Google Playサービスを持たないAndroid端末でも、Quick Shareでファイルを送受信できるオープンソースアプリ「Bada」がGitHubで公開されました。Android Authorityの検証ではGalaxy S23 UltraやGalaxy S25 Ultraなどとの組み合わせが取り上げられ、Wi-Fi DirectやPC向け転送など一部条件下では不安定な挙動も伝えられています。Android Authorityの報道(2026年5月25日付)をもとに、対応範囲・接続方式・制限事項・安全性までを整理します。

Google抜きでQuick Shareが動く——Badaが埋める「エコシステムの隙間」

Quick ShareはGoogle Play Servicesに含まれる機能で、近くにあるAndroid端末・Chromebook・Quick Shareアプリを入れたPCとファイルをやり取りできます。一方、何らかの理由でGoogleサービスを搭載していないAndroid端末では、Quick Shareも利用できません。

そこに登場したのが、オープンソースの共有アプリ「Bada」です。Badaは、Quick Shareを持たない側のスマホにだけインストールすれば、Quick Share搭載端末との間でファイル転送ができると伝えられています。オープンソースとして公開されているため、コードを精査して挙動を確認できる点もメリットです。Googleサービスを持たないAndroid端末のユーザーが、Quick Share搭載端末を使う相手とこれまでクラウドや有線でやり取りしていたファイルを、Badaを介して直接送れる可能性が出てきます。

接続方式と権限・設定項目

転送方式は、同一Wi-Fiネットワーク経由のほか、Wi-Fi Directによる端末間直結もサポートされています。要求される権限はBluetoothアドバタイズ・近接Bluetooth/Wi-Fiデバイス・Bluetooth接続・通知へのアクセスで、加えて特定ファイルまたは全ファイルへのアクセスを個別に許可する形式です。

設定面では、以下のような項目が用意されています。

  • 受信フォルダの選択(既定はダウンロードディレクトリ)
  • Quick Share上での表示名のカスタマイズ
  • 可視性の切り替え(スキャン時のみ表示/常に表示)
  • 送信用のQRコード生成

操作の流れも比較的シンプルで、可視性を選び、画面下部のボタンからファイルやフォルダを送信、受信側はPIN一致を確認して受け入れるだけです。Quick Share純正タイルを模したクイック設定タイルも用意されていると、Android Authorityは紹介しています。

実機検証では不安定な挙動も——「LocalSendを完全に手放すのは早い」

Android Authority側の検証では、いくつかの不安定さも報告されています。検証で取り上げられたGalaxy S23 Ultra・Galaxy S25 Ultraなどとの組み合わせでは、以下のような挙動が伝えられています。

  • Wi-Fi Direct経由の組み合わせ: 動作しないケースが報告されている
  • Bada → Quick Share対応Windows PC: PC側が受け入れたが転送完了せず(スマホ側は「送信成功」表示)
  • Quick Share搭載スマホ → Bada側への送信: 挙動が不安定との指摘あり

加えて以下の制限も明示されています。

  • AirDropはサポートされていません
  • QRコード経由の送信は動作するものの、QRコードでの受信には現時点では対応していません

こうした事情から、LocalSendなどの代替アプリを完全に手放すのは時期尚早だと評されています。

安全性と「claude.md」の存在——セキュリティを気にする人は慎重に

サイドロードで導入する共有アプリには、セキュリティ面で慎重さが求められます。Badaのリポジトリには「claude.md」のエントリが含まれており、これは何らかのかたちでAIが開発に関与している可能性を示唆するものとされています。ただし、コード生成・ドキュメント整形のどちらに使われているのかなど、具体的な関与の中身は明言されていません。

それでも、ファイル転送にはQuick Shareの暗号化が引き続き利用されるとされ、オープンソースのためコードの中身を確認できる点は安心材料の一つです。セキュリティが気になる場合は、コードを精査したうえで使うか、代替アプリと併用するのが妥当な判断です。

まとめ——Googleサービス非搭載Androidユーザーには注目に値する一手

Googleサービスを搭載していないAndroid端末を抱えるユーザーにとって、Google製エコシステムから切り離されたままでファイル共有の手段が増える意義は小さくありません。クラウド経由や有線USBではなく、Badaから直接Quick Share端末へファイルを送れる可能性が生まれます。

一方で現時点ではWi-Fi Direct・PC向け転送・QR受信などに制限があり、Quick Share対応端末から送る場合の挙動も安定しない場面があると報告されています。現時点では「メイン手段としてLocalSend等を維持しつつ、Bada対応端末との連携用にサブで導入する」あたりが妥当な判断と言えそうです。続報や安定版のリリースを待ちながら、まずは送受信の挙動を自分の環境で軽く確認するのが良いでしょう。

Quick Shareプロトコルを「ゼロから再実装」——Bada開発の技術的背景

BadaはKyujin-choというハンドルの開発者がGitHubに公開したオープンソースアプリで、GoogleのQuick Shareプロトコルをゼロから実装することでGoogle Play Servicesの欠如を回避しています。対応範囲も明確で、Bada は Android 7.0 以降(minSdk = 24)をサポートしています。導入面ではGitHub Releases ページから署名済みリリース APK を入手し、最新リリースの .apk アセットをダウンロードする形式が案内されています。

機能面と今後のロードマップ

  • システム共有シートから任意のAndroidアプリでファイル送信、指定フォルダへの受信、ディレクトリ構造を保ったままのフォルダ送信に対応しています
  • 開発者はNearDropおよびWindows Quick Shareとの相互運用を近い将来のターゲットとして明示しています
  • プロジェクトはGitHubスター10・フォーク1という初期段階の規模にとどまっています

PC連携の不安定さも、NearDropなどを介した相互運用の改善ロードマップが提示されている点を踏まえると、今後のアップデートで解消される可能性があります。

Huawei側の独自エコシステム——HarmonyOS 6を軸にした「外部接続」戦略

Badaがコミュニティ側から橋渡しを試みる一方で、Huawei自身もHarmonyOSと他プラットフォーム間の相互接続を急ピッチで進めています。Huaweiは「HarmonyOS Interconnect」アプリをiPhone・iPad向けに続いてmacOS向けにもApp Storeで公開し、HarmonyOS 6搭載端末との間でファイル・画像・動画・連絡先のAirDropスタイルの転送を可能にしています。ただし現時点では中国のHarmonyOS 6端末専用となっています。

接続先プラットフォーム提供状況
iOS / iPadOS / macOSアプリ経由で提供済み
Android公式トラブルシューティングページで開発中と明示
Huawei端末同士HarmonyOS標準機能

Huaweiはすでに HarmonyOS から Apple 端末へのファイル転送機能を発表しており、近くこの機能を Android ユーザーにも開放するとしています。市場文脈としては、CounterPoint Researchのデータによれば、Huaweiは中国スマートフォンOS市場で17%超のシェアを持ち3位に位置しています。Bada はこうした「Google エコシステムの外側」が拡大するなかで、ユーザー側から相互運用を補う存在として位置付けられます。

Q&A

Q. Badaは誰のための共有アプリですか? Quick Share非搭載のAndroid端末——何らかの理由でGoogleサービスを搭載していないAndroid端末を使うユーザー向けです。Google Playサービスがないために、これまでQuick Shareによる近距離ファイル共有が利用できなかった端末を、Quick Share対応端末とつなぐ用途を想定しています。

Q. LocalSendとの使い分けはどう考えればよいですか? 現時点ではWi-Fi DirectやPC向け転送に不安定さが残るため、相手がQuick Share対応のAndroidスマホ中心ならBadaを試し、PCを含む混在環境やマルチプラットフォーム前提ならLocalSendを主軸に据える、といった併用が現実的です。Bada単独に切り替える判断は、安定版のリリースや動作報告の蓄積を待ってからでも遅くありません。

Q. リポジトリにある「claude.md」は何を意味しますか? リポジトリ内に「claude.md」が含まれていることから、何らかの形でAIが開発に関与している可能性が示唆されていますが、コード生成への利用なのかドキュメント整形なのかなど、具体的な関与範囲については明らかにされていません。サイドロードアプリ全般に言えることですが、セキュリティを重視する場合はコードを確認したうえで導入を判断したほうがよいでしょう。

出典