自分でホストしている映画やドラマを外出先で見るために、年$29.99(約4,700円)を払う時代になりました。Plexがリモート視聴に新たな課金を導入したことを受け、Android Authorityは「自分のメディアに課金されること自体がセルフホストの理念に反する」として、数年前にJellyfinへ乗り換えた判断は正しかったと論じています。Plex継続派にも知っておきたい料金構造と、無料代替手段を整理します。

Plexの新料金体系——「Remote Watch Pass」とは何か

Plexは、ユーザーが自分自身でホストしているメディアをインターネット経由で視聴するために、新たに「Remote Watch Pass」の料金を要求するようになりました。料金は年額$29.99(約4,700円)または月額$2.99(約470円)です。

Android Authorityによると、この機能は実質的には「認証と基本的なルーティングを担うリレーゲートウェイ」に過ぎず、帯域やトランスコードといった重い処理はユーザー自身のサーバーに依存するとされています。それにもかかわらず、ポートフォワーディングを自分で設定していても、リモート視聴のためにこの料金が必要になる仕組みだと報じられています。

料金プランの関係性を整理すると、次のようになります。

  • Remote Watch Pass:年$29.99(約4,700円)/月$2.99(約470円)。視聴者側がリモート視聴のために購入
  • Plex Pass:年$69.99(約11,000円)/生涯$249.99(約39,000円)。トランスコード・ダウンロード・Plex Dashなどを含む
  • 重要なポイント:サーバーオーナーがPlex Passを保有していれば、視聴者側はRemote Watch Passを購入する必要はない

多数の人にメディアを共有する立場のオーナーにはPlex Passに価値があるかもしれませんが、自分のメディアを外出先で見たいだけのカジュアル層にとっては割高だとAndroid Authorityは指摘しています。

読者投票では生涯Plex Pass保有者が大半

記事内に掲載されている944票のユーザー投票では、Plexの料金状況に対する利用者の姿勢が垣間見えます。

利用形態比率
生涯Plex Pass保有79%
Plex Passを購読4%
Remote Watch Passを購読1%
Plexを使うが課金しない15%

新規の月額・年額課金を受け入れている層は限定的で、すでに生涯ライセンスを買い切った層が大きな比率を占めています。今回の追加課金が新規ユーザーや無料利用層にどう響くかが論点になります。

500本の映画も無料でストリーミング——Jellyfinという選択肢

Android Authorityの筆者Robert Triggs氏は、Plexの有料化を回避する手段として2つのアプローチを挙げています。

  • Tailscale:NASに自宅外から安全にアクセスする用途で利用しており、外出先でのメディア視聴にも適している
  • Jellyfin:オープンソースのメディアサーバーで、Plexの代替として5年間利用しているという

Jellyfinは開発7年目を迎え、最近のメジャーアップデートでは高速化されたデータベース、FirefoxでのHEVCサポート、ダッシュボードの詳細メトリクスなどが追加されたと紹介されています。Android・iOS・PC・Roku・Xboxに加え、Samsung Tizen TVへのネイティブクライアント対応も実現したとされています。なお記事のコメント欄では「Samsung TVのネイティブアプリがないからJellyfinに移れない」という発言もあり、ユーザー環境によっては状況が異なる可能性があります。

筆者のライブラリは映画500本・エピソード8,500話・楽曲約10,000曲という規模ですが、いずれも問題なくストリーミングできているとのことです。Plexと異なりハードウェアトランスコードが無料で、HEVC・AV1・Dolby Visionトーンマッピングなどにも対応している点が大きな利点として挙げられています。

移行の現実——ワンクリックでは終わらない

ただし、Triggs氏自身も「Plexから離れるためのワンクリック移行ボタンは存在しない」と認めています。視聴履歴などにこだわらなければ、Jellyfinに既存のメディアフォルダ構造を指定するだけで動き始めるとのことです。

より多くのデータを引き継ぎたい場合の選択肢として、以下のツールが紹介されています。

  • Traky sync:移行の出発点として
  • JellyPlex-Watched:視聴履歴の移行に対応
  • migrate-plex-to-jellyfin:スクリプトに抵抗がないユーザー向け
  • Plexyfin:より深い移行ストラテジー向け

筆者が現実的な移行手順として推奨しているのは、両者をしばらく並行運用して比較することです。記事のコメント欄では「Jellyfinは初期セットアップ後は満足している」という声がある一方、「家族のスマホ設定まで手間が多すぎる」「生涯Plex Passは結局1年半分の購読料より安いので買い切りが妥当」といった反対意見も投稿されており、ユースケースによる向き不向きがうかがえます。

属性別の判断指針——So What?

読者の状況によって最適解は異なります。Android Authorityの論点を踏まえて整理すると、次のようになります。

属性判断指針
生涯Plex Pass保有者今回の値上げは直接的な追加負担にならず、急いで動く必要は薄い
新規ライトユーザー月$2.99・年$29.99を払う前に、Jellyfin+Tailscaleの無料構成を検討する価値あり
家族・複数世帯で共有派Jellyfinは家族端末側の設定負担が大きいとの声あり、Plex Pass継続も合理的な選択
技術的に抵抗がないユーザー移行ツール(Traky sync等)を使い、しばらく並行運用して比較するのが妥当

Plex Passの生涯ライセンスをすでに保有している層にとっては、今回の値上げは直接的な追加負担にはなりません。一方で、自分のメディアを外出先で見たいだけのライトユーザーが新たに月額・年額を支払うかどうかは検討の余地があります。Jellyfinへ完全移行する前に、しばらく並行運用して機能・操作感・家族との共有のしやすさを比較するのが現時点では妥当な判断と言えそうです。

Remote Watch Pass値上げの経緯——導入価格はいつ終わるのか

今回の料金体系は突然導入されたわけではなく、段階的な値上げの結果です。Remote Watch PassはPlex Passの安価な代替として2025年4月に登場し、当初は月$1.99/年$19.99の導入価格で提供されていました。この導入価格が2026年6月1日に終了し、月$2.99/年$29.99へと50%値上げされます。値上げ情報はPlex公式Redditのxlly_s氏の投稿が発端で、ユーザーに届いたメールには導入価格の終了が明記されていました。

Plex Pass側もすでに大幅値上げ済み

実は値上げの動きはPlex Pass側にも先行していました。Plexは2025年4月29日にサービス改定と価格改定を実施し、リモートアクセスがPlex Passの裏に置かれたうえで、生涯Plex Passは$119から$250へと100%以上の値上げ、月額も$4.99から$6.99に引き上げられました。Remote Watch Passには生涯ライセンスのオプションが用意されていない点も、コスト計算上の重要な違いです。

Jellyfin 10.11——「自前リモート」を支える土台のアップデート

代替候補として挙がるJellyfin側でも、基盤を刷新する大型リリースが進行しています。2025年10月19日にリリースされた10.11.0は、6ヶ月の開発と6ヶ月のRCテストを経た、プロジェクト史上最大級のリリースと位置付けられています。新機能としてフルシステムバックアップ、起動時のストレージ容量チェック、セットアップ状況を伝えるオーバーレイなどが追加された一方、自動ポートフォワーディング機能は削除されました。

項目内容
安定版(2026年3月時点)10.11.5
後続リリース10.11.7(セキュリティ修正)、10.11.8(リグレッション修正)
Roku向けクライアントv3.1.6が2026年3月2日配信、Dolby Vision/HDR10/HDR10+対応
次期バージョン候補メジャー10を外して12.0にする案を検討中

ただし完璧ではなく、EF Coreへの移行で大規模ライブラリのパフォーマンス低下が発生しており、10,000件超のライブラリでは10.10時代より読み込みが遅くなる場合があるとされています。乗り換えを検討する際は、自身のライブラリ規模と相性も確認しておきたいところです。

Q&A

Q. Remote Watch Passはサーバーオーナー側でも必要ですか? 視聴者側で必要となるサブスクリプションです。ただし、サーバーオーナーがPlex Passを保有していれば、視聴者はRemote Watch Passを購入する必要はないと記事では説明されています。

Q. Jellyfinに移行する際、視聴履歴は引き継げますか? ワンクリックの移行機能は提供されていません。視聴履歴などを引き継ぐにはTraky syncやJellyPlex-Watched、migrate-plex-to-jellyfin、Plexyfinといったサードパーティツールを使う必要があり、スクリプトの扱いに慣れていることが前提となるツールも含まれます。

Q. Plexを使い続けながら追加課金を避ける方法はありますか? 記事ではTailscaleを使ってNASに自宅外から安全にアクセスする方法が紹介されています。Plex公式のリモート機能に頼らず、別経路でメディアにアクセスする選択肢として位置づけられています。

出典