刷新されたGoogle Healthアプリについて、Android AuthorityのRita El Khoury氏が1週間使った率直な評価を公開しました。同氏によれば、アプリを開いた95%でテキスト解説が中心に出てくるうえ、安静時心拍数や血中酸素などホーム画面タイルに置けない指標が6項目存在するといいます。「見た目は美しい」と認めつつも、Pixel WatchやFitbitで毎日数値を確認してきたユーザーにとっては「使い勝手は大幅な後退」と厳しく指摘しています。

開いた瞬間の95%が「文章」、数字は二の次

新Google Healthアプリでは、画面上部にスタッツタイルが並んだ後、その下にGoogle Health Coachによる大きなテキストブロックが表示されるとされています。Khoury氏によれば、アプリを開いた際の95%でこのコーチ文章が中心に出てくるとのことです。

開いてすぐ心拍数や睡眠スコアをひと目で確認したい人にとって、これは毎回スクロールが必要になることを意味します。同氏は「グラフや大きな数字に比べて、テキストはひと目で読み取りにくい」と主張しており、たとえば「今日のreadinessは60、昨日は70」と文章中で並べられても、グラフで下降傾向を見るほど直感的に理解できないと評価しています。

加えて、Health Coachが文章の途中にグラフやスタッツを差し込む構成も問題視しています。データそのものより「データの解釈」が前面に出ているため、Pixel WatchやFitbitに投資してきた一定のヘルスリテラシーがあるユーザーには冗長に感じられる可能性がある、というのが同氏の見解です。

Today・Fitness・Sleepの各タブで「スクロール必須」

不満は「Today」タブだけにとどまらないと指摘されています。

  • Fitnessタブでは最初の画面にワークアウトライブラリの大きなタイルが並び、実際のアクティビティや主要メトリクスを見るにはスクロールが必要
  • Sleepタブでは、睡眠スコアや睡眠時間を確認する前に、まず睡眠についてのテキストブロックが大きく表示される
  • 実際の睡眠ステージや品質指標を見るには、こちらもさらに下までスクロールしなければならない

ワークアウト履歴を毎回チェックする人や、就寝後にまず睡眠スコアを確認する習慣の人にとっては、これまで1タップで届いていた情報に毎回ひと手間が増える形だと評価されています。同氏は「ユーザーが必要なデータにたどり着くまでに時間がかかるようにして、アプリ内滞在時間を引き延ばすのが目的なら成功」と、皮肉も込めて批判しています。

心拍数も血中酸素もホームに置けない、6つの「隠される指標」

タイル周りの仕様についても、複数の制約が指摘されています。

  • ホーム画面に並ぶタイルは大1+小3もしくは小6の構成とされる
  • タイルはドラッグでの並び替えができず、希望する位置に置くには一度削除して再追加する必要があるとされる
  • 同氏は端末の不具合を疑い、再インストール・キャッシュクリア・別端末・同僚への確認まで行ったうえで、これが仕様だと確認したと述べています

さらに深刻なのは、ホーム画面のタイルとして追加できない指標が存在することです。Khoury氏が挙げたのは、安静時心拍数・血中酸素・心拍変動(HRV)・呼吸数・皮膚温度変動・体脂肪率の6項目で、これらはHealthタブ内では正方形ウィジェットとして表示できるものの、ホームから直接アクセスできない仕様になっているとされます。

つまり、安静時心拍数をホームに固定して毎朝チェックしたい派や、HRVをトレーニング指標として常時参照したい派にとって、その運用は仕様上不可能とみられます。

投票結果——肯定派と不満派が同率32%で割れている

記事内では読者投票も実施され、38票の集計結果が示されたと伝えられています。

評価比率
見た目も使い勝手も気に入っている32%
見た目は良いが使いにくい(タイル不足・AI過多)24%
使い勝手は好きだが新デザインは嫌い8%
特に意見はない18%
新Healthアプリではなくまだ旧Fitbitを使用18%

注目すべきは、肯定派の32%に対し、「見た目は良いが使いにくい」24%+「使い勝手は好きだが新デザインは嫌い」8%=計32%がUX不満層となり、ちょうど同率で割れている点です。さらに18%が旧Fitbitアプリに残留しており、新UIがすべてのユーザーに歓迎されているとは言い難い構図が見えます。

このサンプル数(38票)では母集団を代表するとは言えないものの、移行を急ぐかどうかの判断材料としては「肯定と不満が拮抗している段階」と読むのが妥当です。

Khoury氏が提案する改善点

Khoury氏は、デザイン自体を旧Fitbitアプリに戻してほしいわけではないと明言しています。提案として挙げているのは以下のような改善点です。

  • AI Coachの文章はグラフや数値を先に提示し、本文は折りたたみ式にして「もっと読む」で展開
  • すべての指標をホーム画面タイルに追加可能にし、タイルを自由に並べ替えられるようにする
  • ホーム画面のタイルセクションをサイズ変更可能にし、Healthタブと同様のグラフも表示できるようにする
  • Fitnessタブはワークアウトライブラリを上部で圧縮表示し、実際のワークアウト履歴を先に出す
  • Sleepタブは統計を先に表示し、AIによる解釈は折りたたみで提供する
  • データソースが重複する場合に、優先するソースを選べるようにする

加えて、Fitbit・Fit・Health Connectに分断されてきた現状を考えると、Google Healthは「待ち望まれていた一元化されたヘルスアプリ」の優れた土台になり得るとも評価しています。デザインの方向性は支持しつつ、UXの細部を詰めることで化ける可能性があるアプリ、というのが結論です。

ユーザータイプ別の判断基準

新Google Healthへの移行をどう判断するかは、普段の使い方によって分かれます。

  • 安静時心拍数・血中酸素・HRVを頻繁にチェックする人 → ホームタイルに置けない仕様のため、移行は保留して旧Fitbitアプリの動向を見るのが無難
  • ワークアウト履歴を重視する人 → Fitnessタブで自分の履歴が必要な深さで取れるかを事前確認
  • 睡眠スコアだけ毎朝見られればよい人 → Sleepタブのスクロール量が許容できれば移行しても支障は少ない
  • AI解釈を積極的に活用したい人 → 新UIの恩恵を受けやすい層

今後のアップデートでタイル仕様やAI Coach周りの改善が入るかどうかが、評価を左右しそうです。

静かに消える「お馴染み機能」——バッジ・睡眠動物・ストレススコアの行方

UIへの不満とは別に、刷新で姿を消す機能群にも注目が集まっています。

  • バッジは新規付与が停止され、過去のバッジも移行期間後に削除されます。長年のモチベーション装置だっただけに、惜しむ声も出ています。
  • 月次のSleep Profile動物は廃止され、Premiumユーザーは自分の睡眠タイプをAI Coachに尋ねる形に置き換えられます。
  • Mental Wellbeingセクションでは Stress scoreが Resilienceに置き換わり、数値ではなくOptimal、Balanced、Lowの3段階ラベルで表現されます。
  • VO2 maxも変更され、旧Cardio Fitness Scoreの名称は廃止、新しい計算はGPSランデータをベースとする方式へ刷新されます。

このほかEstimated Oxygen Variationや一部の旧グルコースツールも整理対象で、Fitbit Sense・Versa 3ユーザーはSnore Detectionを失い、皮膚温度の分単位データも削除され、日次・週次トレンドのみ残ります。タイル制限の話と合わせて、データ粒度そのものが薄まる方向にあると言えます。

値上げとAIサブスク統合——市場文脈で見るGoogle Healthの立ち位置

不満点の背景には、サービスの価格設計とハードウェア戦略の再編もあります。

項目内容
月額$9.99
年額$99.99(旧Fitbit Premium年額$79.99から値上げ)
バンドルGoogle AI ProまたはAI Ultraに30か国以上で追加料金なしで同梱
Fitbit Air$99.99の画面なしトラッカー、5月26日発売
試用特典Fitbit Air購入者には3か月のGoogle Health Premium無料試用が付帯

つまり、AI Coach機能を中核に据えたPremium化と引き換えに、年額ベースでは値上げが行われた構図です。競合のWhoopはアプリ内でクリニシャンとのビデオ相談や医療記録同期を導入しており、ヘルスケア領域での競合圧力は確実に増しています。さらにGoogle Fitユーザーには2026年中にGoogle Healthへの移行案内が行われる予定で、ユーザー基盤の統合も視野に入っています。UI設計だけでなく、課金体系と競合動向の両面から評価する必要がある段階です。

Q&A

Q. 新しいGoogle Healthアプリで具体的に何が変わったのですか? ホーム画面が「上部にスタッツタイル+下部にGoogle Health Coachのテキスト解説」という構成に変更されたとされています。Today・Fitness・Sleepの各タブでも、データそのものより解釈テキストやワークアウトライブラリが先に表示される設計になっていると伝えられています。

Q. ホーム画面のタイルはどの程度カスタマイズできますか? タイルは大1+小3、または小6の構成で配置されるとされ、ドラッグでの並び替えはできず、削除して再追加する形での入れ替えしかできないと報じられています。また、安静時心拍数・血中酸素・心拍変動・呼吸数・皮膚温度変動・体脂肪率の6項目はホーム画面タイルとして追加できず、Healthタブ内のウィジェットとしてのみ確認できるとされます。

Q. 旧Fitbitアプリは使い続けられますか? 今回の投票でも回答者の18%が「まだ旧Fitbitを使用している」と答えており、現時点では並行利用している層が一定数いることが分かります。ただし、旧アプリのサポートが今後どこまで継続されるかは、公開情報の範囲では明らかにされていません。

Q. 改善はいつ頃見込めるのか、Googleは反応していますか? 今回のレビューに対するGoogle側の公式コメントや、改善ロードマップに関する具体的な発表については、現時点では明らかにされていません。Khoury氏が提案した改善点(タイル並び替え・全指標のタイル化・AI解釈の折りたたみ化など)が反映されるかどうかが、今後の評価を左右する論点になります。

Q. Google Healthへの移行は急ぐべきですか? 肯定派と不満派がちょうど同率32%で割れている現状を踏まえると、移行を急ぐ必要性は高くありません。Pixel WatchやFitbitで数値を頻繁に確認する使い方をしている場合は、上記の「ユーザータイプ別の判断基準」を参考に、自分の使い方に合うかを試してから判断するのが安全です。

出典