出先のカフェ、ホテル、機内などで公共Wi-Fiにつなぐ場面で「セキュリティが気になるけれど、有償VPNを契約するほどでもない」と感じているPixelユーザーは少なくないはずです。実は、その悩みに対して追加コストゼロで利用できる機能がPixelには標準で備わっています。それが「VPN by Google」です。

Android Authorityの編集者Rita El Khoury氏は、この機能を4年越しでようやく本格利用し始めたと報告しています。長年Pixelに搭載されてきた機能ながら、これまで活用してこなかったとのこと。公共Wi-Fi利用時の安心感をもたらす実用機能として、改めて注目に値する存在です。

4年間放置していたPixel標準VPNを、なぜ今使い始めたのか

El Khoury氏は当初、Google Oneサブスクリプション経由でGoogleのVPNにアクセスできた時期から、ほとんど利用してこなかったと振り返ります。フランス在住で欧州内の移動が中心であり、現地のデータプランがそのまま使えるため、空港・ホテル・カフェの公共Wi-Fiに接続する必要がなかったためです。仕事でVPNが必要な場面ではNordVPNを使用していたとのこと。

しかし最近になって、公共Wi-Fiに接続する機会が増え、状況が変わったと述べています。データ通信に頼り続けるとバッテリーが急速に消耗するため、公共ネットワークを使わざるを得ない状況が増えたとのこと。そこでPixelに内蔵されたVPNを思い出して有効化し、以降は公共Wi-Fiに接続する際にほぼ反射的にオンにする習慣がついたと述べています(具体的な利用シーンの詳細は出典元を参照)。

Pixelの無料機能として利用可能

VPN by Googleは、現在Pixelユーザーが追加課金なしで利用できる機能として提供されています。設定経路と利用可能なカスタマイズは次の通りです。

項目内容
設定経路Settings > Network & internet > VPN > VPN by Google > Use VPN by Google
簡易アクセスクイック設定タイルから即時オン/オフ
アプリ除外特定アプリをVPN経由から外す設定
ネットワーク除外信頼できるWi-Fi(自宅など)をVPN対象外にする設定

ネットワーク除外を使うには位置情報アクセスを許可し、既知のWi-Fiリストから安全なものを選ぶ仕組みです。自宅ネットワークやモバイルネットワークは除外したままにすることが推奨されていますが、信頼できないキャリアを使っている場合は別途判断が必要としています。

「ここまでやってほしい」——El Khoury氏が挙げた未対応ポイント

便利な一方で、El Khoury氏はVPN by Googleにいくつかの制限があると指摘。あくまでベーシックなVPNにとどまっており、改善の余地があるという立場です。

  • 国(接続先地域)の切り替えに非対応:地域制限の回避用途には使えない
  • テザリングで作成したホットスポット経由の通信はVPN保護の対象外
  • VPN切断時の警告通知がない
  • キルスイッチ(VPN切断時に通信を自動停止する機能)が用意されていない

El Khoury氏は、Googleならサーバー規模的に国切り替え機能を提供できるはずだとし、また自分のスマホから発生させたホットスポット経由の通信もVPNで保護できるようにしてほしいと希望を述べています。これらは現状未実装の機能であり、今後の追加が望まれる項目です。

有償VPNは不要か?Pixel標準VPNで足りるシーン

NordVPNなどの有償VPNと比べると機能は限定的ですが、「Pixelを使っているなら追加コストゼロで常に手元にある」という点が最大の価値です。地域制限の回避や高度な匿名化を求めるなら専用VPNサービスが必要ですが、空港・ホテル・機内・カフェなど公共Wi-Fiでの通信保護という基本用途であれば、Pixel標準のVPNで十分カバーできるとEl Khoury氏は評価しています。

これまで意識してこなかったPixelユーザーは、一度クイック設定タイルから有効化を試す価値のある機能です。出先で公共Wi-Fiにつなぐ機会がある人ほど、新機能ではなく既存機能の「再発見」として恩恵を実感しやすいといえます。

2026年2月アップデートで一目で接続状態が分かるように

元記事ではクイック設定タイルからの即時オン/オフが紹介されていますが、2026年2月にこのタイル自体が改良されています。VPN by Googleの小規模なアップデートにより、クイック設定(QS)タイルから接続状況をより簡単に確認できるようになっています。

表示される接続ステータス

2x1タイルの2行目には、VPNのライブ接続状態として「Connected」「Paused」「Connecting…」「Can't connect」が表示されます。これまではタイルを長押ししてアプリ本体を開かないと正確な状態が分からなかったため、接続失敗時の混乱を防ぐ実用的な改善といえます。

本アップデートはバージョン2025.12.19.xでロールアウトされ、Pixel 7以降のデバイスが対象です。新機能を有効化するサーバーサイドのスイッチも併用されており、ユーザー側で順次利用可能になっています。この新しいステータス表示を活用するには、画面上部から下にスワイプして編集アイコンをタップし、VPNタイルを2x1サイズに拡張する必要があります。クイック設定からワンタップで状態を把握できるようになったことで、公共Wi-Fi利用時の「今ちゃんと保護されているか」という不安がより解消されやすくなっています。

Google One VPN廃止からPixel専用機能への変遷

元記事はEl Khoury氏の利用経緯に触れていますが、VPN by Googleが現在の形に至るまでには大きな再編が行われています。有償サブスクリプション特典から無償の標準機能へと位置づけが変わった経緯を整理します。

時期出来事
2022年12月Pixel Feature DropでPixel 7シリーズ向けに導入、5年間の提供保証
2024年6月20日Google One VPNが廃止
2025年3月Pixel Feature DropでPixel Tabletにも展開
2025年5月Google Fi VPNもVPN by Googleに名称統合

Google One VPNの廃止理由は利用者が少なかったためとされており、より需要の高い機能への再集中が図られています。一方でPixel向けのVPNは対象デバイスを広げながら継続提供されており、ブランド名も「VPN by Google」へと一本化されています。El Khoury氏が「4年前から手元にあったのに使っていなかった」と振り返る構図は、提供形態が複雑に変化してきた経緯を踏まえると、多くのPixelユーザーにも当てはまるといえます。

Q&A

Q. VPN by Googleは追加料金がかかりますか? El Khoury氏によれば、現在Pixelユーザーが追加課金なしで利用できる機能として提供されているとのことです。

Q. VPN by Googleで海外サイトの地域制限を回避できますか? 現時点で接続先の国を切り替える機能には対応していません。地域制限の回避用途には別途VPNサービスが必要です。

Q. キルスイッチがないことのリスクは?どんな人が有償VPNを検討すべきですか? キルスイッチ非搭載のため、VPN接続が予期せず切断された場合に通信が一時的に保護されない可能性があります。また切断時の警告通知も用意されていません。地域制限の回避、高度な匿名化、ホットスポット経由通信の保護などが必要なユーザーは、NordVPNなどの有償サービスを検討する余地があります。一方、公共Wi-Fiでの基本的な通信保護が目的であれば、Pixel標準のVPN by Googleで対応可能とEl Khoury氏は評価しています。

出典