「1時間悩んだスプレッドシートが、自然言語の指示一つでCOUNTIFXLOOKUPを含む数式に変わった」——AIに必ずしも肯定的でないコラムニストが、Geminiについて「これは効いた」と認めた具体例です。Google I/O 2026後に公開された9to5Google Weekenderのコラムでは、コーディング補助とGoogle Sheetsの数式生成という2つの実用例が浮かび上がりました。

結論:懐疑派でも認めたのは「Sheets」と「コーディング」の2つ

コラム筆者が「実際に役に立った」と評価した用途は、次の2点に絞られます。

  1. Google Sheetsの数式生成——筆者が「eureka(ひらめき)の瞬間」と表現した中心的な実用例。
  2. コーディング補助——Chrome拡張機能を試作した経験から「有用性は明らか」と評価。ただし「当たり外れ(hit or miss)」とも記しています。

業務でスプレッドシートを触る読者にとって、ここが最初の試しどころというのが本コラムの結論です。

Sheetsの数式生成が「eurekaの瞬間」だった理由

筆者は、プレイヤー名・支払い・配当構造といった複数の入力からスプレッドシートで結果を導きたいと考えていました。従来の方法で1時間を費やしたものの解決できず、Sheetsに統合されたGeminiに自然言語で指示したところ、スプレッドシート全体の文脈を読み取ったCOUNTIFXLOOKUPを含む数式を生成。

驚きはその先にあります。筆者が「調べるべきだということすら知らなかった」関数を提示された——これが「eurekaの瞬間」と表現された理由です。ただし、生成された数式には手動の微調整が必要で、「AIなしで数式の使い方を学んでいなかったら不可能だっただろう」とも述べ、基礎スキルの重要性を強調しています。

日常的に複雑な集計やルックアップを書く担当者にとって、検索と試行錯誤に費やしている時間が劇的に短縮される可能性があるという含意があります。

コーディングは「効くが当たり外れ」

もう一つの実用例はコーディング補助です。筆者は自身で必要としていた簡単なChrome拡張機能をAIで組み立てた経験を共有しています。大規模言語モデルがコードのロジック構築を得意とすることは納得感があるとしながらも、AIが生み出すコード(特に販売・広範な配布を伴うもの)の背後には「優秀な開発者が必ず必要」だという留保を付けました。

なお、コーディング以外の用途は「hit or miss(当たり外れ)」と評しており、Sheetsほどの中心的な実用例としては扱っていない点には注意が必要です。

懐疑派の前提——「AIファンではない」立場からの評価

筆者は自身を「AIヘイターではないが、決して大ファンというわけでもない」と位置付けています。AIは印象的なことができるものの、「車輪の再発明(reinvent the wheel)」のように感じることが多いというのが率直な感触です。

the web is in rapid decline

Web全体が「急速に衰退している」とGoogle自身が認めている点にも触れ、その状況下でAI機能が「客観的により良い改善」ではなく、リソース消費の激しい「横ばいの進化」になっていないかという問題意識を示しました。

GeminiのAI OverviewsやSearch内のAI Modeについては、派手な新体験ではあるものの、結局は「同じことを、それもしばしばより悪く」やっているに過ぎないと指摘しています。

Workspace全体への評価とDocs Liveへの違和感

Geminiが活きる領域として、筆者はWorkspace全体を挙げています。Sheetsでの数式生成に加え、Slidesプレゼンテーション内での画像生成についても「AIを実用的に働かせる方法」だと評価。一方、I/O 2026で披露された「Docs Live」のデモには「居心地の悪さ(uneasy feeling)」が残ったとも記しています。

筆者が挙げた「効く用途」と挙げなかった用途

コラム内で筆者が明確に「実用的」と評価したのは、Sheetsの数式生成と、Slidesでの画像生成、そしてコーディング補助です。一方、AI OverviewsやAI Mode in Searchについては、派手ではあるが既存手段より劣る場面があると指摘されており、肯定的な評価は与えられていません。読者へは「あなたはGeminiを何に使っていますか?」と問いかけ、活用例の共有を呼びかけています。

Sheetsは「数式」の先へ——canvasで対話型ミニアプリ化

Sheets上のGemini機能は数式生成にとどまらず、Google Cloud Next 2026で発表された「Sheets canvas」によって表データの上にインタラクティブなミニアプリを構築する段階へ進んでいます。canvasはGemini Alpha経由で提供され、編集権限を持つユーザーはcanvas上で直接データの追加・編集・削除が可能です。

  • ダッシュボード: 指標の分析をスプレッドシート上で実施
  • カンバンボード: タスクをステータス別に配置し、ドラッグ&ドロップで進捗をリアルタイム更新
  • ヒートマップ: 数値分布を視覚的に把握
  • ギャラリービュー: カード形式でソート・フィルタが可能
  • カレンダー: 日付編集に対応

加えてHubSpotやSalesforceなど外部アプリからのサードパーティデータ取り込みも容易になり、業務データを取り込んでそのままダッシュボードや進捗管理ボードへと展開できる導線が整っています。

開発者向けは「Antigravity」へ統合——6月18日が分岐点

コーディング補助の周辺では、Gemini CLIとGemini Code Assist IDE拡張機能がGoogleの新しい開発プラットフォーム「Antigravity CLI」へ移行されます。Google Developers Blogによれば、2026年6月18日に既存の提供形態が一部終了し、契約区分によって扱いが分かれます。

区分2026年6月18日以降の扱い
無償個人/Google AI Pro/UltraGemini CLIおよびIDE拡張の提供停止
Standard/Enterprise契約アクセスは変更なし
Paid Gemini APIキー利用影響なし
Gemini Code Assist for GitHub組織同日以降新規導入不可

移行先のAntigravity CLIでは、Agent Skills、Hooks、Subagents、Extensionsといった既存の主要機能が引き継がれます。AI Pro/Ultraや無償個人向け利用者にとっては、6月18日までに移行作業を済ませる必要があるという点が実務上の分岐点となっています。

Q&A

Q. コーディング用途とSheets用途、どちらから試すべきですか? 本コラムの記述に沿えば、Sheetsの数式生成が筆者の「eurekaの瞬間」とされた中心例で、コーディングは「当たり外れ」と評されています。スプレッドシートを日常的に触る読者は、まずSheetsの自然言語による数式生成から試すと体感を得やすいといえます。

Q. なぜ編集者はAI機能に懐疑的なのですか? AIは全般に「車輪の再発明」のように感じることが多いというのが筆者の率直な感触で、Google自身がWebは「急速に衰退している」と認めている状況や、リソース消費の大きさも理由に挙げています。AI OverviewsやAI Mode in Searchについても、しばしば既存手段より劣ると感じる場面があると述べています。

Q. Google Sheetsで具体的にどんな関数が生成されましたか? 筆者が試したスプレッドシートでは、COUNTIFXLOOKUPを含む数式が、自然言語の指示と他のセルの文脈を踏まえて生成されたとされています。手動での微調整は必要だったものの、1時間試行錯誤しても解けなかった問題が解消されたと報告されています。

出典