リモコンで一文字ずつ作品名を打ち込む煩わしさから解放され、曖昧な気分や雰囲気で作品を探せる時代が近づいているかもしれません。Android Authorityの報道によると、Netflixが米国内のごく一部ユーザーの、さらに一部デバイスのみを対象に、スマートTVアプリ向けのAI音声検索機能をテストしているとされています。自然言語で問いかけるだけで、観たい番組や映画を探せる仕組みです。

リモコンのNetflixボタンから「Ask」で起動

Android Authorityによると、テスト対象のユーザーはリモコンのNetflixボタンを押して新しいAI音声検索を起動できると報じられています。画面にはおすすめの検索例とともに「Ask」ボタンが表示され、これをタップすると音声で問いかけて作品を探せる仕組みとされています。文字入力の煩わしさからの解放を狙った機能であることが分かります。

なお、このテストはThe Vergeの報道を引用するかたちでAndroid Authorityが伝えたもので、現時点では米国内のごく一部のユーザーのみが利用でき、しかもそのユーザーの一部のデバイスでのみ動作すると報じられています。広く展開される段階にはまだ至っていません。

「死をテーマにした子ども向けの楽しい番組」も理解する精度

このAI音声検索の特徴は、込み入った自然言語クエリにも応答できる点だと報じられています。報道では、たとえば「fun kids TV shows about death(死をテーマにした子ども向けの楽しい番組)」という変わったクエリに対して、『A Series of Unfortunate Events』を提案したと紹介されています。確かに作品の内容と合致しており、検索の文脈理解力の高さがうかがえます。

一方で、人種差別的な含みを持つクエリなど、特定の種類の検索には応答しないようガードレールが設けられているとも報じられています。ベータ段階ながら、慎重に設計された機能であると言えそうです。

視聴履歴・パーソナライズ推薦と連携できないのが現状の弱点

ただし、現時点のテスト版にはいくつかの重要な機能が欠けていると報じられています。具体的には、ユーザーの視聴履歴に基づく結果の提示や、パーソナライズされた推薦機能との連携ができないとされています。

項目現状
自然言語クエリへの対応対応(精度は良好と報告)
不適切クエリのフィルタ設けられている
視聴履歴を踏まえた検索未対応
パーソナライズ推薦との連携未対応

今後のアップデートでこの部分が統合されれば、検索体験はさらに強力になる可能性があります。

So What?——曖昧な気分ベースで作品を探せるようになるか

これまでのNetflix検索は、作品名やジャンル、俳優名など、ある程度具体的なキーワードで絞り込む必要がありました。今回のAI音声検索が広く展開されれば、「死をテーマにした子ども向けの楽しい番組」のような、雰囲気や気分を含んだ曖昧な問いかけでも作品にたどり着ける可能性があります。リモコン入力の煩わしさから解放されるだけでなく、視聴行動そのもの——「何を観るか決めてから検索する」から「気分を伝えて提案を受ける」へ——が変わりうるアップデートと読めます。

全ユーザー展開の時期は未定

全ユーザーへの展開時期は明らかになっていませんが、報じられている検索精度が確かであれば、待つ価値のある機能と言えそうです。日本での提供時期や対応の有無については現時点で公表されていないため、まずは米国での本展開を見守ることになります。

「Ask」起動時に表示される提案フレーズと対応デバイスの実態

報道によると、リモコンのNetflixボタンを押すと、まず例示の検索フレーズがいくつか提示される仕組みになっています。

  • 提示される候補には「I need a good cry」「watch in the background」「help me stay awake」といったフレーズが含まれ、それぞれが推薦リストにつながる
  • そして波形アイコン付きの「Ask」ボタンが用意されている
  • 音声で話しかけると、Netflixは画面上にテキストでおすすめを表示するが、Netflix側から音声で読み上げる機能はない
  • 「more unhinged」「more bittersweet」のような追加リクエストで結果を絞り込むこともできる

対応デバイスについては範囲がさらに限定されています。現時点ではChromecast with Google TVとTCL Google TVで動作する一方、RokuやFire TVでは利用できないと報じられています。元記事で触れられている「一部デバイスのみ」という制限の中身が、Google TV系プラットフォームに偏っている点は注目に値します。

スマートTVプラットフォームとの主導権争い、そして競合の前例

今回のテストは単なるUI改善にとどまらず、ストリーミングサービスとTV OSのあいだの主導権争いとして読み解くこともできます。NetflixはGoogle Assistant、Gemini、Alexa、あるいはスマートTV内蔵の検索システムに頼らず、自社アプリ内に検索体験を閉じ込めており、ユーザーをTVプラットフォームの汎用音声アシスタントを経由させずに自社カタログへ直接アクセスさせる狙いがあります。

生成AI検索を巡る業界の動きと先行事例

Netflixは今回のTVテストに先駆け、すでにモバイルで生成AI検索を展開しています。2025年5月にOpenAIのChatGPTを活用した会話型検索をiOSのオプトインベータとして発表し、オーストラリアとニュージーランドの一部加入者には先行提供されていました。

競合の生成AI検索状況
Amazon Fire TVオープンエンドな質問に応答するAI音声検索を提供
TubiChatGPT搭載検索を導入したが、利用率の低さを理由に撤回

Tubiの前例があるだけに、Netflixが同じ轍を踏まないかは今後の展開を占う鍵となります。

Q&A

Q. 今すぐ日本でもこのAI音声検索を使えますか? 現時点では米国内のごく一部のユーザーを対象としたテストで、しかもそのユーザーの一部のデバイスのみで利用できると報じられています。日本での提供時期は公表されていません。

Q. どんな検索ができるのですか? リモコンのNetflixボタンを押して「Ask」から起動し、自然言語で問いかける形式と報じられています。たとえば「死をテーマにした子ども向けの楽しい番組」のような曖昧なクエリでも、関連する作品を提案できるとされています。ただし、視聴履歴やパーソナライズ推薦との連携には現時点で対応していないと報じられています。

Q. 続報はどこでチェックできますか? 正式な展開時期は明らかになっていません。本記事の出典元であるAndroid Authorityなどでの続報を確認するのが確実です。Netflix公式からの発表があるかどうかも合わせてチェックすると良いでしょう。

出典