Microsoftが、Teamsの象徴的機能のひとつだった「Together Mode(トゥギャザーモード)」を段階的に終了する方針を明らかにしました。コロナ禍の在宅勤務需要に応えて投入された目玉機能でしたが、現在はよりシンプルなTeams体験への回帰が優先されています。The Vergeが2026年5月17日付で報じました。
Together Modeとは何だったのか
Together Modeは、コロナ禍の最中にMicrosoftがTeamsに導入した機能です。参加者の頭から肩までをAIで切り抜き、仮想的な会議室などの「シーン」に並べて配置することで、自宅にいながら同じ空間に集まっているような錯覚を提供することを狙ったものでした。
機能としては以下のような要素を備えていました。
- AIによる人物の切り抜きと仮想空間への合成
- 「シーン(scenes)」と呼ばれる背景バリエーション
- 参加者の「座席指定(seat assignments)」
- 同僚の肩を叩く、バーチャルハイタッチを送るといったジェスチャー演出
仮想ハイタッチや肩タップといった演出は、いかにもギミック的に映る場面もありました。一方でThe Vergeは、参加者ごとの背景がバラバラに並ぶ通常のビューに比べると視覚的なノイズが減るというメリットがあったと指摘しています。
なぜいま方針転換するのか
The Vergeによると、Together Modeの撤去は段階的に進められており、ロールアウトが進んだ環境では「表示(view)」メニューからTogether Modeのトグルが消えることになります。同時に、シーンや座席指定といったTogether Mode固有の機能もまとめて姿を消します。
Microsoftが挙げている理由は主に次の通りです。
- プラットフォーム間の断片化を減らす:複数のプラットフォームでのUI・機能差を縮小する
- インターフェースの簡素化:選択肢を減らし、クリック数を減らし、ユーザーの混乱を抑える
- コア体験への投資集中:動画品質・安定性・パフォーマンスの改善にリソースを振り向ける
派手なギミックよりも、まずは映像が止まらない・崩れない・きれいに映るといった基本性能を磨くフェーズに入ったという位置づけです。
研修・授業で使っていたなら要注意——影響を受けるユースケース
Together Modeを日常的に活用していたユーザー層は限定的とみられますが、社内研修・ワークショップ・オンライン授業など、参加者を均一に並べて顔を見せたい用途で活用していたチームには影響が出る可能性があります。
代替としては、標準のグリッドビューや、Teamsに搭載されているその他のレイアウトを使うかたちになります。ロールアウトは段階的に行われるため、機能が利用できなくなるタイミングはテナント・クライアントごとに異なる見込みです。
業務でTogether Modeを使っているチームは、シーンや座席指定に依存した運用フローがあれば、トグルが消える前に代替手段への切り替えを検討しておくとよいでしょう。
コア体験への投資はどこに向かうのか——動画品質と接続安定性の強化策
Together Modeの廃止と引き換えに、Microsoftが「コア体験」と位置づける動画品質・安定性まわりには、2026年に入って具体的な機能追加が相次いでいます。
- 視覚的なネットワーク品質インジケーターが表示され、通話が乱れた際に帯域を節約するためのヒントや示唆をユーザーに提供します。
- ユーザーが通話・会議の品質を評価でき、通話・ビデオ・画面共有の体験について追加のフィードバックを送れる仕組みも導入されています。
- Omnissa上で動作するTeams環境については、新しいVDI最適化により、会議・音声・ビデオ・画面共有でのパフォーマンス改善とネイティブクライアントに近い機能パリティが提供されています。
大規模イベント側でも品質可視化が進んでおり、タウンホールのビデオ品質・音声明瞭度・接続安定性に関するデータを確認できる機能がTeams Premiumライセンス向けに提供されています。Together Modeのような演出機能を整理する一方で、こうした「映像が止まらない・崩れない」ための基盤機能に開発リソースが振り向けられているといえます。
派手な演出の次に来るもの——AI・Copilotが会議の主役へ
Together Modeのような視覚演出に代わり、Teamsの会議体験を変えようとしているのがAIエージェントとCopilotの深い統合です。
画面共有もCopilotが理解する
2026年8月までに、録画が有効な会議では、Copilotが画面共有された内容を解析できるようになる予定で、トランスクリプトやチャットだけでなく共有資料まで含めた文脈をAIが扱えるようになります。
Facilitatorエージェントが「参加者」へ
Microsoft TeamsのFacilitatorエージェントは進化を続けており、単なるノート取り・時間管理アシスタントから一歩進んで、ユーザーが「残り時間はどれくらいか」といった質問を直接話しかけて確認できる、より能動的な参加者になっていきます。会議に遅れて参加した人がFacilitatorに頼んで議論内容を素早くキャッチアップすることも可能になります。
加えて、Microsoft 365 Copilot ChatのTeamsチャット・チャネル・会議への統合も拡大しており、ユーザーが協働する場所のどこからでもCopilotにアクセスできる方向性が打ち出されています。仮想空間に並べる視覚的なギミックから、AIによる文脈理解と能動的な支援へ——Teamsの主役は明確に移行しつつあります。
Q&A
Q. Together Modeはいつ完全に使えなくなりますか? 具体的な完了日は公表されていません。段階的なロールアウトとして展開され、適用が進んだ環境から「表示」メニューのトグルが順次消えていくとされています。
Q. シーンや座席指定の機能だけ残ることはありますか? いいえ。The Vergeの報道では、Together Modeの終了にともない、シーン(scenes)や座席指定(seat assignments)といった固有機能もまとめて削除されると説明されています。
Q. 代替のグリッドビューで同じ効果は得られますか? The Vergeは、Together Modeに「視覚的な気が散る要素を減らせる」効果があったとしています。標準のグリッドビューは参加者の背景がそのまま並ぶため、まったく同じ集中効果は得にくい可能性がありますが、Teamsには複数のレイアウトが用意されており、用途に応じて切り替えることが現実的な選択肢になります。
Q. 管理者側で機能を延命することはできますか? 公開情報の範囲では、管理者向けの延命オプションについての言及はありません。Microsoftはプラットフォーム間の断片化を減らす目的を挙げており、テナント単位での個別維持は想定されていないと考えられます。
出典
- The Verge — Microsoft is retiring Teams’ Together Mode
- Microsoft Tech Community — What's New in Microsoft Teams | April 2026
- SlashGear — 14 Much-Needed Microsoft Teams Features Are Coming In 2026
