Motorolaが初めて手がけた本格的なブック型折りたたみ「Razr Fold」を、Android AuthorityのBrady Snyder氏が7日間メイン端末として使い込んだレビューを公開しました。価格は$1,899(約29万円)。同氏が「他社折りたたみを超える唯一の点」として挙げたのは、スペック表のどこにも書かれていない要素でした。
スペックではなく「ソフトウェアの押し出し方」で差をつける
Razr Foldは8.1インチのメインディスプレイ、シリコンカーボン6,000mAhバッテリー、80W有線充電、アクティブスタイラス対応といったハードを備える一方で、243gの重量、Eliteではない通常版のSnapdragon 8 Gen 5、IP49という防塵防滴等級など、不安要素もあるモデルです。
Brady Snyder氏が7日間の実用テストで最も評価しているのは、Motorolaの「Hello UI」によるマルチタスクの提示の仕方です。Android 16ベースのRazr Foldは、タスクバーや90:10分割ビューといった機能自体は他社折りたたみと共通しています。違いは、OSがユーザーをそれらの機能へさりげなく誘導する点にあります。
- 2つのアプリを数回切り替えると「分割画面モードで開く」というポップアップが表示される
- タップすると直前の2アプリが50:50で並び、中央のスライダーで90:10へ調整できる
- Gmail・Google Messages内のリンクをタップすると、自動的にChromeとの分割ビューで開く(Pixel系も同様だが、Galaxy系は非対応とのこと)
- アプリスイッチャーには各アプリに分割画面ボタンが直接表示される(SamsungやGoogleはサブメニューに隠れている)
Snyder氏は、Galaxy Z Fold 7やPixel 9 Pro Foldをレビュー機として試してきた経験から、「折りたたみ機を意識的に活用しないと、結局は大きな普通のスマホとして使ってしまう」と指摘しています。Razr Foldは常にマルチタスクを思い出させる点で、長年の折りたたみユーザーにとって決定的な違いになっているとの評価です。
Snapdragon 8 Gen 5は「Elite未満」でも実用上は問題なし
事前に懸念されていたチップ性能についても、実機テストでは杞憂だったと結論づけられています。Galaxy Z Fold 8には上位版のSnapdragon 8 Eliteが載ると見込まれている一方、Razr Foldは通常版の8 Gen 5を採用しています。
Geekbench 6のスコアは以下の通りです。
| 項目 | スコア |
|---|---|
| シングルコア | 2,606 |
| マルチコア | 8,690 |
ポジションとしてはPixel 10 Pro FoldのTensor G5を上回り、Galaxy Z Fold 7のSnapdragon 8 Eliteを下回る中間に位置します。記事執筆・音楽再生・動画視聴・ゲームのいずれでも引っかかりは感じられなかったとのことです。
シリコンカーボン採用の6,000mAhバッテリーは1日使い切れない長持ちぶりで、必要なときは80W充電で素早く回復できます。Snyder氏は「使っていて楽しいがバッテリーを消費しすぎる」と感じていたGalaxy Z Fold 7の不満点を、Razr Foldが解消していると述べています。
カメラは「3眼50MP」、ただし重量と出っ張りは欠点
カメラはすべて50MPの3眼構成で、メインはSony LYTIAセンサーを搭載します。Galaxy Z Fold 7の200MPセンサーと比較すると画素数では劣るものの、Razr Foldは1画素あたりのサイズが大きく、低照度性能で有利になる傾向があると説明されています。50MPと、ピクセルビニングによる12MPの両方で撮影可能です。
- 超広角:50MP、画角122度
- 望遠:50MP、3倍光学ズーム(光学範囲外でも高い解像感を発揮する一方、ズーム時に色味が変化する傾向がある)
- 内側セルフィー:32MP
- カバー画面セルフィー:20MP
内側に高画素のセルフィーカメラを置く構成はビデオ通話向きと考えられる一方、Snyder氏自身は「折りたたみの利点はリアカメラで自撮りできること」として、内外のセルフィーはなるべく使わない派とのことです。
弱点としては243gという重量、そしてカメラバンプが大きく上部に重心が偏ることが挙げられています。
「SamsungとGoogleのいいとこ取り」と評価された理由
Snyder氏の総評は、Razr FoldがSamsung的な薄型・パフォーマンスと、Google的なソフトウェア・バッテリー持ちを併せ持つ折りたたみだ、というものです。むしろマルチタスクとバッテリーに関してはGalaxy Z Fold 7・Pixel 10 Pro Foldを上回る「チャンピオン」になり得ると評価しています。
It's the first foldable that's excited me to open it in years, and that counts for something.
(数年ぶりに開くのが楽しみになった折りたたみだ、というSnyder氏の言葉)
Android Authorityが実施した読者投票(36票)では、「Razr Foldのどの機能なら乗り換えたいか」という設問に対し、6,000mAhバッテリー+80W充電が33%で最多、優れたマルチタスクソフトウェアとアクティブスタイラス対応がそれぞれ22%、Snapdragon 8 Gen 5+16GBメモリが17%という結果でした(票数は少なく傾向把握程度の規模です)。
$1,899(約29万円)という価格をどう見るかは、ユーザーがどれだけ折りたたみのマルチタスクを実際に活かせるか次第です。Galaxy Z Fold 7やPixel 10 Pro Foldをすでに検討している層にとっては、「OSが能動的にマルチタスクへ誘導してくれる」というRazr Foldの差別化要素が決め手になり得るレビュー結果と言えそうです。
発売スケジュールと「DXOMARK Gold」級カメラを支える周辺仕様
Razr Foldは米国市場で5月14日にMotorola公式サイトとBest Buyで予約が始まり、5月21日に正式発売、対応スタイラスのMoto Pen Ultraは単体$99で同時展開される運びです。レビュー記事で触れられていない強みも複数あります。
スペック表に載らない3つの補強ポイント
- 耐久性:世界初のCorning Gorilla Glass Ceramic 3を採用し、Motorolaの社内試験では前世代比75%以上の落下性能向上を達成しています。
- カメラ評価:DXOMARKがGoldレーティングを与え、「#1 foldable camera system」と位置付けられています。
- 長期サポート:最大7年のOSおよびセキュリティアップデートが提供されます。
加えて折りたたみ時の厚みは9.89mm、外側は6.6インチpOLED、内側は8.1インチの2K LTPOディスプレイで、薄さと表示品質の両立が図られています。スペック表に並ばない耐久・撮影評価・サポート期間は、$1,899という価格に対する説得材料となるでしょう。
数か月後に控えるGalaxy Z Fold 8シリーズという最大の競合
Razr Foldの評価を読むうえで欠かせないのが、夏に控えるサムスンの動きです。Galaxy Z Fold 8のUnpackedは7月22日に、これまでの韓国や米国ではなくロンドンで開催される可能性が報じられています。さらに今年は2モデル戦略が話題となっており、Galaxy Z Fold 8に加えて新たな「Wide Fold」バリアントが投入され、後者はより横長のカバースクリーンとデュアルカメラを備えるとされています。
| 項目 | Galaxy Z Fold 8(予想) |
|---|---|
| SoC | Snapdragon 8 Elite Gen 5 for Galaxy(通常版のオーバークロック版) |
| バッテリー | 5,000mAh / 45W有線・25W無線 |
| 開始価格 | $1,999.99(256GB)から |
ワイド型の開発はApple iPhone Foldの登場を見据えた先手でもあり、折りたたみ市場はRazr Foldの発売直後に競争が激化する見込みです。Razr Foldの6,000mAhや80W充電はこの競合の数字と比較したとき、改めて優位性が際立ちます。
Q&A
Q. Razr FoldはGalaxy Z Fold 7やPixel 10 Pro Foldより性能が高いのですか? Geekbench 6ではPixel 10 Pro Fold(Tensor G5)を上回り、Galaxy Z Fold 7(Snapdragon 8 Elite)を下回ります。シングルコア2,606、マルチコア8,690で、実用上の引っかかりは感じられなかったとレビューでは評価されています。
Q. Razr Foldのマルチタスクが他社と違うのは具体的にどこですか? 分割画面・90:10ビュー・タスクバーなどの機能自体は同等ですが、OSがアプリ切り替えを検知して分割表示を提案するポップアップ、メール内リンクの自動分割表示、アプリスイッチャー上の直接的な分割ボタンなど、機能への導線がより積極的に設計されている点が異なります。
Q. 重量や防塵防滴は他社と比べてどうですか? 重量は243gで、レビューでは最大の弱点として挙げられています。防塵防滴等級はIP49で、大きなカメラバンプによりトップヘビーになる点も指摘されています。
