「偽造試行の受け入れ率0%」——この同社の主張が本当なら、スマートフォンの前面デザインは根本から変わるかもしれません。ボストンの光学スタートアップ・Metalenzが、OLEDディスプレイを透過して動作する顔認証技術「Polar ID Under Display」をDisplay Week(ロサンゼルス)で実演しました。Appleが長年実現できていないディスプレイ内蔵型の顔認証を、Android向けに初めて実用レベルで示した可能性がある、とAndroid Authorityは伝えています。ノッチもパンチホールも消え、スマートフォン正面が完全なスクリーンになるという未来が、現実に近づきつつあります。
AppleもAndroidメーカーも踏み込めなかった領域
iPhoneのFace IDをディスプレイ下に移動させる試みは、Appleが複数年にわたって取り組んできたものの、現時点では実現できていません。Androidメーカーもディスプレイにカメラやセンサーを埋め込む「アンダーディスプレイ顔認証」には本格的に取り組んでこなかったと、Android Authorityは伝えています。その理由は明確で、既存のアンダーディスプレイカメラは画質が低く、ハードウェアが大型化し、セキュリティ強度が不十分だったためです。Appleが現在もDynamic Islandを維持し続けているのも、この課題が解決されていないからだとされています。
偏光メタサーフェスで「偽造受け入れ率0%」と同社は主張
Metalenzのアプローチは、従来のカメラを使わない点が根本的に異なります。同社のシステムは「メタサーフェス」と呼ばれる超薄型の平面光学素子を使い、偏光(ポーラライズドライト)を読み取ります。この偏光シグナルは生体の顔にしか生成できない特性を持つとされており、同社の主張によると、偽造試行の受け入れ率は0%であるとのことです。
加えて見逃せないのは、このシグナルが点灯中のOLEDディスプレイを透過しても十分な強度を保てる点です。これが従来技術との最大の違いであり、ノッチやパンチホールなしに決済レベルのセキュリティを実現できると同社は説明しています。つまり、ユーザーにとっては「顔認証の安全性を犠牲にせずに、前面すべてがスクリーンになるスマートフォン」が現実の選択肢になり得ます。ただし、これらの性能数値はあくまで同社の主張であり、独立した検証が行われたかどうかは現時点では明らかにされていません。
研究室を出た:実際のスマホで顔認証が動いた
2026年5月5日、MetalenzはDisplay WeekのI-Zoneにて、実際のスマートフォンを使ったライブデモを実施しました。ディスプレイを点灯させた状態で顔認証を行うという、実使用環境に近い形での実演です。Android Authorityは「これは単なる研究室の実験ではない」と評価しており、技術が制御された実験環境を超えて動作することを示した点で、開発の進捗を示す重要なマイルストーンとみなしています。
コスト面と実装面でMetalenzが期待に応えられれば、Androidメーカーが比較的早くこの技術を採用する可能性があると、Android Authorityは報じています。ただし、実際の製品への搭載時期や採用メーカーは現時点では明らかになっていません。将来のデバイスがフルスクリーンデザインと安全な顔認証を両立できるようになる可能性があるとされていますが、これはあくまで見通しの段階です。
Q&A
Q. Polar ID Under Displayは決済にも使えるのですか? Metalenzは「決済に対応できるセキュリティレベル」と主張しており、偽造受け入れ率0%を謳っています。ただし、実際の決済サービスへの対応可否は各プラットフォームや端末メーカーの実装次第であり、現時点では確認されていません。
Q. iPhoneへの搭載はないのですか? ソース記事によると、Metalenzの技術はAndroid向けとして紹介されています。Appleは独自にFace IDのアンダーディスプレイ化を複数年にわたって目指してきた経緯がありますが、その取り組みは現時点でも実現に至っていないと報じられています。MetalenzとAppleの協業については現時点で確認されていません。
出典
- Android Authority — This new under-display face unlock tech for Android does what Apple couldn't
