23年の時を経て、PC版で「史上最高のシンプソンズゲーム」とも呼ばれた『The Simpsons: Hit & Run』を、Androidスマートフォンで遊べるようにする非公式ポートが登場しました。Android Authorityが、GitHubで公開された開発者Carlox33氏のプロジェクトを試した結果、想像以上に快適に動作したと報じています。ただし導入にはいくつかのハードルがあります。
GitHub公開の非公式ポート、動作には元のゲームファイルが必須
開発者Carlox33氏がGitHub上に、Android向けの完全動作するポートをアップロードしました。誰でもインストールして遊べる形で公開されていますが、ゲーム本体のデータは含まれていません。動作させるためには、オリジナルCDなどから取り出した元のゲームファイルが別途必要です。
『The Simpsons: Hit & Run』はすでに販売が終了しており、現在は新規購入できない状態が続いています。それでも当時のPC版を所有しているユーザーであれば、自分の手元の正規データを使ってAndroid上で再びスプリングフィールドを駆け回ることが可能になります。
導入手順についてはGitHubリポジトリに専用のインストールガイドファイルが用意されているため、手順自体は迷いにくいと報じられています。
タッチ操作は未対応、現状はPS・Xboxコントローラーで遊ぶ形に
現時点で大きな制約となっているのが、入力デバイスです。本ポートにはタッチ操作がまだ実装されておらず、外部コントローラーの接続が必須となっています。PlayStationまたはXboxのコントローラーをAndroidスマホに接続することで、ようやくスプリングフィールドの街を走り回れるようになります。
ただし、開発者はタッチ操作の追加にも取り組んでいるとコメントしており、今後対応が進む可能性があります。現状ではスマホ単体で完結しないため、外出先で気軽に遊ぶというよりは、自宅でコントローラーを繋いで腰を据えて遊ぶスタイルになりそうです。
なお、ハードウェア面での要求は非常に低く、GitHubページに記載されている最小要件を見る限り、ここ数年に発売された大半のAndroid端末で問題なく動作するとされています。Android Authorityの筆者はvivo X300 FE上で試し、非常に快適に動作したと述べています。
最大の難所はゲームアセットのコピー——「Android/data/」への配置
導入で最も詰まりやすいのが、ゲームアセットを正しい場所に配置する作業です。元のゲームファイルは「Android/data/」配下にペーストする必要があります。
しかしGoogleがAndroidのファイルシステムのセキュリティを強化したことで、現在は「Android/data/」内のフォルダにファイルマネージャーから直接アクセスできなくなっています。そのため、Carlox33氏のポートを動かすには、スマートフォンをPCに接続してファイルをコピーする方法を取らざるを得ません。Android Authorityの筆者はMac環境を使っているため、ADB(Android Debug Bridge)経由でファイルを転送したと説明しています。
PCを用意する手間と、ADBや有線接続でのファイル転送に慣れていることが、実質的な導入条件になります。
DMCAリスクという不確実性、現時点での扱い方
非公式ポートという性質上、権利者からのDMCA削除要請によって公開停止になるリスクは常に存在します。Android Authorityも、このポートがDMCAで消されないことを願う、と懸念を率直に書いています。
2003年前後にPCゲームに親しんだ世代にとっては、まさに「思い出への小旅行」となる一本です。一方で、いつ公開停止になっても不思議ではない非公式プロジェクトであることは念頭に置く必要があります。元のゲームデータを所有していて、コントローラーとPC環境がすでに手元にあるユーザーであれば、公開されているうちに試してみる価値はある、と判断するのが妥当でしょう。続報を待ちつつ、まずは導入条件が揃っているかを確認するところから始めるのがよさそうです。
公式リマスターの可能性——New Radical Gamesと「Never say never」発言
公式な復活への期待も、わずかながら動きがあります。オリジナル開発元Radical Entertainmentの元従業員Ian Wilkinson氏が新会社New Radical Gamesを設立し、同社サイトでは移植やリマスタリングのサービス提供を明記しています。サイト自体は2025年4月に再ローンチされたもので、ファンの憶測を呼んでいます。
さらに番組サイドからも前向きな発言が出ています。エグゼクティブプロデューサーのMatt Selman氏はPeople誌に対し、復活の可能性について「Never say never」と語りました。
ただし権利関係は依然として複雑です。
DisneyがIPを所有し、EAがゲームのライセンスを保持し、Microsoftがソースコードを所有しているとされています。
加えて2027年7月23日にはThe Simpsons Movieの続編公開が予定されており、映画公開に合わせた何らかの動きがあるかは注目点となっています。権利者ごとに利害が異なるため、仮に話が前進するとしてもスピード感は読みにくく、当面はNew Radical Gamesと番組サイドの発言が手がかりになりそうです。
ソースコード流出から広がる非公式移植エコシステム
Carlox33氏のAndroid版は孤立したプロジェクトではなく、より大きな非公式移植の流れの一部となっています。2021年にゲームのソースコードがオンラインで流出し、ファンはそのコードをもとにMOD制作を行えるようになりました。これを起点に各プラットフォームへの移植が派生しています。
| プロジェクト | 概要 |
|---|---|
| Carlox33版 Android | バージョン0.86のベータ段階で公開されています |
| ZenoArrows版 | 流出ソースコードから派生したNintendo Switch向け移植が進行しています |
| Xbox UWP版 | Xbox Series X/S向けの移植プロジェクトがGitHub上に存在しています |
一方でリスクも明確です。Activisionは過去にReubs氏によるUnreal Engine 5リメイクをはじめ、複数のMODに削除要請を送付した経緯があり、現在公開中のポートも同様の措置を受ける可能性は残されています。非公式ポートを楽しむなら、公開停止前に動作環境を整えておくことが現実的な選択肢になります。
Q&A
Q. このポートは無料で遊べますか? GitHubで公開されているポート自体は誰でも入手できる形になっていますが、動作には別途、自分が所有するオリジナル版の『The Simpsons: Hit & Run』のゲームファイルが必要です。ゲーム本体は現在新規購入できない状態です。
Q. スマホ単体でインストールから起動まで完結しますか? 完結しません。ゲームアセットを「Android/data/」配下に配置する必要があるため、PCとの有線接続、またはADBを使ったファイル転送が必要です。さらに現時点ではタッチ操作が未実装で、PlayStationやXboxのコントローラーを接続して遊ぶ形になります。
