Gmailを完全に閉じずに、Proton Mailからの乗り換えを試せる——Proton Mailが、Gmailからの移行を後押しする新機能を発表しました。Proton Mailアプリ内から自分のGmailアドレスで送受信が行え、Gmail宛ての新着メールはProton Mail側にも自動的に取り込まれます。提供は段階的なロールアウトとされています。

読者にとってのポイントはシンプルです。連絡先全員にアドレス変更をすぐ周知する必要がなく、GmailとProton Mailの「2つの受信箱を行き来する手間」も一段減る——この2点が、移行を検討してきたユーザーへの直接的なメリットです。

Proton Mail内からGmailアドレスで送受信が可能に

Android Authorityによると、Protonは公式ブログで新ツールの提供開始を告知しています。新機能の中核は、ユーザーが「Proton Mailの中から、自分のGmailアドレスを使ってメールを送信できる」という点にあります。加えて、Gmail受信トレイに届く最新のメッセージはProton Mailの受信トレイへ自動的にインポートされます。

つまり、Gmailアドレスを完全に閉じる前の助走期間として、Proton Mail上で「Gmail宛て」のやり取りも一元的に扱えるかたちです。差出人を切り替えながら新しいメールアドレスへ徐々に乗り換えていけるため、いきなり連絡先全員にアドレス変更を周知する必要がありません。

Protonが“Gmailはadware”と断じた理由

Protonはブログ内で、Gmailから離れるべき理由を率直なトーンで説明しています。Googleのアプリを「adware(広告ウェア)」とまで表現し、Googleが広告ターゲティングのために膨大なデータを集めユーザープロファイルを構築している、と主張しています。

これに対しProton Mailは、メールから「トラッカー・広告・スパム」を取り除くことでプライバシーを高めると説明しています。さらに、Proton Mail同士で家族や友人とやり取りする場合のメッセージはエンドツーエンド暗号化される、と強調しています。

なお、上記はProton側の主張であり、Googleとの広告モデル批判という文脈で語られている点は留意が必要です。

3ステップでGmailをProton Mailに繋ぐ

新機能は段階的なロールアウトのため、機能がアカウント上にすぐ現れない可能性があります。利用可能になったあとは、設定(Settings)から有効化する流れです。

  1. 設定(Settings)を開く
  2. Import via Easy Switch を開く
  3. Gmailアカウントを接続する

これだけでProton MailとGmailの紐づけが完了し、Gmail宛ての受信メールがProton側に取り込まれ、Gmailアドレスでの送信もProton Mail内から行えるようになります。

メインのメールアドレスを変えるという作業は、サブスクリプションの登録先・各種ログイン・連絡先への通知など、現実的には大量の付随作業を伴います。今回の機能は、その移行期間中に「2つの受信箱を行き来する手間」を一定程度減らすためのものと位置づけられます。

すでにProton Mailの有料プランを利用している、あるいはプライバシー志向でメールサービスの移行を本格的に検討している方にとっては、有効化のタイミングを見計らう価値のあるアップデートです。逆に、当面Gmailをメインで使い続ける予定で、かつProton側にアカウントすら持っていないのであれば、急いで切り替える理由は薄く、機能が自分のアカウントで解放されてから挙動を確認する形でも十分でしょう。判断軸は「Protonをすでに日常的に使っているか」と「Gmailアドレスをいずれ閉じる意思があるか」の2点に集約されます。

Easy Switchの内部仕様と移行時に押さえたいポイント

Easy SwitchはGmail接続時にOAuth認証を経由し、セットアップ完了後の初期インポートはProtonストレージの最大80%まで使用される仕様です。インポート範囲にも細かなルールが用意されています。

  • Starred・All Mail・Importantの各システムフォルダが対象となり、Importantはカスタムフォルダとして扱われます
  • Gmailのラベルは自動的にProton Mail内のラベルとして再現されます
  • ネスト構造には非対応のため、親ラベル配下のラベルは「親ラベル-子ラベル」形式の新しいラベルとして展開されます
  • 同時に最大2アカウントまで転送可能で、連絡先・カレンダー・添付ファイルもインポート対象に含まれます
  • Google PhotosやGoogle DriveのファイルはProton Driveへ移行できます

プライバシー面では、接続後もProton MailのアドレスがGmail側に公開されない設計だと説明されています。複数アカウントの並行移行や、メール以外のデータも含めた一括引っ越しを想定した作りになっており、Gmail資産をまとめてProton側に持ち込みたいユーザーに向いた仕様です。

2026年春夏に進むProtonエコシステム全体の刷新

今回のGmail連携強化は、Protonが2026年春夏ロードマップで打ち出した一連のアップデートの一部に位置づけられます。受信箱には新たにカテゴリビューが導入され、メールを自動で分類する仕組みが提供されます。暗号化面ではProton Mailがポスト量子暗号に対応し、将来の量子コンピュータを念頭に置いた防御層が加えられています。

ロードマップは他サービスにも及びます。

サービス主な刷新内容
Proton Calendarフルリライトを実施し、オフラインモード・予約ページ・Android標準カレンダーへの対応を追加
Proton VPN新しいWireGuardコードベースへ移行し、LinuxにはStealthプロトコルのサポートを提供
Proton MeetMicrosoft Teamsの欧州代替としてローンチ

メール単体ではなく、VPN・カレンダー・会議までを含めた「Big Tech離れ」のエコシステムが同時に整いつつある点が、Gmail移行支援の背景にあります。Gmailからの乗り換えを検討するユーザーにとっては、Proton全体のサービス群がどこまで自分のワークフローを置き換えられるかという視点での評価が現実的な判断材料になっています。

Q&A

Q. Gmailから取り込んだ受信メールは、Proton Mail側でも検索できますか? 公開情報の範囲では、Gmail受信トレイの最新メッセージがProton Mail受信トレイに「自動的にインポートされる」とされています。インポート後はProton Mail側の受信メールとして扱われる構造のため、Proton Mailの通常の受信トレイ機能を通じて扱える形になります。検索仕様の細部については現時点で詳細は公表されていません。

Q. Gmail由来のメールにもProton Mailの暗号化は適用されますか? Protonが明示的に「エンドツーエンド暗号化される」と説明しているのは、Proton Mailユーザー同士のやり取りに限られます。Gmailから取り込まれた既存メールやGmail経由で送受信されるメッセージにそのままエンドツーエンド暗号化が及ぶかについては、公表された範囲では明確に示されていません。

Q. 機能はすぐに使えますか? 段階的なロールアウトのため、アカウントによってはすぐに表示されない可能性があります。利用可能になり次第、設定内の Import via Easy Switch からGmailアカウントを接続することで有効化できます。

Q. Proton MailはなぜGmailからの移行を推しているのですか? Protonは、Googleがメール内容を含む大量のデータを広告プロファイル構築に利用していると主張し、Gmailアプリを「adware」と表現しています。Proton Mail側は、メールからトラッカーや広告を除去し、Proton Mailユーザー同士の通信はエンドツーエンド暗号化されると説明しています。

出典