日本ではまだ提供されていませんが、自分のApple WatchやAirPods Proが対応機種かどうかは今すぐ確認できます。Appleが、Apple Watchの睡眠時無呼吸(Sleep Apnea)通知と、AirPods Proの聴覚テスト機能をインドで利用可能にしたとGSMArenaが2026年5月23日に報じています。いずれもApple独自のヘルスケア機能で、対応するハードウェア・OSバージョンに条件があるため、手持ち機種が条件を満たすかを確認しておく価値があります。本記事では、それぞれの仕組みと対応機種を整理します。

インドで提供開始された2つの健康機能

今回インド向けに開放されたのは「睡眠時無呼吸通知」と「聴覚テスト」の2機能です。睡眠時無呼吸は、睡眠中に呼吸が一時的に止まり身体が十分な酸素を取り込めなくなる状態を指します。放置すると高血圧・2型糖尿病・心疾患リスクの上昇につながる可能性があるとされています。これらの兆候を日常的な装着デバイスから検知できるようにする狙いがあると読めます。

聴覚テストの方は、AirPods Proを使って臨床現場で標準的に用いられる「純音聴力検査(pure-tone audiometry)」に基づく検査を自宅で実施できるとされています。Appleはこれを「クリニカルグレード(clinical-grade)」と表現しています。

Series 8は対象外——睡眠時無呼吸通知が動く5機種

毎晩腕に着けているだけで、自覚症状のない無呼吸の兆候を検知してくれるのがこの機能の価値です。睡眠時無呼吸通知は、Apple Watchの「Breathing Disturbances(呼吸の乱れ)」という指標を活用します。これは、加速度センサーが睡眠中の手首の微小な動きを捉え、通常の呼吸パターンの中断を示唆する変化を検出するものです。

Apple Watchは30日ごとに呼吸の乱れデータを分析し、中等度〜重度の睡眠時無呼吸に一貫して該当する兆候を検知した場合に、ユーザーに通知して医師への相談を促す仕組みになっています。Appleは、この指標が睡眠の質の評価にも活用できるとする一方で、アルコール・薬剤・睡眠時の姿勢などの影響を受ける可能性があるとも明記しています。データはHealthアプリ内で確認できます。

睡眠時無呼吸通知に対応する機種は以下の5モデルです。

  1. Apple Watch Series 9
  2. Apple Watch Series 10
  3. Apple Watch Series 11
  4. Apple Watch Ultra 2
  5. Apple Watch Ultra 3

公表された対応機種リストにはSeries 9以降とUltra 2/Ultra 3のみが含まれており、Series 8以前のモデルは含まれていません。手持ちのApple Watchがどの世代かを確認しておく必要があります。

自宅で約5分——AirPods Pro 2/3で完結する聴覚テスト

通院せずに自宅で短時間で完結する点が、聴覚テストの体感的なメリットです。Appleによれば、テストの所要時間は約5分(about five minutes)とされており、音響科学を用いた仕組みになっています。テスト完了後は、結果サマリーとしてオージオグラム(聴力図)、左右それぞれの聴覚損失を示す数値、分類、推奨事項が提供され、すべてのデータはHealthアプリ内に安全かつプライベートに保存されるとされています。

利用にはいくつかの条件が重なります。

必要なもの条件
イヤホンAirPods Pro 2 または AirPods Pro 3(最新ファームウェア)
ペアリング先対応するiPhoneまたはiPad
OSiOS 18 または iPadOS 18 以降

Appleによれば、検査内容は純音聴力検査(pure-tone audiometry)に基づくクリニカルグレードのもので、自宅でAirPods Proを使って実施できるとされています。

なお、AirPods Pro(無印・第1世代)は対象外で、Pro 2以降のモデルが必須です。

日本での提供状況

今回の発表でAppleが対象として明示したのはインドです。日本での提供時期について、現時点では明らかにされていません。日本のユーザーにとっては、対応国の状況を追いながら手持ち機種が条件を満たすかを確認しておくのが、現時点でできる準備となります。

読者アクションの目安

既にApple Watch Series 9以降またはAirPods Pro 2/3を所有していて、対応地域に居住もしくは出張・滞在の予定がある場合は、設定アプリやHealthアプリで利用可能になっているかを確認しておくとよいでしょう。一方、日本のユーザーに関しては、現時点ではこれらの機能は今回の発表対象外であり、続報を待つのが妥当です。なお、Appleが「クリニカルグレード」と表現していても、Health系機能は医師の診断を代替するものではなく、気になる結果が出た際は医療機関への相談が前提となります。

同時に進む160か国超への健康機能拡大——イタリア・台湾も対象に

インドへの提供開始は、Appleが進める大規模なヘルス機能のグローバル展開の一部として位置付けられます。AppleのマーケティングSVPであるGreg Joswiakが2026年5月21日にX上で告知した内容によれば、Appleヘルス機能は160を超える国と地域で提供されるに至っています。

同時期に拡大した3つの機能

  • 補聴器(Hearing Aid)機能がイタリアに、高血圧通知(Hypertension Notifications)が台湾に展開されました
  • 5月12日時点では、AirPods Pro 2およびAirPods Pro 3向け補聴器機能がイタリア・ルーマニア・チェコで利用可能になり、高血圧通知はイスラエルにも拡大しています
  • 高血圧検出機能はApple Watchの光学式心拍センサーで30日間にわたり血管反応を解析し、Series 9以降およびUltra 2以降で利用可能です

このように、地域ごとに承認のタイミングが異なるため、同じApple Watchでも国によって利用可能な機能が異なる状況が続いています。

聴覚テストの中身——4周波数と5段階のdBHL分類

聴覚テストが「クリニカルグレード」と呼ばれる根拠は、検査内容が臨床の純音聴力検査に近い設計になっている点にあります。テストでは左右それぞれの耳で異なる周波数と音圧のトーンを再生し、ユーザーが音を聞き取るたびにiPhoneの画面をタップする方式で、検査される周波数は500Hz、1kHz、2kHz、4kHzの4種類です。

結果の判定基準(dBHL)

結果判定
25 dBHL以下聴覚損失はほぼなし
26〜40 dBHL軽度の聴覚損失
41〜60 dBHL中等度の聴覚損失
61〜80 dBHL重度の聴覚損失
80 dBHL超最重度の聴覚損失

この5段階の分類が、テスト後にHealthアプリに表示される判定の根拠となります。テストで軽度〜中等度の聴覚損失が検出された場合、テスト結果から導出された個別サウンドプロファイルにより、AirPodsをOTC(市販)補聴器として機能させることができます。検査結果が次の補聴器機能へ自動的に橋渡しされる設計です。

Q&A

Q. Series 8ユーザーが代替手段としてできることは? 今回発表された対応機種にSeries 8は含まれていません。買い替えを伴わない範囲では、Apple Watchの睡眠記録機能で就寝中のデータを確認しつつ、いびきや日中の眠気が気になる場合は医療機関の睡眠外来に相談するのが現実的です。

Q. 聴覚テストはどんな環境で受けるべきですか? Appleは、AirPods Proを使って自宅で約5分で実施できるとしています。純音聴力検査に基づく検査の特性上、静かな環境で集中して受けることが推奨されると考えられますが、具体的な推奨環境については現時点では明らかにされていません。

Q. 日本でもこれらの機能は使えるようになりますか? 今回の発表でAppleが対象としたのはインドです。日本市場での展開時期について、現時点では明らかにされておらず、続報を待つ必要があります。

出典