米EV大手Rivianが、Android AutoとApple CarPlayへの対応を引き続き見送る方針を改めて示しました。かつては「70%を超える顧客がCarPlayを要望していた」とされる同社ですが、現在の社内データでは「25%未満」にまで低下したと報じられており、独自AI「Rivian Assistant」を軸にした路線へ大きく舵を切っています。普段使っているGoogleマップやSpotify、LINEカーナビをそのまま車載画面に映せない——CarPlay/Android Auto非対応とは、利用者にとってそれほどシビアな選択肢です。

ソフト責任者「CarPlay論争は完全に陳腐化した」

Android Authorityによると、Rivianのチーフ・ソフトウェア・オフィサー(CSO)を務めるWassym Bensaid氏は、Android AutoやApple CarPlayといった第三者製インフォテインメント統合をRivian車両に搭載する考えはないと踏み込みました。

Bensaid氏は「ディープなAI統合」によって「CarPlayをめぐる議論全体が完全に陳腐化する」と説明する立場です。スマートフォン画面を車載ディスプレイに投影する従来型の手法に依存しなくても、自社AIで同等以上の体験を提供できるという見立てが背景にあります。

利用者側の視点で言い換えると、これは「普段スマホで使い慣れたナビ・音楽・メッセージアプリのUIを、そのまま車載画面で動かす」という体験は、Rivian車では当面期待できないという話でもあります。

「70%超→25%未満」——CarPlay要望はなぜ急落したのか

Bensaid氏は、かつてはRivianの顧客もAndroid AutoやCarPlayとの統合を強く望んでいたと認めています。具体的には、過去の社内調査で「70%を超える顧客がCarPlayを要望していた」と紹介する形です。

しかし、より新しい調査ではこの数字が「25%未満」にまで低下したという見立てを示しました。Rivian自身のソフトウェア改良により「CarPlayやAndroid Autoはもはや議論のテーマではなくなった」というのが同社の現在のスタンスです。

ただし、この調査結果はRivianが社内で参照しているデータとして紹介されたものであり、調査の母数や方法論など詳細は明らかにされていません。あくまでBensaid氏のコメント上の数字として受け止めるのが妥当です。

Geminiとの音声連携——「いつ」の答えは曖昧

Android AutoやCarPlayが持つ「自動車メーカー側の追加作業なしにユーザーの全アプリへ対応できる」という強みをどう代替するのか、という問いに対し、Bensaid氏は「将来的には」Rivian AssistantがGoogleのGeminiと連携し、音声でユーザーのスマートフォン上の特定アプリを操作できるようになる可能性があると踏み込みました。

ここでの「将来的には」という表現には注意が必要です。現時点で具体的なリリース時期や対応アプリの範囲は示されておらず、構想段階の発言と捉えるのが適切と言えます。

Rivian Assistantはサブスクリプション型のサービスで、Rivianは「AIベースのデジタル・コパイロット」と位置づけています。Bensaid氏の説明によれば、同アシスタントは車両に深く統合されており、一部の車両設定や機能の調整、ペアリング済みスマートフォンに届いたテキストの要約、特定の車両に関するトラブルシューティング質問への回答といった機能を備えるという見立てです。利用者にとっては、「使い慣れたアプリをそのまま映す」のではなく「Rivian Assistant経由で車両・スマホをまとめて操作する」という体験へ寄せていく構えだと読めます。

R2発売を前にしたメッセージ——購入検討時の判断軸

Rivianはこのインタビューのなかでフォルクスワーゲンとの合弁や新型SUV「R2」についても言及しており、今回の発言はR2発売を控えたタイミングで出されたものとされています。

Rivianは米国市場においてAndroid AutoとCarPlayの両方を採用しない数少ないメーカーとして知られてきました。Bensaid氏の今回の発言を踏まえると、その方針が短期的に変わる兆しは見られません。R2を含むRivian車の購入を検討する際は、自分の利用スタイルにおいてCarPlay/Android Autoが必須かどうか、そしてサブスクリプション型のRivian Assistantをどう評価するかが、判断の分かれ目になりそうです。

R2は2026年6月9日ローンチ——価格帯と納車スケジュール

Rivianは新型SUV「R2」を2026年6月9日にローンチします。同日から既存予約者への注文招待の送付が始まり、初回顧客への納車とデモドライブの提供も同時にスタートします。顧客向け量産は2026年4月22日、イリノイ州ノーマル工場で正式に開始されました。注文が確定してから納車までの想定期間は2〜6週間とされています。

トリム価格(USD)納車時期
R2 Performance$57,9902026年春
R2 Premium$53,9902026年後半
R2 Standard Long Range$48,4902027年初頭
R2 Standard約$45,0002027年後半

最上位のR2 Performanceはデュアルモーター構成で656馬力、0-60mph加速3.6秒、EPA推定330マイルの航続距離を備えます。複数のトリムが段階的に投入されるスケジュールのため、価格を優先して2027年のStandardグレードまで待つのか、性能重視でPerformanceの初期ロットを狙うのかが、購入検討時の判断軸になりそうです。

Rivian Assistantは2026.15で配信開始——料金と機能の実像

CarPlay非対応の代替として位置づけられるRivian Assistantは、2026.15ソフトウェアアップデートでGen 1およびGen 2のR1S・R1Tに展開されました。Google Gemini Proを搭載したアシスタントで、R2にも今後展開される予定です。

利用条件は次の通りに整理されています。

  • Connect+サブスクリプション(月額$14.99または年額$149.99)が必要で、有効化するとAlexa統合は自動的に無効化されます
  • メディア制御はApple Music、Spotify、Tidal、Sirius XMに対応します
  • Google Calendar連携が最初のサードパーティ統合で、ナビゲーション計画に活用できます
  • 受信したテキストの読み上げや、会話内容に基づく行き先の提案機能も備えます
  • 現時点では英語のみの対応で、クラウド接続が必須です

基盤となるアーキテクチャはRivian Unified Intelligence(RUI)と呼ばれ、Google Vertex AIおよびGeminiによって機能が拡張されています。

Q&A

Q. RivianはAndroid AutoやApple CarPlayに今後対応する可能性はありますか? ソフトウェア責任者のWassym Bensaid氏は、独自AIの強化によりCarPlay論争自体が陳腐化したと述べており、対応する方針は示されていません。短期的に方針が変わる兆しはないと報じられています。

Q. 現行のRivian車オーナーは、今回の発言を受けて何か追加対応が必要ですか? 公開情報の範囲では、既存オーナー側で特別な操作や設定変更を求めるアナウンスは確認されていません。今回の発言は今後の方針説明という位置づけで、現行車両の利用条件が直ちに変わるという話ではないと整理できます。

Q. Rivian Assistantのサブスクリプション料金は明らかになっていますか? 報じられた範囲では、Rivian Assistantは「AIベースのデジタル・コパイロット」と位置づけられたサブスクリプション型サービスである、という説明にとどまっています。具体的な料金体系・地域別の提供条件は現時点で明らかにされていません。

出典