいは提供範囲が異なります。詳細は出典元を参照してください。

Q. エクスプレストランジットカードに設定すると、Face ID認証なしで決済されるのは安全ですか? エクスプレストランジットは交通系の改札を素早く通るために認証を省略する仕組みで、9to5Macは「支払いに必要な手順(steps)をゼロにする」と表現しています(実際にはiPhoneを端末にかざす動作は必要です)。一般のApple Pay決済(店舗での買い物)にはこの設定は適用されず、引き続きFace IDなどの認証が必要です。

Q. Walletに表示されるカード番号は、物理カードの番号と同じものですか? 9to5Macの説明によれば、Face ID認証の後ろに保存・表示できるのは実際のカード番号(物理カードの情報)です。これにより、Apple Payが使えない状況でもカード番号を確認して決済できると紹介されています。

出典