クロスプラットフォーム共同視聴サービスのRaveが、2025年8月にApp StoreからRaveアプリを削除したAppleに対し、米国・カナダ・ブラジル・オランダ・ロシアの5カ国で反トラスト訴訟を提起しました。

Raveは、AppleがSharePlayとの競合を排除する目的で削除を強行したと主張しています。

一方で、Kaspersky・BitDefender・Google等がRaveをマルウェアと分類していた事実も明らかになっています。

提訴の全体像——5カ国でApple相手に反トラスト訴訟

Raveは、2025年8月にApp StoreからRaveアプリを削除したAppleに対し、米国・カナダ・ブラジル・オランダ・ロシアの5カ国で反トラスト訴訟を提起しました。Raveによれば、Appleは削除の理由として、具体性を欠いた不正行為の申し立てと、コンテンツモデレーションに関する曖昧な懸念を挙げたとされています。

Raveはこれに対し、AppleがSharePlayとの競合を排除し、スマートフォンにおける共同視聴市場を独占する目的で削除を強行したと主張しています。さらに、AppleがRaveのMac版アプリをマルウェアとして誤って分類したことで、MacユーザーがRaveをインストールできなくなったとも訴えています。

項目内容
提訴国米国・カナダ・ブラジル・オランダ・ロシア
削除時期2025年8月
訴訟の目的iOS・macOS版Raveアプリの再掲載と、削除に伴う損害賠償の回収
現在の対応プラットフォームWindowsとAndroidのみ

Apple側は本訴訟および削除について現時点でコメントを出していません。

RaveとSharePlayの位置関係——クロスプラットフォーム対応で差別化

Raveは2016年に創業され、離れた場所にいるユーザー同士が映画やTV番組を一緒に視聴できる共同視聴サービスです。チャット機能を内蔵し、視聴中の議論をその場で行える点が特徴となっています。一方Appleは2021年にSharePlayをリリースし、iPhone・iPad・Mac間で番組や音楽を共有しながらチャットする機能を提供してきました。

比較項目RaveSharePlay
提供開始2016年2021年
対応プラットフォームiOS / Mac / Android / WindowsApple製品のみ
AndroidとWindowsでの動作対応非対応

Raveの強みはAppleの非対応プラットフォームを含めて横断的に視聴体験を提供できる点にありました。ただし、Redditでの議論では、Raveについてモデレーションのない公開チャットルーム、ポルノ、詐欺、CSAM(児童性的虐待コンテンツ)に関する問題が指摘されていたことも明らかになっています。さらにKaspersky、BitDefender、Windows、GoogleがRaveをマルウェアとして分類していた事実もあり、Appleには競合排除以外にユーザー保護の理由があった可能性があるとMacRumorsは報じています。Rave側は現在、業界をリードするコンテンツモデレーションおよび年齢認証技術を整備したと主張しており、Appleの批判への先回りと見られています。

共同視聴サービスを巡る構造的論点

App Storeの運営を巡っては、ゲートキーパーとしての裁量権に対する監視が世界的に強まっている時期にあたり、今回の提訴もその流れの中に位置づけられると見られます。プラットフォームを横断した共同視聴サービスは、特定OSに閉じた純正機能の代替として一定の存在感を持ってきた傾向があり、その削除は競争環境の論点として扱われやすい状況にあると考えられます。

一方で、コンテンツ審査や年齢確認の不備が指摘されてきた経緯があるため、純粋な競合排除なのか安全性確保なのかという二つの軸が並走することになりそうです。日本のようにiPhoneのシェアが高い市場では、選択肢の制限がユーザー体験として直接的に意識されやすい構図があると見られ、今後の判断が共同視聴体験の囲い込み議論に与える影響が注目されそうです。

今買うか・待つか

検討軸判断
今すぐ共同視聴を始めたい場合WindowsまたはAndroid環境であればRaveが利用可能です。Apple機器のみで完結させたい場合はSharePlayが選択肢になります
iOS/macOS版Raveを待つ場合訴訟の結果次第で再掲載の可能性がありますが、5カ国での係争は長期化が見込まれます
クロスプラットフォーム視聴を重視する場合当面はAndroid・Windowsデバイスを軸に環境を組む判断が現実的と見込まれます

Q&A

Q. なぜRaveはApp Storeから削除されたのですか? A. Raveの主張によると、Appleは削除の理由として不正行為に関する具体性を欠いた申し立てとコンテンツモデレーションに関する曖昧な懸念を挙げたとされています。ただしKaspersky・BitDefender・Windows・GoogleもRaveをマルウェアとして分類しており、Appleには競合排除以外の理由があった可能性も指摘されています。

Q. RaveとSharePlayは何が違うのですか? A. Raveは2016年創業で、iOS・Mac・Android・Windowsに対応するクロスプラットフォーム型の共同視聴サービスでした。一方Appleが2021年に提供開始したSharePlayはApple製品(iPhone・iPad・Mac)のみで動作し、AndroidとWindowsには対応していません。Raveは対応範囲の広さで差別化していました。

Q. 現在Raveは利用できますか? A. App Storeからの削除を受け、現在RaveはWindowsとAndroidのデバイスでのみ利用可能です。RaveはiOSとmacOSでのアプリ再掲載および損害賠償の回収を求めて訴訟を起こしています。

出典