1年で9,400万人から2億5,000万人へ——約2.7倍。Netflixの広告付きプラン利用者数は、世界で月間2億5,000万人に達したことが明らかになりました。同社はあわせて、アプリ内の縦型動画フィードやポッドキャストへの広告拡大方針も示しています。値上げが続くなかで、広告収益への依存度が高まる流れが鮮明になってきました。
広告プラン利用者が1年で9,400万人→2.5億人へ
Netflixはアップフロント(広告主向け年次プレゼンテーション)で、広告付きプランを月間で利用する人が世界で2億5,000万人を超えたと発表しました。1年前の同時期は9,400万人だったため、わずか1年で約2.7倍に膨らんだ計算です。
かつてNetflixは広告プラン導入に否定的な姿勢を示していましたが、その後方針を転換しました。続く値上げの影響もあり、より手頃な広告付きプランを選ぶユーザーが急増しているとみられます。
- 1年前: 月間約9,400万人
- 現在: 月間2億5,000万人超
- 増加要因: 継続的な値上げと、低価格な広告プランへの流入
縦型動画フィードとポッドキャストにも広告を拡大
The Verge経由で伝えられた発表によると、Netflixは今後1年間で広告掲載面を以下の2方向に広げると報じられています。
- Netflixアプリ内の新しい縦型動画フィード(ショート動画的なUI)に広告を表示
- Netflixのポッドキャストでも広告掲載を拡大
これまで広告は主に作品再生の前後・途中に挿入される形でしたが、SNSのフィード形式のような新しい接点や、音声コンテンツへと面を広げていく構えです。アプリを開いた瞬間から広告と接触する機会が、これまで以上に増えていくことになります。
加入者の純増ストーリーは終わった——次の主役は広告収益
Netflixは依然として世界最大のストリーミングサービスですが、市場の飽和によって加入者数の伸びはかつてのような勢いを失っています。これまで成長を支えてきた「加入者数の純増」というストーリーが通用しづらくなっているのが現状です。
加えて、報じられていたWarner Bros. Discoveryの買収案件は実現しないことになりました。この結果、ウォール街向けの成長ストーリーとして、広告収益の拡大が今後より中心的な役割を担うとの見方が出ています。縦型動画フィードやポッドキャストへの広告拡大は、その文脈で読み解くと意味がはっきりしてきます。
Apple TVは広告プラン未導入
大手ストリーミングのなかで広告プランをまだ提供していないのは、Apple TVのみという状況です。9to5Macは、Appleのサービス担当責任者であるEddy Cue氏が将来的な広告導入の可能性を否定していない(won't rule out)と報じています。同記事の筆者は、現行のサブスク価格が引き上げられるまでは状況に大きな変化はないだろうという個人的な見方を示しています。
| サービス | 広告プラン |
|---|---|
| Netflix | あり(月間2.5億人が利用) |
| Apple TV | なし |
広告事業の規模感:収益倍増と広告主の急増
Netflixの広告ビジネスは、利用者数だけでなく収益面でも急拡大しています。同社は2026年に広告収益を30億ドルへと倍増させる軌道にあり、2030年には約90億ドルの広告売上を目指しています。需要面でも勢いがあり、2025年末時点で広告主は4,000社を超え、前年比70%の増加となっています。
主要指標の整理
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 2026年広告収益見込み | 30億ドル |
| 2030年広告売上目標 | 約90億ドル |
| 広告プラン提供国での新規サインアップ比率 | 60%超 |
| 広告主数(2025年末) | 4,000社超(前年比+70%) |
| プログラマティック比率 | 広告事業の約50% |
広告プランは現在提供されている12カ国で新規サインアップの60%超を占めており、プログラマティック取引は広告事業全体の約50%にまで成長しています。エンゲージメント面でも、広告会員の80%以上が毎週アクティブに視聴しているとされ、量と質の両面で広告主への訴求材料が揃いつつあります。
縦型フィード「Clips」とAI活用:広告基盤の進化
縦型動画フィードには正式名称があります。Netflixは2026年4月にモバイルアプリを刷新し、「Clips」と呼ばれる新しい縦型動画フィードを追加しました。ClipsはTikTok類似のUIを採用しており、米国、カナダ、英国、オーストラリアなど9カ国で4月30日から提供されています。
- 地域展開:広告プランは2027年にオーストリア、ベルギー、スウェーデンなど15の新規国へ拡大される予定です。
- AIによる広告制作:AIを活用し、既存の広告素材を縦型動画広告やポーズ広告など異なるフォーマットに自動で適応させています。
- 運用の自動化:広告主向けにAIエージェントをテスト中で、パーソナライズされた広告ロードと頻度キャップも検証されています。
縦型動画とポッドキャストへの広告拡大は、単なる面の追加ではなく、AIによる素材最適化とプログラマティック販売を組み合わせた包括的な広告基盤の延長線上に位置づけられています。
Q&A
Q. Netflixの広告プラン利用者は世界でどれくらいいますか? 月間2億5,000万人超とNetflixが発表しています。1年前の9,400万人から大きく増加しました。
Q. 広告は今後どこに表示されるようになりますか? 今後1年で、Netflixアプリ内の新しい縦型動画フィードと、Netflixのポッドキャストでも広告が拡大されると報じられています。
Q. Apple TVにも広告プランは導入されますか? 現時点でApple TVは広告プランを提供していません。9to5Macによれば、Eddy Cue氏は将来の可能性を否定していないとされますが、導入時期は公表されていません。
