数十億ドル規模の損失を、米国政府が自国企業に命じる——そんな異例の構図が、中国の半導体産業を巡る最前線で現実となった。Reutersが伝えたところによると、米商務省はApplied Materials、KLA、Lam Researchの米国3社に対し、中国第2位のファウンドリ「華虹半導体(ファーホン)」への特定製品の出荷停止を命じた。今回の措置は米国の輸出規制に基づくものであり、対象となるのは米国籍の製造装置メーカーに限られる。5月に予定される米中首脳会談を目前に控えたこの時期、新たな外交的摩擦要因が加わった形だ。

上海の7nmラインが"レッドライン"を踏み越えた

今回の措置の直接的な引き金となったのは、華虹が受託製造子会社「華力微電子(Huali Microelectronics)」を通じて、上海の施設で7nmの製造ラインを立ち上げようとしているとされる動きです。この取り組みは、北京が掲げる「今後数年以内に先端チップの国内生産を5倍に増やす」という目標の一環と伝えられています。

これまでの輸出規制では、TSMCが最先端サービスの提供を、ASMLが最先端装置の販売を、それぞれ多くの中国テック企業向けに禁じられてきました。今回の措置はその延長線上に位置しますが、標的が変わっています。これまで規制の網をくぐってきた中国第2位のファウンドリが、次世代ノードへの移行を封じられることになります。日常的な影響として、中国を主要生産地とするスマートフォンや通信機器向けチップが最先端プロセスで量産される時期が、さらに遅れる可能性があるとも見られています。

数十億ドル規模の売上損失リスクが浮上——Applied Materials、KLA、Lam Research

出荷停止を命じられたApplied Materials、KLA、Lam Researchの3社には、ワシントンの要求に従う以外の選択肢がありません。今回の命令は米国の輸出規制に基づくものであり、米国籍の製造装置メーカーのみが対象となります。一部の試算では、3社合計の売上損失は数十億ドル規模に達する可能性があるとされています。

制裁を課す側の米国企業も相応のコストを負う——この構造が改めて浮き彫りになっています。輸出規制は中国の技術進歩を遅らせることを目的の一つとしていますが、その代償は制裁対象国だけが払うわけではありません。

中国国内装置メーカーへの追い風と外交的摩擦

米国からの圧力が強まるほど、恩恵を受けているのが中国国内の製造装置メーカーです。Naura、AMEC、AMC Research、Piotechは2025年に売上記録を更新しました。中国のファブが国産装置への依存を深めざるを得ない状況が、これらの企業の急成長を直接後押ししています。

Tom's Hardwareによると、華虹は今後、米国以外のサプライヤーからの調達や、現行の輸出規制を迂回する方法を模索する可能性があるとされています。規制の網が非米国籍の装置メーカーには及ばない点が、代替調達を検討する余地を残しているためです。Tom's Hardwareはまた、今回の追加措置が5月のトランプ大統領・習近平国家主席会談前にさらなる緊張を生むリスクがあるとも指摘しています。中国外務省報道官の林剣(リン・ジエン)氏は、米国がグローバルな産業・サプライチェーンを安定させ、貿易を円滑に機能させることを中国は望んでいると述べています。

Q&A

Q. 今回の出荷停止命令を受けた企業はどこですか?

米国側ではApplied Materials、KLA、Lam Researchの3社が対象とされています。中国側は華虹半導体とその子会社の華力微電子です。命令は米国の輸出規制に基づくため、非米国籍の製造装置メーカーは対象外となります。一部の試算では3社合計の売上損失は数十億ドル規模に達する可能性があるとされており、規制を課す側にも重い代償が生じる点が今回の構図の特徴です。

Q. 中国は今後も7nmチップの製造を目指せるのでしょうか?

Tom's Hardwareは、華虹が米国以外のサプライヤーからの調達や輸出規制の迂回策を模索する可能性を指摘しています。規制の網が非米国企業の装置メーカーには及ばない点が、代替調達を検討する余地を残しています。国内メーカーのNaura、AMECなどが2025年に売上記録を更新した事実は、そうした動きを裏付ける一つの指標といえます。実現可能性は現時点では確認されていませんが、中国が完全に7nmへの道を閉ざされているとは言い切れない状況です。

出典