Eコマース界の連続起業家として知られるMarc Lore氏が、自身のフードテックスタートアップ「Wonder」にAIを本格導入する構想を明らかにしました。The Wall Street Journal主催の「Future of Everything」カンファレンスで語られた内容によると、誰でも1分未満で自分のレストランブランドをAIで生成し、Wonderのキッチンネットワーク全体に即日展開できる仕組みを目指しているとのことです。
AIがレストランを1分で設計——「Wonder Create」とは
Wonder Createは、食の起業家からSNSインフルエンサーまで、誰でもAIを使って独自のレストランブランドを立ち上げられるイニシアチブです。Lore氏はその仕組みを「ShopifyのフロントエンドにAIプロンプトを組み合わせたようなもの」と表現しています。
具体的な流れはシンプルです。ユーザーが「どんなレストランを作りたいか」をテキストで入力すると、AIが店名・ブランディング・説明文・写真・価格設定・栄養情報・全レシピを1分未満で自動生成します。内容を調整したければプロンプトを修正し、準備が整い次第Wonderの全拠点で一斉にローンチできます。
Lore氏はユースケースとして、実店舗を持つ飲食店オーナーが新メニューの反応を試す場として使う例や、インフルエンサーがファンとのつながりを収益化する手段として使う例を挙げています。「メガインフルエンサーでも、マイクロインフルエンサーでも、フォロワーを収益化したい人なら誰でも使える。パーソナルトレーナーが専用のボウル料理を作ってもいいし、非営利団体でも、新映画のプロモーションをしたいDisneyでも、誰でもレストランを作れる」とLore氏は述べています。
「プログラマブルキッチン」の実力と拡大計画
Wonderのキッチンは通常のレストランとは根本的に異なります。面積2,500平方フィートの全電化キッチンに700種類の食材ライブラリを備え、コンベアやロボットアームを活用しながら最大12人のスタッフが稼働する「プログラマブルクッキングプラットフォーム」です。1拠点で最大25種類の料理ジャンルに対応でき、現在は10〜20席のファストカジュアル形式の店舗も展開しています。
ロボット化を進めても必ずしも人員削減にはならないとLore氏は強調しています。目的は生産量の拡大です。「現在は12人で700万のスループット容量がある。2,500平方フィートで12人のまま2,000万のスループットまで引き上げる道筋が見えている」とLore氏は語っています。さらに2035年には同じ2,500平方フィートから1,000種類のユニークなレストランを運営することを目標に掲げています。
来年には「インフィニット・ソースマシン」の導入を計画しており、インターネット上のレシピに登場するソースの約80%を自動生成できるとしています。ロボット関連では、Sweetgreenが以前使用していた自動ボウル製造機メーカーのSpice Roboticsを買収済みです。
拠点数は現在120か所で、来年400か所へ拡大する見込みです。
ゴーストキッチンの苦い教訓——Wonderは同じ轍を踏むか
Wonderのモデルは、2020年代初頭に流行したゴーストキッチンと似た概念を持ちます。ゴーストキッチンは、実店舗を持たずに飲食ブランドを展開できる仕組みとして注目を集めましたが、顧客ロイヤルティの構築に苦しみ、撤退・縮小した事業者も少なくありませんでした。Wonderの自動化やAIの導入はこうした課題のいくつかに対処できる可能性がありますが、大規模展開でのモデルの有効性はいまだ実証途上にあると見られています。
Q&A
Q. Wonder Createは今すぐ使えますか? Wonder Createは今年初めに発表されたイニシアチブですが、ソース記事の時点でサービスの一般提供開始時期や利用条件の詳細は確認されていません。
Q. Wonderのキッチンは日本にもありますか? ソース記事では米国内での展開のみが言及されており、日本を含む海外展開については触れられていません。
