スマートフォン選びの常識を覆す結果が出ました。GSMArenaが実施したセルフィー動画のブラインドテスト——機種名を伏せて映像だけで読者に評価してもらう実験——で、€300(約4万8千円)未満で買えるSamsung Galaxy A37が、€2,000(約32万円)級のUltraフラッグシップ3機種を抑えて最多得票を獲得しました。さらに驚くべきは、同じSamsungのGalaxy S26 Ultraが最下位に沈んだという結果です。SNS時代に最も使われるカメラのひとつであるセルフィー動画で、価格とスペックの常識が崩れた格好です。

€300未満のミドルレンジがUltra勢を抑えてトップに

GSMArenaは読者参加型のブラインドテストとして、5機種のセルフィー動画を匿名で並べ、TikTok・Instagram・YouTube・自社サイトの投票機能を通じて意見を集めました。対象となったのは以下の5機種です。

  • Samsung Galaxy A37(12MP 1/3.2"センサー、Exynos 1480)
  • Samsung Galaxy A57(同じく12MP 1/3.2"センサー、Exynos 1680)
  • Oppo Find X9 Ultra(50MP 1/2.75"センサー、Snapdragon 8 Elite Gen 5)
  • vivo X300 Ultra(50MP 1/2.76"センサー、Snapdragon 8 Elite Gen 5)
  • Samsung Galaxy S26 Ultra(12MP ISOCELL 3LU / S5K3LUセンサー)

結果は、Galaxy A37が大差で1位を獲得。同じくSamsungのGalaxy A57が2位、Oppo Find X9 Ultraが3位と続きました。「フラッグシップキラー」という言葉がGalaxy Aシリーズに使われたことはこれまでありませんが、4Kセルフィー動画に限れば、ハイエンド機を相手にしても十分戦えることが示された格好です。

なぜA37がA57よりも評価されたのか

Galaxy A37とA57は同じフロントカメラを共有しており、A57のほうが新しいExynos 1680を搭載しています。にもかかわらず、なぜA37のほうが高評価だったのでしょうか。

GSMArenaはこの点について、内部情報があるわけではないと前置きしつつ、A37は2024年のGalaxy A55デビュー以降にExynos 1480を採用した4機種目にあたり、Samsungには画像処理を磨き込む時間があったのに対し、Exynos 1680は登場したばかりだという背景を指摘しています。チップ世代と画像処理チューニングの成熟度が、結果に影響した可能性があるという見方です。

Oppo Find X9 Ultraは3位に入りましたが、その動画処理は「好きか嫌いかが分かれる」傾向にあったと報じられています。Snapdragon 8 Elite Gen 5は強力ながら新しいチップであり、画像処理がまだ最適化しきれていないのではないかとの見方が示されています。vivo X300 Ultraもほぼ同じハードウェア構成ですが、こちらは「嫌い」票のほうが多く集まる結果となりました。

スペック信仰の終わり——最下位はまさかのGalaxy S26 Ultra

最も意外だったのは、Galaxy S26 Ultraがほとんど支持票を集められず、しかも「最も画質が悪い」と指摘した票が多かった点です。

S26 Ultraは位相差オートフォーカス(PDAF)を搭載しており、固定焦点レンズのA37・A57に対してハードウェア面では明確な優位を持っているはずでした。さらに使われている12MP ISOCELL 3LU(S5K3LU)センサーはS25・S24・S23シリーズでも採用されてきたもので、Samsungにとっては慣れたパーツです。

機種フロントセンサーチップ
Galaxy A3712MP 1/3.2"(固定焦点)Exynos 1480
Galaxy A5712MP 1/3.2"(固定焦点)Exynos 1680
Galaxy S26 Ultra12MP ISOCELL 3LU(PDAF)新しいチップセット
Oppo Find X9 Ultra50MP 1/2.75"Snapdragon 8 Elite Gen 5
vivo X300 Ultra50MP 1/2.76"Snapdragon 8 Elite Gen 5

新チップセットに合わせて画像処理を作り直す必要があったことが影響したのではないかと推測されていますが、GSMArenaは「原因は推測しない」としています。Galaxy A37は「最高画質」票で1位を取っただけでなく「最低画質」票も最少という、いわば完全勝利を収めました。

高画素・大センサーが負ける時代——結果が示す本質

今回の結果は、セルフィー動画の画質において「センサーサイズ」「画素数」「最新チップ」といった分かりやすいスペックが、必ずしも体感画質に直結しないことを改めて示しました。Galaxy A37(米国市場価格は128GB/6GBモデルで$374.99、約5万8千円)の12MP小型センサーが、50MPセンサーや$1,099.99(約17万円)スタートのS26 Ultraを上回るというのは、画像処理パイプラインの成熟度がいかに重要かを物語る結果です。

こんな人はGalaxy A37(またはA57)が選択肢になります。 SNSへのセルフィー動画投稿が中心で、望遠やプロ向け機能よりも「自分の顔をきれいに撮りたい」を最優先したい人、コスト重視で5万円台で実用十分な動画品質を確保したい人にとっては、Ultra機を選ぶ必要はないという結論が読み取れます。

S26 Ultra側の事情——「ハード据え置き」と新AI処理の関係

ブラインドテストで最下位に沈んだGalaxy S26 Ultraについて、各メディアのレビューはセルフィーカメラのハードウェア面に注目しています。

S25 Ultraから据え置きの12MPセンサー

セルフィーカメラはS25 Ultraで見られたものと同じで、12メガピクセルの1/3.52型センサーは、セルフィー撮影には問題ないものの、最新のiPhone 17 Proに見られる洗練さには欠けるとされています。一方でSamsungは2026年モデルで新機能を追加しており、前面カメラの視野角が広がってグループセルフィーに対応しやすくなったほか、Advanced Selfie(AI Image Signalling Processor)が追加され、屋内の人工照明下でも肌の色や質感をより正確に処理できるよう改良されています。

つまりS26 Ultraは新しいAI処理パイプラインを抱えており、これが新チップの画像処理チューニング未成熟と相まって、ブラインドテストでの低評価につながった可能性があります。なおGSMArenaのフルレビューでも「本当に素晴らしいのはセルフィーカメラから得られる映像だが、それだけのためにUltraを選ぶ必要はない」と指摘されています。

A37のフロント動画——固定焦点でも健闘する手ブレ補正と限界

セルフィー動画でA37が高評価を得た背景には、ハードウェアの素朴さに比して練り込まれた動画処理の存在があります。

項目Galaxy A37のフロントカメラ仕様
センサー12MP 固定焦点(オートフォーカスなし)
動画記録最大4K30fps(Super HDR対応)
チップExynos 1480(2024年Galaxy A55でデビュー)
手ブレ補正評価パン・静止撮影で安定、歩行時もわずかなブレに留まる

フロントには12MPの固定焦点カメラが搭載され、メインカメラと同様に最大4K30fpsのSuper HDR動画記録に対応しています。SamMobileのレビューによれば、フロントカメラの4K30fps動画は日中はうまく機能しますが、低照度ではノイズが増え、時折ジッターも見られるとのことで、ただしスタビライズは依然として安定しています。GSMArenaも動画の手ブレ補正を「とても良い」と評価しており、パン撮影や定点撮影では滑らかで安定した映像を捉え、歩きながらの撮影でも結果にわずかなブレが残る程度で、優れたパフォーマンスを示すとしています。スペックでは見えない動画チューニングの蓄積こそが、A37の評価を支えていると言えます。

Q&A

Q. 今回のブラインドテストはどのように行われたのですか? GSMArenaが5機種のセルフィー動画を匿名で並べ、TikTok・Instagram・YouTube・自社サイトの投票を通じて読者から意見を集める形式で実施されました。投票者は機種名を知らされず、純粋に映像だけで評価しています。

Q. なぜ高価なフラッグシップがミドルレンジに負けたのですか? 明確な原因は特定されていませんが、Galaxy A37が搭載するExynos 1480は2024年のGalaxy A55から使われている成熟したチップで、Samsungが画像処理を磨き込む時間があったのに対し、Find X9 UltraやX300 Ultraに搭載されるSnapdragon 8 Elite Gen 5、およびS26 Ultraの新チップセットでは画像処理の最適化がまだ追いついていない可能性があるとGSMArenaは指摘しています。

Q. Galaxy S26 Ultraのセルフィー動画について、今後の対応は明らかになっていますか? 現時点では明らかにされていません。S26 UltraのISOCELL 3LU(S5K3LU)センサー自体はS23・S24・S25シリーズでも使われてきた実績のあるもので、詳細は出典元を参照してください。

出典