Denuvo DRMが保護していた全シングルプレイヤーゲームが「クラックまたはバイパス済み」になった——クラッカーコミュニティがそう宣言した直後、2K GamesはNBA 2K25・NBA 2K26・Marvel's Midnight Sunsに14日ごとの強制オンライン認証を追加した。正規購入者が14日おきにサーバー接続を求められるという、この"反撃"がPC向けゲームの遊び方に直接影響しかねない状況をTom's Hardwareが報じている。
「クラックされていないゲームがゼロになった」——何が起きたのか
突破を実現したのは二つの異なるアプローチだ。
MKDevコレクティブとDenuvOwOという人物が2025年末に開発したのが、ハイパーバイザーベースのバイパス(HVB)と呼ばれる手法。カーネルレベルのドライバをインストールし、Denuvoのチェックをインターセプトするこのアプローチは、DRM自体をゲームから除去するわけではない。しかし海賊版として動作させるには十分であり、「DRM除去」ではなく「チェック無効化」によって突破を達成している点が技術的な特徴だ。
一方、クラッカーとして知られるvoices38氏は別ルートを取った。『Resident Evil: Requiem』など最近のタイトルを含む複数ゲームのDenuvoを完全に除去することに段階的に成功している。複数の報道によれば、まず別タイトルの突破に成功し、その約1か月後に『Resident Evil: Requiem』のクラックが実現するという段階的な経緯があったとされる。
これら二つの手法が"同時期"に機能したことで、クラッカーコミュニティは「クラックまたはバイパスされていないDenuvo保護ゲームがゼロになった」と報告している。
14日ごとのサーバー接続——正規ユーザーへの影響は深刻
Denuvoおよび2K Gamesがとった対抗措置が、14日ごとの強制オンライン認証だ。Andreh氏の報告に基づくとされるこの情報はまだ追加検証が必要とも伝えられているが、対象として名前が挙がっているのはNBA 2K25、NBA 2K26、Marvel's Midnight Sunsの3タイトルだ。
この仕組みをTom's Hardwareは次のように説明している。認証はDenuvoのサーバーへのリクエスト/レスポンスで成立するため、HVBではエミュレートが不可能。理論上はゲームコード内の認証部分を取り除けば回避できるが、それにはHVBではなく完全なゲームクラックが必要になる。
既存のDenuvoアクティベーション(ハードウェアやソフトウェアの変更があるまで持続する初回認証)とはまったく別の仕組みであることも重要だ。正規ユーザーにとって体感できる変化はこうなる。
- 旅行中・移動中のプレイ:新幹線・飛行機・ホテルなど、ネット接続が不安定な環境で14日の期限を迎えた場合、ゲームが起動できなくなる可能性がある
- Denuvoサーバー障害時:サーバー側の問題が発生した場合、課金済みの正規ユーザーも一切プレイできなくなるリスクがある
- 長期オフラインプレイ:インターネット環境のない場所に2週間以上滞在する場合、事前認証がなければゲームが止まる
過去にシングルプレイヤーゲームへの常時接続要求が強い批判を浴びた歴史を踏まえると、14日サイクルの強制認証はPC購入者にとって看過できない制限となる。
バイパス手法の「V3」——初期より大幅に敷居が下がった
HVBの登場当初、使用には「Windowsのほぼすべてのセキュリティ機能の無効化」が必要だった。MKDevによる改良を経た現在の「V3」では、必要な操作が大幅に絞られている。
具体的に必要なのは以下の二点のみだ。
- Core Isolation(メモリ保護)の無効化
- Driver Signature Enforcement(DSE)を一時的にオフにしてゲームを起動し、その後オンに戻す
加えて「VBS.cmd」スクリプトの最新版は以前より使いやすく、ゲームを問わず利用できるとTom's Hardwareは報じている。手順の簡略化によって技術的な敷居が下がったことは事実だが、Tom's Hardwareはリスクも明確に指摘している。Memory Integrityをオフにしたままにすることは依然として相当な攻撃対象領域を生む。さらにユーザーはカーネルレベルのドライバのインストールを海賊版コミュニティに委ねることになる点も無視できない。
FitGirlの"お墨付き"が持つ意味
著名なリパッカーとして知られるFitGirl氏が、DenuvOwO氏とvoices38氏の取り組みを称えたと伝えられている。Tom's Hardwareはこの称賛の重みをこう説明する。FitGirl氏はリリースの品質管理者として広く信頼されており、その称賛は当該リリースの安全性への暗黙の保証にもなっていると。ただし、FitGirl氏はHVBリリースに対して以前は懸念を示していた経緯もあったと報じられており、姿勢の変化自体がコミュニティ内での受け入れの広がりを示している。
今後の焦点:正規ユーザーの"被害"がどこまで広がるか
Denuvoとゲームパブリッシャーがさらなる対抗措置を打ち出してくるかは不明だ。ただし14日ごとのオンライン認証が他タイトルに広がるとすれば、影響を受けるのは海賊版ユーザーだけではない。正規購入者がサーバー障害や接続環境の問題でゲームを遊べなくなるリスクは、購入判断そのものに影響する問題だ。続報と合わせて、対象タイトルの拡大状況を注視したい。
Q&A
Q. 今回の「全ゲームが突破済み」とはどういう意味ですか? Denuvoが保護していた全シングルプレイヤーゲームが、クラック(DRM完全除去)またはHVBによるバイパス(チェック回避)のいずれかの手法で突破された状態になったことを指します。DRM自体が完全に除去されていないゲームも含まれている点に注意が必要です。
Q. 強制オンライン認証は正規ユーザーにも影響しますか? はい、直接影響します。NBA 2K25、NBA 2K26、Marvel's Midnight Sunsへの14日ごとのオンライン認証は、インターネット接続が不安定な環境や旅行中のプレイに支障をきたす可能性があります。Denuvoのサーバーに障害が発生した場合も、正規ユーザーがゲームをプレイできなくなるリスクがあると報じられています。
出典